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144.新たな恋敵 (夢主・張・斎藤・蒼紫)
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「な・・何?(何か突拍子もない事を言いださなきゃいいんだけど・・。)」
武尊は蒼紫が何を自分に聞こうとしているのか、一瞬不安がよぎった。
「この間操が貰って来た御札の事だ。操の説明ではいまいちよくわからなかった・・・これは武尊が書いたそうだな。」
と、蒼紫は武尊が操に預けた御札を懐から取り出した。
蒼紫の質問が普通の事だったので武尊はほっとした。
それに御札の事は直接蒼紫に伝えたかった事でもあったので御札をちゃんと持っていてくれた事に安心した。
でもいきなりこれを説明しても現実主義の蒼紫に伝わるか不安だった。
「ん~~、これは・・。」
武尊はソファーに座ったまま目の前の蒼紫を見上げた。
武尊は二枚の御札の説明をした。
「蒼紫が京都に帰る時、あの四人を迎えに行くんでしょ・・・こっちはそこでいい事がありますようにっていうおまじないの御札なの。」
「【呪い(まじない)】だと?」
現実主義な蒼紫はそのような類いの物は信じない派だが、武尊のいう事なのでとりあえず話は聞く事にした。
「うん、この御札をお墓の前に置いてから御参りしてみて。」
と片方の御札を示した。
「でも・・もし、そこが嫌な【気】で満ちていたら、こっちの御札をその【気】の方へ投げて。」
と、反対の手を挙げた。
蒼紫は武尊の嫌な【気】という言い方が少し感に触った。
「嫌な【気】というのはまさかあいつらが悪霊になっているということか。」
いくら武尊であっても御庭番衆を愚弄する事は御頭として許せない事である。
蒼紫の鋭くなった視線を武尊は感じながら、それでも武尊は言った、いや、どんなに凄まれても言うべきだと思った。
「そう・・。だけど悪霊になるのは単にその人達が悪人だったからという訳じゃない。蒼紫を慕って慕って、それでも蒼紫の傍に居られなくて苦しくてたまらない気持が蒼紫に対して負の力を持って憑りつくかもしれないという危険があるかもしれないって事から蒼紫を、そして一緒にいる操ちゃんを守りたいの。こっちはその為の御札なの。」
「そんなんが憑りついたら・・あれか?死ぬんか?」
横で話を聞いていた張が興味津々と口を挟んできた。
「うん・・精神的に弱い人だと最悪そうなる事もあるんだって。」
「何で武尊はそないな事知っとんや。」
「私、小さい頃お寺で過ごしたことがあって和尚さんからよくそんな話を聞かされたんだ。」
「へぇ~、そうやったんか。」
と、張は知らなかった武尊の過去を聞いて少し満足した。
「でも、たぶん・・・大丈夫だと思う。私が会ったあの四人はものすごくしっかりしていたから。一応念の為の御札ね、こっちは。」
蒼紫は武尊の話を聞いて部下が愚弄されていたわけではなくて冷静さを取り戻した。
「分かった・・・だがどうやってそれを知るんだ。」
「操ちゃんも一緒に行くんでしょ?」
「嗚呼・・。」
「だったらすぐに分かると思うよ、嫌な【気】が満ちていたら操ちゃんが『何か嫌な気がする』とか『寒気がする!』って言うと思うから。」
「何故操がそういう事を言うんだ?」
「若い女の子はそういう事に敏感なのよ、特に操ちゃんは夢の中で般若と話をしたって言うから霊に対する感度はよさそうだから。」
いきなり霊とか出されて、蒼紫はキツネに包まれたような顔をした。
「という事で私に出来る事で蒼紫にお礼がしたいの、だから御札を試してみて・・・確信は持てないけど彼らに蒼紫の気持ちが伝わりやすくするおまじないの御札だから。」
「嗚呼・・・。」
そんな話半信半疑以上に眉唾ものだと蒼紫は思ったが、武尊の言う事であるからやるだけやってみるかと御札を受け取り懐に入れなおした。
