20章:抜け出した先に待ち受けるのは
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「バスタブはないかぁ」
ちょっとだけ残念、というかのように肩を落としたときだった。
壁に窓がある事に気づく。
窓は両開きで両方開いたのならばそれこそ人一人くらいならば楽に出られるような大きさのものだった。
「・・・鍵は」
解除できるだろうか?と思いながら恐る恐る鍵を開けてみる。
この施設が見た目に反して最新設備を備え付けられている事は今まで暮してきて十分知っているため、唯一の出入り口であるドアを見つめているが誰かが入ってくる気配はない。
鍵が外れた窓をそっと開いてみると少しばかり冷たい夜風が入ってくる。
下を確認してみると幸運な事に今居る場所は一階だったらしく、窓を乗り越えればすぐにでも地面があった。
「ここからなら」
外に出ることが十分可能だ。
そう思った若葉であったが、少しだけ迷ってしまう。
それは自分が逃げ出せばきっとフレンジー達が怒られてしまうと解っているからだ。
けれど昼間に会ったサイドウェイズの辛そうな顔が、掌から滲む血が、何かを堪えるかのような辛そうな目が、消えてくれない。
「・・・・ごめんね」
小さな声でそう告げた若葉はすぐにでも逃げだそうとしたが、不意にある事に気づくと一度バスルームへと戻り、シャワーのコックを捻り水を流す。
水の流れる音を聞きながら若葉は窓の枠に足を乗せると、できる限り音を立てないようにしつつ外へと降りる。
一瞬だけ背後にある場所へと視線を向けた若葉だったが意を決したかのように前を見ると、暗い闇の中へと向かって歩き出す。
「とりあえず・・・ここから離れた方が良いよね」
誰に話しかけるでもなく呟くのと同時に若葉は道なりに移動を開始した。
定期的に建てられている街灯しか頼りにならない闇の中を若葉は必死に走っていた。今自分がどの辺りに居るのか、どこに行けば良いのか解らないが、それでも前に向かって移動をし続けていた。
立ち止まってしまえばそこから二度と動けなくなる事を解っているからだ。
息も大分上がってきた頃、ようやく建物を見つけることができた若葉の顔に笑みが浮かぶ。
「誰か居るかな」
可能ならば日本語が分かる人で、メガトロンの部下ではない者で、できればオプティマスの部下が良いなと思いながら建物へと近づいた若葉は建物を見上げていたときだった。
「こんな時間にここで何しているんだ?」
聞こえてきたぶっきらぼうな声に若葉はビクリと身体を大きく震わせた後、恐る恐る振り返ってみるとそこにはこちらを警戒した眼差しで見つめてきている青年が居た。
「・・・昼に会った人、ですよね?」
「サイドスワイプだ」
名前を忘れられていたことが気に入らなかったのか少しばかり声が低くして不機嫌そうな声で返された自己紹介に若葉は申し訳ないと言うかのような顔をして視線を足下へと落とす。