19章:キミが居ない
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「アレはなサウンドウェーブが俺達に与えた優先権なんだ」
「優先権?何の?」
意味が分からないと言うかのように小首を傾げた若葉はフレンジーを見つめるのと同時に、若葉の隣に座っているメガトロンから凄まじい眼差しを向けられた。
その目が物語っているのは知っている事をこの場で包み隠さずに話せ。という事だったためフレンジーは正直に全部話すことを決める。
「若葉に」
「私に?」
何をするつもりなのだろうか?不安に目を揺らしながら若葉はフレンジーがこれから話すだろう言葉を待ち構える。
もしかしたら若葉の将来に関してサウンドウェーブが色々と口を出せるという権限なのかもしれない。もしもそうならば自分の未来は彼の思うがままだなぁと思えば少しばかり息苦しさを感じるが、ある意味でそれはどうにもならないこの状況からの解放されるかもしれないと若葉は思った時だ。
「・・・最優先で甘えられる権利」
「え?」
何を言われたのか若葉は解らなかった。
ジッとフレンジーの顔を見つめていると、フレンジーの頬が段々と赤くなり始めた為、先程の発言は聞き間違いではないのだと若葉は理解する。
「・・・なんか意外と大したことの無い権限じゃない?」
「あーらら。言っちゃったよ」
呆れたように若葉が思ったままの言葉を口にし、それを聞いたフレンジーが同情するかのような口調で呟いた瞬間、殺伐とした雰囲気のまま相手の顔を睨み付けていた者達がギュンッと音がするかのような勢いで若葉の方に顔を向けるのと同時に食ってかかった。
「「ある!!」」
『んなわけねぇーだろッ!!』
『ウナァァァァァ!!!』
殺気だった発言に若葉は自分が失言したことを悟ると、縋るような眼差しをフレンジーへと向けるとフレンジーは呆れたようにため息を吐きながら若葉の肩を労うかのようにポンポンと叩く。
「ありがとう」
「いいさ。誰にだって間違いはあるもんだ」
外見とは不釣り合いな妙にイケメンな発言に若葉は目を細めて嬉しそうに微笑みながらフレンジーの頭をそっと撫でる。
柔らかな質感の髪をグリグリと撫でているとフレンジーは気持ちよさそうに目を細め、それが年相応の少年の顔だったことに若葉は弟がいたらこんな感じなのかなぁと思った時だった。
「・・・フレンジー。テメェも随分と可愛いじゃねぇか。いっつもそうなら俺も苦労しねぇんだが?」
聞き慣れぬハスキーボイスに若葉が視線を向けるとそこには警官服を着崩して着ている人相の悪そうな男が居た。
フレンジーを見つめる目はニヤニヤと楽しげに細められており、男の言葉に対してフレンジーはムッとした顔をするとそっぽを向く。
それを見た男がゲラゲラを声を上げながら笑う。
「黙れよ、バリケード」
「はいはい。お子様には優しくしねぇーとな?」
バリケードと呼ばれた男はフレンジーへと向けていた視線を若葉へと向ける。
その目は若葉の事を嘲笑うかのような感情が浮かんでおり、その視線から逃れるかのように若葉が視線を逸らすと押し殺したような笑い声がバリケードの口から零れた。