「で、いつ京都に帰るの?」
「一週間後に決めた。」
「そっか、気を付けてね。」
「嗚呼・・・武尊もな。」
「うん。」
武尊は見納めになるであろう蒼紫の顔をよく見た。
本当に初めて会った時の顔とは違う武尊の顔。
(氷のような眼差しの裏に人を労わる繊細な心を持っているだなんて最初は気づきもしなかった・・・そしてこんな私を好きだと言ってくれた人・・・ありがとう・・・蒼紫・・・。)
蒼紫の眼差しを十分に受け止めると次に武尊は張の方を向いた。
(張とも明日でお別れ。いつも元気づけてくれてありがとう、張。)
こうやって急にいろいろな人と別れていくのはきっと今が人生の何らかの節目なんだと武尊は感慨深く思った。
「じゃあ、張、悪いけど明日夜明け前に起こしに来てもらっていい?私、朝あんまり早く起きれないんだ。」
「よっしゃ、ほなまた来るわ。」
「うん、じゃあお休み。蒼紫も今日はありがとう、今から帰ったら遅くなるけどゆっくり休んでね、お休み。」
「嗚呼・・・。」
武尊は二人にお休みと言うと、ソファーに横になった。
実はかなり眠かったのだ、横になった途端に深い睡眠へ入って行った。
「・・・。」
「・・・。」
目の前で寝入っていった武尊を二人の男はしばし見入っていた。
そして互いの存在に気が付き互いを見た。
(貴様さえいなければ夜明けまで武尊の傍にずっといるのに。)
(こいつさえおらんかったら武尊の傍に朝までおるのに。)
と、思いつつ。
だが互いがいる中でここに留まるには相手の存在が自分が感傷に浸るには邪魔であった。
「早よ帰りぃや。あんたはもう用は済んだやろ。」
「お前こそ明け方来ればいいのだろう、さっさとお前の寝床に帰れ。」
と、双方しばし睨み合っていたが互いに譲らないでいたが張はいったん家に帰らないと荷物が取って来れない時間になり、蒼紫は蒼紫で抜刀斎がどうなったかが気になりだした。
二人は牽制しながらじりじりと後ろに下がり部屋の外へ出た。
「抜け駆けはアカンで。」
「・・・貴様こそ。」
と、なんだかんだと互いを見張りつつ張と蒼紫は一緒に警視庁を仕方なく後にしたのだった。
2014. 4.21
武尊は蒼紫が何を自分に聞こうとしているのか、一瞬不安がよぎった。
「この間操が貰って来た御札の事だ。操の説明ではいまいちよくわからなかった・・・これは武尊が書いたそうだな。」
と、蒼紫は武尊が操に預けた御札を懐から取り出した。
蒼紫の質問が普通の事だったので武尊はほっとした。
それに御札の事は直接蒼紫に伝えたかった事でもあったので御札をちゃんと持っていてくれた事に安心した。
でもいきなりこれを説明しても現実主義の蒼紫に伝わるか不安だった。
「ん~~、これは・・。」
武尊はソファーに座ったまま目の前の蒼紫を見上げた。
武尊は二枚の御札の説明をした。
「蒼紫が京都に帰る時、あの四人を迎えに行くんでしょ・・・こっちはそこでいい事がありますようにっていうおまじないの御札なの。」
「【呪い(まじない)】だと?」
現実主義な蒼紫はそのような類いの物は信じない派だが、武尊のいう事なのでとりあえず話は聞く事にした。
「うん、この御札をお墓の前に置いてから御参りしてみて。」
と片方の御札を示した。
「でも・・もし、そこが嫌な【気】で満ちていたら、こっちの御札をその【気】の方へ投げて。」
と、反対の手を挙げた。
蒼紫は武尊の嫌な【気】という言い方が少し感に触った。
「嫌な【気】というのはまさかあいつらが悪霊になっているということか。」
いくら武尊であっても御庭番衆を愚弄する事は御頭として許せない事である。
蒼紫の鋭くなった視線を武尊は感じながら、それでも武尊は言った、いや、どんなに凄まれても言うべきだと思った。
「そう・・。だけど悪霊になるのは単にその人達が悪人だったからという訳じゃない。蒼紫を慕って慕って、それでも蒼紫の傍に居られなくて苦しくてたまらない気持が蒼紫に対して負の力を持って憑りつくかもしれないという危険があるかもしれないって事から蒼紫を、そして一緒にいる操ちゃんを守りたいの。こっちはその為の御札なの。」
