2066 海の別荘
「薪さん、元気っスね」
「………………………疲れた」
「お疲れさんです。コレで一杯やりませんか?」
岡部の声といい香りに誘われてタープの中を覗くと、七厘の上で剣先イカが香ばしい匂いを纏ってふっくら白く焼き上がっている。
「いいな、最高じゃないか」
濡れ鼠でげっそりした顔をあげた薪の目に、ようやく生気が灯った。
クラブハウスサンドの詰め込まれたランチBOXは若い奴ら全部任せて、焼きイカをアテに岡部と酌み交わす酒は、最高だった。
薪より先にビーチ遊びから離脱していた曽我も交えて、まったりと呑む昼下がり。
ようやく訪れた休日の平穏に、三人はそれぞれに心地よく羽根を伸ばすのだった。
「薪さん、日焼け止め塗り直しましょうか」
あくびをこらえながらビーチ用お昼寝マットを広げている薪を見つけ、青木が砂浜から一直線に駆け戻ってくる。
全身全霊で薪を慕う青木も、そんな青木を無防備に甘やかす薪のことにも……当初いちいち目くじらを立てていた岡部の視線も、七年の時を経た今は妙に温かい。
旧メンバーたちの寛いだ話し声が耳元を、子守唄みたいに撫でていく。
家族団欒のなかにいる気分とは、こういうものなのだろうか―――
眠りに誘われる薪に寄り添うように、マットからはみ出して突っ伏した大男が、いつの間にか爆睡していた。
二徹明けのバッテリーが、突然に切れたようだった。
「………………………疲れた」
「お疲れさんです。コレで一杯やりませんか?」
岡部の声といい香りに誘われてタープの中を覗くと、七厘の上で剣先イカが香ばしい匂いを纏ってふっくら白く焼き上がっている。
「いいな、最高じゃないか」
濡れ鼠でげっそりした顔をあげた薪の目に、ようやく生気が灯った。
クラブハウスサンドの詰め込まれたランチBOXは若い奴ら全部任せて、焼きイカをアテに岡部と酌み交わす酒は、最高だった。
薪より先にビーチ遊びから離脱していた曽我も交えて、まったりと呑む昼下がり。
ようやく訪れた休日の平穏に、三人はそれぞれに心地よく羽根を伸ばすのだった。
「薪さん、日焼け止め塗り直しましょうか」
あくびをこらえながらビーチ用お昼寝マットを広げている薪を見つけ、青木が砂浜から一直線に駆け戻ってくる。
全身全霊で薪を慕う青木も、そんな青木を無防備に甘やかす薪のことにも……当初いちいち目くじらを立てていた岡部の視線も、七年の時を経た今は妙に温かい。
旧メンバーたちの寛いだ話し声が耳元を、子守唄みたいに撫でていく。
家族団欒のなかにいる気分とは、こういうものなのだろうか―――
眠りに誘われる薪に寄り添うように、マットからはみ出して突っ伏した大男が、いつの間にか爆睡していた。
二徹明けのバッテリーが、突然に切れたようだった。