episode2 R18
「薪さん。触れたいです。いいですか?」
湿った唇が首筋を滑り降りながら、熱い吐息で訊ねてくる。
「っ……いちいち訊くな、そんなこと」
節度を守ってるのは会話上だけ。堪え性の無い男の手指はすでに薪の着衣の下に潜り込み、過敏に粟立つ胸元に刺激を送り始めている。
「……パジャマ、お似合いですね」
「……これ……お前が買ったのか?」
「ええ、会いたすぎてつい。あなたがお家でお召しになってたのと似た感じのを揃えました」
「……ふ、律儀だな」
薪は笑みながら、惜しげもなくそれを脱ぎ捨てる。
「お前と家にいる時はだいたい何も着てないのに、よく覚えて……」
話す余裕はそこまでで途切れた。触れられる肌が愛撫のいいなりになって、言葉より先に淫らな反応を返してしまうから。
「……あ……っ………」
「ああ薪さん…………もうこんなに……」
違う、こんなだから急いでパジャマを脱いだんだ。今夜これを身につけて寝たいから、せめて汚してしまわないようにと……
「ダメ……だっ、あおきっ、そこ……はっ」
身体を捩る薪の脚の間で、蜜を滴らせる性器を口唇で啜っていた青木が、発情した雄の顔を上げる。
「どこならいいんです?」
「っ……自分で考えろっ」
頬を紅潮させ涙目で叫ぶ薪の可愛い顔を目の奥に焼き付けながら、青木は眼鏡を外して置いた。
“ハヤク、ツナガリタイ”
そう言われた気がしたのだ。
「わかりました “準備” しますね」
開いた腿に添えていた両手を、後方のなだらかな二つの円みに滑らせて、性器への愛撫でトロリと濡れた指を、窪みの奥にある蕾の熱い内側へと滑り込ませていく。
「……っ、はぁ………」
呑み込んだ指を食い締めつつも素直にほどけていく薪の内側に這入りたくて堪らない青木は、根元まで挿し入れた複数の指をゆっくり丁寧に蠢かせながら、薪の腰を引き寄せて半転させる。
そこからしばらくは、本能に流された記憶が定かではなくなっていた。
おぼろ気な意識が再起動したのは、薪の身体を押し潰すように背後から抱きしめ、奥深くに燃え滾った自身を突き立てて、獣のような息を何度か深く吐いた時だった。
久しぶりの薪のナカは想像を絶する気持ち良さで、きつく締まった交接部がじわじわと自分のかたちに馴染むのを待ちながら、青木は薪の感触を抉りとるように密着した下半身を奥で小さく揺り動かす。
「…………っ、はぁ……」
薪も辛いだけではないようだ。
「あおき」と焦れったげな吐息で呼ばれて、繋がったまま向きあって抱き直す。腕のなかの薪は甘美な表情で目を瞑り、接合部の微動に反応して畝るように締めつけてくるから、杭打つ青木の昂りが、脈打ちさらに増幅してしまう。
考えればおかしくなりそうだから考えないようにしていたが、互いにずっと、この結合を求めていたのだ。
窺うように刻み始める青木の腰の律動は、背中で交差して絡む薪の両足と、誘うように浮く腰に煽られて、すぐに激しく強くなっていく。
「…………っ…………ふす……ま……」
「…………はい?」
「き…………をつけろ」
「……何、を、ですか?」
互いの身体に送り込まれる恍惚のなか、薪がうわ言のように訴える言葉に、汗だくで腰を振る青木が耳を傾ける。
「まい…………が、開ける……とっ」
「ああ、来ま、せんよ。夜はいつも、舞の声を拾、って俺のスマホ、が鳴るように、ケータイをセット、してるので」
もうどうしてこの愛しい人は、こんな時に淫らな身体で魅惑しながらそんな話をするのだろう。快楽に揉まれ境目の無くなった身体に欲望を抽送し続けながら、青木がなけなしの理性をかき集め、律動のリズムにつられながら真面目な答えを返す。
「……け………タイ?」
「……ええ。俺に用がある、ときは呼ぶ、って、決まってるんです」
舞が呼べばどこにいても応え、必要とあらば飛んでいく。家に居てやれない夜もあるから、その辺のしくみはしっかりできている。
つまり舞の方から青木の部屋に訪ねてくることは、まず無いのだ。
でも、願わくば今は呼ばないでほしい。薪と結ばれ溺れていくばかりのこの熱い身体を、愛しさと快楽の渦から引き抜いて飛んでいける理性は、正直持ち合わせていない。
