「ねぇ、コーちゃん。光くんの今のママって昔看護師さんしてたんだって。すごいよねぇ」

光とビデオ電話をしていた舞が、目を輝かせて報告しにくる。

「だからコーちゃんも心配しないで、って光くんが言ってたよ。あとおバアちゃんと舞にホワイトデーのプレゼント贈ってくれたんだってさ！」

「うん、それは安心だなぁ。それとホワイトデーも楽しみだね」

光の話からはいつも青木家に心配させないよう必死なのが伝わる。おバアちゃんのケアも忘れないあたり天性のアイドルだなぁ、と青木は苦笑する。

「来週の六年生の卒業式、光くんもオンラインで出れるんだよ！来年はいよいよ光くんだから、ちゃんと見とかなきゃね！」

舞の明るい声がリビングに響いた。
それがまさか光についての、最後の話題になるなんて。

六年生を送る卒業式をみんな笑顔で終えたその翌週、青木は急遽東京に行くことになる。

今度は舞もおバアちゃんもつれて。

青木家の到着を待っていたかのように、光は安らかに旅立った。
天使のふりを早々に卒業して、今度は本物の天使になったのかもしれない。