「そんなんが憑りついたら・・あれか?死ぬんか?」
横で話を聞いていた張が興味津々と口を挟んできた。
「うん・・精神的に弱い人だと最悪そうなる事もあるんだって。」
「何で武尊はそないな事知っとんや。」
「私、小さい頃お寺で過ごしたことがあって和尚さんからよくそんな話を聞かされたんだ。」
「へぇ~、そうやったんか。」
と、張は知らなかった武尊の過去を聞いて少し満足した。
「でも、たぶん・・・大丈夫だと思う。私が会ったあの四人はものすごくしっかりしていたから。一応念の為の御札ね、こっちは。」
蒼紫は武尊の話を聞いて部下が愚弄されていたわけではなくて冷静さを取り戻した。
「分かった・・・だがどうやってそれを知るんだ。」
「操ちゃんも一緒に行くんでしょ?」
「嗚呼・・。」
「だったらすぐに分かると思うよ、嫌な【気】が満ちていたら操ちゃんが『何か嫌な気がする』とか『寒気がする!』って言うと思うから。」
「何故操がそういう事を言うんだ?」
「若い女の子はそういう事に敏感なのよ、特に操ちゃんは夢の中で般若と話をしたって言うから霊に対する感度はよさそうだから。」
いきなり霊とか出されて、蒼紫はキツネに包まれたような顔をした。
「という事で私に出来る事で蒼紫にお礼がしたいの、だから御札を試してみて・・・確信は持てないけど彼らに蒼紫の気持ちが伝わりやすくするおまじないの御札だから。」
「嗚呼・・・。」
そんな話半信半疑以上に眉唾ものだと蒼紫は思ったが、武尊の言う事であるからやるだけやってみるかと御札を受け取り懐に入れなおした。
「で、いつ京都に帰るの?」
「一週間後に決めた。」
「そっか、気を付けてね。」
「嗚呼・・・武尊もな。」
「うん。」
武尊は見納めになるであろう蒼紫の顔をよく見た。
本当に初めて会った時の顔とは違う武尊の顔。
(氷のような眼差しの裏に人を労わる繊細な心を持っているだなんて最初は気づきもしなかった・・・そしてこんな私を好きだと言ってくれた人・・・ありがとう・・・蒼紫・・・。)
蒼紫の眼差しを十分に受け止めると次に武尊は張の方を向いた。
(張とも明日でお別れ。いつも元気づけてくれてありがとう、張。)
こうやって急にいろいろな人と別れていくのはきっと今が人生の何らかの節目なんだと武尊は感慨深く思った。
「じゃあ、張、悪いけど明日夜明け前に起こしに来てもらっていい?私、朝あんまり早く起きれないんだ。」
「よっしゃ、ほなまた来るわ。」
「うん、じゃあお休み。蒼紫も今日はありがとう、今から帰ったら遅くなるけどゆっくり休んでね、お休み。」
「嗚呼・・・。」
武尊は二人にお休みと言うと、ソファーに横になった。
実はかなり眠かったのだ、横になった途端に深い睡眠へ入って行った。
「・・・。」
「・・・。」
目の前で寝入っていった武尊を二人の男はしばし見入っていた。
そして互いの存在に気が付き互いを見た。
(貴様さえいなければ夜明けまで武尊の傍にずっといるのに。)
(こいつさえおらんかったら武尊の傍に朝までおるのに。)
と、思いつつ。
だが互いがいる中でここに留まるには相手の存在が自分が感傷に浸るには邪魔であった。
「早よ帰りぃや。あんたはもう用は済んだやろ。」
「お前こそ明け方来ればいいのだろう、さっさとお前の寝床に帰れ。」
と、双方しばし睨み合っていたが互いに譲らないでいたが張はいったん家に帰らないと荷物が取って来れない時間になり、蒼紫は蒼紫で抜刀斎がどうなったかが気になりだした。
二人は牽制しながらじりじりと後ろに下がり部屋の外へ出た。
「抜け駆けはアカンで。」
「・・・貴様こそ。」
と、なんだかんだと互いを見張りつつ張と蒼紫は一緒に警視庁を仕方なく後にしたのだった。
2014. 4.21