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145.それぞれの朝 (蒼紫・剣心・張・夢主・斎藤・時尾)
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夜の闇が少しづつ薄くなる。
日はまだ昇らないが明け方の冷んやりとした空気が夜明けが近い事を告げる。
蒼紫はしんと静まり返った神谷道場に戻って来たが抜刀斎が先に戻って来た気配はなかった。
蒼紫は忍び装束から着流しに着替え、座禅を組んだ。
(斎藤は無傷だった・・・闘いもせず抜刀斎とどう決着をつけたのか・・・。)
口先だけで片が付くものなのかと疑問を抱きつつ、そしてもしそうであるならばどんな風に話をしたのだろうかと考えてみた。
蒼紫はまだこの時点で斎藤が決闘をすっぽかした事は知らない。
(斎藤が【人斬りとして決着】をつけたかったことに対して抜刀斎は何との決着をつけたかったのか・・・。)
恵の所で告げられた飛天御剣流は五年以内には撃てなくなるという衝撃的事実。
それは飛天御剣流で剣客をしていた抜刀斎にとっては致命的な事であり、それが使えなくなるという事は永遠に斎藤とは幕末の決着をつけられなくなるという抜刀斎の焦りを測り知る事が出来る・・・と蒼紫は思ったが、
(らしくないぞ、抜刀斎・・・・本当に今になってその決着を望んでいるのか?)
と、呟き蒼紫は瞑想した。
チチチチ・・・。
夜が明け鳥がさえずり始めた。
蒼紫は一つの仮説を立てた。
自分や斎藤のように未だ暗躍で殺しをいとわぬ者以外・・・【緋村剣心】のように人斬りをやめた者はこの明治の時代にその術を失いゆく運命にあるやも・・と。
「【運命】などとそんな事を考える俺ではなかったが・・・これも武尊に霊とかそういう話を聞いた影響か?」
と、蒼紫は呟いた。
だがそれで蒼紫も斎藤と同じ考えに至った。
つまり、人を斬らない抜刀斎はもはや【人斬り抜刀斎】ではない。
斎藤が決着をつけたかったのは【人斬り抜刀斎】であって【緋村剣心】ではないという事であった。
***************
瞑想の最中、蒼紫は神谷道場内敷地の空気が変わったことで抜刀斎が帰って来たと知る。
決着の行方が気になり自然に足がその方向へ向かった。
その方向とは神谷薫の部屋。
蒼紫がそこに着くと入れ違いに薫がパタパタと出て行ったところだった。
「ばっ・・・緋村・・・。」
蒼紫はいつものように抜刀斎と言おうとして緋村と言い直した。
蒼紫にもようやく分かったのだ。
今まで闘ってきたこの男は【抜刀斎】などではなく【緋村剣心】だという事が。
「決着は着いたか?」
「どうやら拙者は愛想をつかされたようでござる・・。」
剣心は少し寂しそうに俯いてそう言った。
「・・そうか。」
つまり斎藤は決闘に応じなかったのだと、蒼紫は初めて悟った。
そして目の前の俯く男を見て一つの時代が終わったのだと蒼紫は思った。
日はまだ昇らないが明け方の冷んやりとした空気が夜明けが近い事を告げる。
蒼紫はしんと静まり返った神谷道場に戻って来たが抜刀斎が先に戻って来た気配はなかった。
蒼紫は忍び装束から着流しに着替え、座禅を組んだ。
(斎藤は無傷だった・・・闘いもせず抜刀斎とどう決着をつけたのか・・・。)
口先だけで片が付くものなのかと疑問を抱きつつ、そしてもしそうであるならばどんな風に話をしたのだろうかと考えてみた。
蒼紫はまだこの時点で斎藤が決闘をすっぽかした事は知らない。
(斎藤が【人斬りとして決着】をつけたかったことに対して抜刀斎は何との決着をつけたかったのか・・・。)
恵の所で告げられた飛天御剣流は五年以内には撃てなくなるという衝撃的事実。
それは飛天御剣流で剣客をしていた抜刀斎にとっては致命的な事であり、それが使えなくなるという事は永遠に斎藤とは幕末の決着をつけられなくなるという抜刀斎の焦りを測り知る事が出来る・・・と蒼紫は思ったが、
(らしくないぞ、抜刀斎・・・・本当に今になってその決着を望んでいるのか?)
と、呟き蒼紫は瞑想した。
チチチチ・・・。
夜が明け鳥がさえずり始めた。
蒼紫は一つの仮説を立てた。
自分や斎藤のように未だ暗躍で殺しをいとわぬ者以外・・・【緋村剣心】のように人斬りをやめた者はこの明治の時代にその術を失いゆく運命にあるやも・・と。
「【運命】などとそんな事を考える俺ではなかったが・・・これも武尊に霊とかそういう話を聞いた影響か?」
と、蒼紫は呟いた。
だがそれで蒼紫も斎藤と同じ考えに至った。
つまり、人を斬らない抜刀斎はもはや【人斬り抜刀斎】ではない。
斎藤が決着をつけたかったのは【人斬り抜刀斎】であって【緋村剣心】ではないという事であった。
***************
瞑想の最中、蒼紫は神谷道場内敷地の空気が変わったことで抜刀斎が帰って来たと知る。
決着の行方が気になり自然に足がその方向へ向かった。
その方向とは神谷薫の部屋。
蒼紫がそこに着くと入れ違いに薫がパタパタと出て行ったところだった。
「ばっ・・・緋村・・・。」
蒼紫はいつものように抜刀斎と言おうとして緋村と言い直した。
蒼紫にもようやく分かったのだ。
今まで闘ってきたこの男は【抜刀斎】などではなく【緋村剣心】だという事が。
「決着は着いたか?」
「どうやら拙者は愛想をつかされたようでござる・・。」
剣心は少し寂しそうに俯いてそう言った。
「・・そうか。」
つまり斎藤は決闘に応じなかったのだと、蒼紫は初めて悟った。
そして目の前の俯く男を見て一つの時代が終わったのだと蒼紫は思った。