episode3 R18
「あの、岡部さんから聞きました。明日からあなたが第三管区で仕事されると……」
「ああ、明日の朝発つ予定だ」
「………そうですか」
風呂場の脱衣場で出来上がった洗濯物を取り出しながら、青木はひそかに胸を撫で下ろした。
今日にでも帰京できた薪を病院で掴まえて、フレンチトーストの話をネタにここへ連れ帰ってきてくれた舞には感謝しかない。子はかすがいとはよく言ったものだ(意味が違う!)
でももう当の舞が明日の学校に備えておバアちゃんと早めにお風呂に入って休んでいる今、薪の心はすでに東京へ飛んでいるかもしれない。
それでも一晩でも多く薪といられることが、青木にはとても嬉しく幸福なことなのだ。
「そうだ、空港へは僕一人でタクシーで向かうから、見送りはいらないからな」
「えっ、でも……」
振り返ると、薪がすぐ後ろに立っている。
「お前は毎朝忙しいだろう?」
「……!」
上目遣いの破壊力に固まる青木の頚にしなやかな両腕が絡んで引き寄せ、背伸びして近づいた唇が青木の口から零れる言葉を強引に塞いで“命令”する。
「だから今、働け」
「……えっ……」
喋ろうとする口の隙間に薄い舌が入り込んできて、大人のキスに嵌められていく。
「んむッ…………まき、さ……っチュツ……」
「お前は昨夜だけで足りたのか?」
「……いえっ、そりゃ毎晩でも致したいですが、あなたのお体の負担も考えないと」
「僕なら大丈夫だ。余計な気を回すな」
「んっ……」
おバアちゃんは離れだし、舞も子ども部屋で寝ている。とはいえ家族と住むパブリックスペースで、家事を放り出して受け止める、薪からのらしくない挑発。欲しがりで、妖艶で、蕩けそうな深いキスに腰が砕けそうになりながら、発情した身体を絡め合いどうにか自室まで移動する。そしてキスしながら服を脱いだ大小二つの身体が縺れてベッドに雪崩れ込んだ。
止まらない。
前夜ひとつになったばかりのカラダは少しだけ結びやすくて、すぐに熱くなって。せめて感情だけは昨日より落ち着こうと、青木は薪の反応を愉しみながら、なるべくゆっくりと暴いていく。
「っ……はや……く、しろっ」
すぐにでも隙間なく繋がりたがる薪の焦れた吐息。そのくせ甘い愛撫や愛の言葉からはなぜか逃げようとする綺麗な身体を、掴まえて、呆れさせるほど丁寧に、外もナカも愛した。
なぜ―――?
うんざりするほど愛されているのに渇望から逃れられないんだろう?
溺れながら薪は不思議に思う。
こんなんじゃ何度身体を重ねても、離れられないじゃないか―――
「ああ、明日の朝発つ予定だ」
「………そうですか」
風呂場の脱衣場で出来上がった洗濯物を取り出しながら、青木はひそかに胸を撫で下ろした。
今日にでも帰京できた薪を病院で掴まえて、フレンチトーストの話をネタにここへ連れ帰ってきてくれた舞には感謝しかない。子はかすがいとはよく言ったものだ(意味が違う!)
でももう当の舞が明日の学校に備えておバアちゃんと早めにお風呂に入って休んでいる今、薪の心はすでに東京へ飛んでいるかもしれない。
それでも一晩でも多く薪といられることが、青木にはとても嬉しく幸福なことなのだ。
「そうだ、空港へは僕一人でタクシーで向かうから、見送りはいらないからな」
「えっ、でも……」
振り返ると、薪がすぐ後ろに立っている。
「お前は毎朝忙しいだろう?」
「……!」
上目遣いの破壊力に固まる青木の頚にしなやかな両腕が絡んで引き寄せ、背伸びして近づいた唇が青木の口から零れる言葉を強引に塞いで“命令”する。
「だから今、働け」
「……えっ……」
喋ろうとする口の隙間に薄い舌が入り込んできて、大人のキスに嵌められていく。
「んむッ…………まき、さ……っチュツ……」
「お前は昨夜だけで足りたのか?」
「……いえっ、そりゃ毎晩でも致したいですが、あなたのお体の負担も考えないと」
「僕なら大丈夫だ。余計な気を回すな」
「んっ……」
おバアちゃんは離れだし、舞も子ども部屋で寝ている。とはいえ家族と住むパブリックスペースで、家事を放り出して受け止める、薪からのらしくない挑発。欲しがりで、妖艶で、蕩けそうな深いキスに腰が砕けそうになりながら、発情した身体を絡め合いどうにか自室まで移動する。そしてキスしながら服を脱いだ大小二つの身体が縺れてベッドに雪崩れ込んだ。
止まらない。
前夜ひとつになったばかりのカラダは少しだけ結びやすくて、すぐに熱くなって。せめて感情だけは昨日より落ち着こうと、青木は薪の反応を愉しみながら、なるべくゆっくりと暴いていく。
「っ……はや……く、しろっ」
すぐにでも隙間なく繋がりたがる薪の焦れた吐息。そのくせ甘い愛撫や愛の言葉からはなぜか逃げようとする綺麗な身体を、掴まえて、呆れさせるほど丁寧に、外もナカも愛した。
なぜ―――?
うんざりするほど愛されているのに渇望から逃れられないんだろう?
溺れながら薪は不思議に思う。
こんなんじゃ何度身体を重ねても、離れられないじゃないか―――