湿った唇が首筋を滑り降りながら、熱い吐息で訊ねてくる。
「っ……いちいち訊くな、そんなこと」
節度を守ってるのは会話上だけ。堪え性の無い男の手指はすでに薪の着衣の下に潜り込み、過敏に粟立つ胸元に刺激を送り始めている。
「……パジャマ、お似合いですね」
「……これ……お前が買ったのか?」
「ええ、会いたすぎてつい。あなたがお家でお召しになってたのと似た感じのを揃えました」
「……ふ、律儀だな」
薪は笑みながら、惜しげもなくそれを脱ぎ捨てる。
「お前と家にいる時はだいたい何も着てないのに、よく覚えて……」
話す余裕はそこまでで途切れた。触れられる肌が愛撫のいいなりになって、言葉より先に淫らな反応を返してしまうから。
「……あ……っ………」
「ああ薪さん…………もうこんなに……」
違う、こんなだから急いでパジャマを脱いだんだ。今夜これを身につけて寝たいから、せめて汚してしまわないようにと……
「ダメ……だっ、あおきっ、そこ……はっ」
身体を捩る薪の脚の間で、蜜を滴らせる性器を口唇で啜っていた青木が、発情した雄の顔を上げる。
「どこならいいんです?」
「っ……自分で考えろっ」
頬を紅潮させ涙目で叫ぶ薪の可愛い顔を目の奥に焼き付けながら、青木は眼鏡を外して置いた。
“ハヤク、ツナガリタイ”
そう言われた気がしたのだ。
「わかりました “準備” しますね」
開いた腿に添えていた両手を、後方のなだらかな二つの円みに滑らせて、性器への愛撫でトロリと濡れた指を、窪みの奥にある蕾の熱い内側へと滑り込ませていく。
「……っ、はぁ………」
呑み込んだ指を食い締めつつも素直にほどけていく薪の内側に這入りたくて堪らない青木は、根元まで挿し入れた複数の指をゆっくり丁寧に蠢かせながら、薪の腰を引き寄せて半転させる。
そこからしばらくは、本能に流された記憶が定かではなくなっていた。
おぼろ気な意識が再起動したのは、薪の身体を押し潰すように背後から抱きしめ、奥深くに燃え滾った自身を突き立てて、獣のような息を何度か深く吐いた時だった。
久しぶりの薪のナカは想像を絶する気持ち良さで、きつく締まった交接部がじわじわと自分のかたちに馴染むのを待ちながら、青木は薪の感触を抉りとるように密着した下半身を奥で小さく揺り動かす。
「…………っ、はぁ……」
薪も辛いだけではないようだ。
「あおき」と焦れったげな吐息で呼ばれて、繋がったまま向きあって抱き直す。腕のなかの薪は甘美な表情で目を瞑り、接合部の微動に反応して畝るように締めつけてくるから、杭打つ青木の昂りが、脈打ちさらに増幅してしまう。
考えればおかしくなりそうだから考えないようにしていたが、互いにずっと、この結合を求めていたのだ。
窺うように刻み始める青木の腰の律動は、背中で交差して絡む薪の両足と、誘うように浮く腰に煽られて、すぐに激しく強くなっていく。
「…………っ…………ふす……ま……」
「…………はい?」
「き…………をつけろ」
「……何、を、ですか?」
互いの身体に送り込まれる恍惚のなか、薪がうわ言のように訴える言葉に、汗だくで腰を振る青木が耳を傾ける。
「まい…………が、開ける……とっ」
「ああ、来ま、せんよ。夜はいつも、舞の声を拾、って俺のスマホ、が鳴るように、ケータイをセット、してるので」
もうどうしてこの愛しい人は、こんな時に淫らな身体で魅惑しながらそんな話をするのだろう。快楽に揉まれ境目の無くなった身体に欲望を抽送し続けながら、青木がなけなしの理性をかき集め、律動のリズムにつられながら真面目な答えを返す。
「……け………タイ?」
「……ええ。俺に用がある、ときは呼ぶ、って、決まってるんです」
舞が呼べばどこにいても応え、必要とあらば飛んでいく。家に居てやれない夜もあるから、その辺のしくみはしっかりできている。
つまり舞の方から青木の部屋に訪ねてくることは、まず無いのだ。
でも、願わくば今は呼ばないでほしい。薪と結ばれ溺れていくばかりのこの熱い身体を、愛しさと快楽の渦から引き抜いて飛んでいける理性は、正直持ち合わせていない。