19章:キミが居ない
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恐る恐る、メガトロンへと視線を向ければそこには不機嫌そうに目を眇めているメガトロンの姿があった。
「居ないとは誰だ?ここに来てからお前が特定の誰かと懇意にしているようには思えなかったのだが?」
問い詰めるかのような口調で話しかけられた若葉は困ったように眦を下げながらメガトロンを見上げる。
今の発言はまるで自分の知らぬ所で若葉が誰かと仲良くなっていたことを咎めるかのようなもので、何故そんな事を言われなければならないのだろうか?という感情を若葉は抱くのと同時に、この人と母との間に産まれる子供が娘では無いことを祈ることしか出来ない。
男であったとしてもそれはそれでまた別の問題が起きそうな予感がしているのだが、どちらにしても過保護は消えそうもないなぁと思うと、少しだけズキリと心の奥底が痛んだ気がした。
「(馬鹿だなぁホント)」
ずっとずっと会いたかった父親。
もしも会えたのならば、言葉を交わせたのならば、という事を何度も何度も思い描いていた愚かな幼き頃の自分。
けれどそれは愚かすぎた理想だった。
実の父と出会って幼き頃の自分が思い描いていた憧憬の念は一瞬で消えた。
「(願い事なんて叶わないことだって事くらい解っていたのになぁ)」
仄暗い笑みを浮かべながら若葉は父の顔を思い出す。
幼い頃に母に対して父のことを聞いたときがあった。
あの時、母が言葉に詰まっていた事の意味をようやく理解することが出来たのだが何もかもが遅すぎた。
「(現実なんて残酷だ)」
これから生まれるだろう自分の弟か妹かには、最初から頼りになって素敵な実父がすぐ側いいて、優しくて愛情深い母がずっと隣に居るのだと思えば若葉は嫉妬してしまう。
けれどその感情と共に感じたのは無い物ねだりをずっとし続ける愚かな自分への嫌悪感だ。
若葉の心を少しずつ見えない何かが黒く塗りつぶしていった時だった。
「愚か者め」
ペシッという音と共に額に微かな衝撃が走ったことに若葉は驚き、パチパチと瞬きをしながらメガトロンを見上げる。
呆れと心配をその目に浮かべているメガトロンには若葉が何を考えていたのかなどお見通しだったようで、若葉はこの人には本当に勝てないなぁと思いながら笑う。
「閣下」
「なんだ?」
「私が探していたのはサイドウェイズさんです」
サイドウェイズの名前を出すと、意外だと言うかのようにメガトロンは目を見張る。
「日中、ちょっと会うことがありまして・・・その時に怪我をしていたのが気になっていただけなんです」
掌に滲んだ血を若葉は思い出しながら、サイドウェイズと出会った時のことを軽く説明した若葉の脳裏にはサイドウェイズの顔が思い浮かぶ。
どこか自分に自信がなくて、けれどソレを認めることすら怖くて、愛想笑いを浮かべてその場をやり過ごし、そんな自分を周りが嗤っていることを知っていながらもその場所から逃れる事が出来ないでいる人。
そう思うのはサイドウェイズに対して失礼なのかもしれないが、そんな彼に対して一方的に共感をしてしまうのは若葉にも似たような所がいくつもあるからだ。
「閣下・・・サイドウェイズさんはどこに居ますか?」
どうしてなのかは解らないが若葉は今、どうしてもサイドウェイズに会いたくて仕方がなかった。
「居ないとは誰だ?ここに来てからお前が特定の誰かと懇意にしているようには思えなかったのだが?」
問い詰めるかのような口調で話しかけられた若葉は困ったように眦を下げながらメガトロンを見上げる。
今の発言はまるで自分の知らぬ所で若葉が誰かと仲良くなっていたことを咎めるかのようなもので、何故そんな事を言われなければならないのだろうか?という感情を若葉は抱くのと同時に、この人と母との間に産まれる子供が娘では無いことを祈ることしか出来ない。
男であったとしてもそれはそれでまた別の問題が起きそうな予感がしているのだが、どちらにしても過保護は消えそうもないなぁと思うと、少しだけズキリと心の奥底が痛んだ気がした。
「(馬鹿だなぁホント)」
ずっとずっと会いたかった父親。
もしも会えたのならば、言葉を交わせたのならば、という事を何度も何度も思い描いていた愚かな幼き頃の自分。
けれどそれは愚かすぎた理想だった。
実の父と出会って幼き頃の自分が思い描いていた憧憬の念は一瞬で消えた。
「(願い事なんて叶わないことだって事くらい解っていたのになぁ)」
仄暗い笑みを浮かべながら若葉は父の顔を思い出す。
幼い頃に母に対して父のことを聞いたときがあった。
あの時、母が言葉に詰まっていた事の意味をようやく理解することが出来たのだが何もかもが遅すぎた。
「(現実なんて残酷だ)」
これから生まれるだろう自分の弟か妹かには、最初から頼りになって素敵な実父がすぐ側いいて、優しくて愛情深い母がずっと隣に居るのだと思えば若葉は嫉妬してしまう。
けれどその感情と共に感じたのは無い物ねだりをずっとし続ける愚かな自分への嫌悪感だ。
若葉の心を少しずつ見えない何かが黒く塗りつぶしていった時だった。
「愚か者め」
ペシッという音と共に額に微かな衝撃が走ったことに若葉は驚き、パチパチと瞬きをしながらメガトロンを見上げる。
呆れと心配をその目に浮かべているメガトロンには若葉が何を考えていたのかなどお見通しだったようで、若葉はこの人には本当に勝てないなぁと思いながら笑う。
「閣下」
「なんだ?」
「私が探していたのはサイドウェイズさんです」
サイドウェイズの名前を出すと、意外だと言うかのようにメガトロンは目を見張る。
「日中、ちょっと会うことがありまして・・・その時に怪我をしていたのが気になっていただけなんです」
掌に滲んだ血を若葉は思い出しながら、サイドウェイズと出会った時のことを軽く説明した若葉の脳裏にはサイドウェイズの顔が思い浮かぶ。
どこか自分に自信がなくて、けれどソレを認めることすら怖くて、愛想笑いを浮かべてその場をやり過ごし、そんな自分を周りが嗤っていることを知っていながらもその場所から逃れる事が出来ないでいる人。
そう思うのはサイドウェイズに対して失礼なのかもしれないが、そんな彼に対して一方的に共感をしてしまうのは若葉にも似たような所がいくつもあるからだ。
「閣下・・・サイドウェイズさんはどこに居ますか?」
どうしてなのかは解らないが若葉は今、どうしてもサイドウェイズに会いたくて仕方がなかった。