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144.新たな恋敵 (夢主・張・斎藤・蒼紫)
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張は武尊の提案に一応首を縦に振ったものの、渋い顔をして、
「旦那のなぁ・・、せやけどわいが会津に同行するちゅう事に対してええ顔するんかいな。わい旦那から嫌われてるさかいに。」
と言った。
「そんなことないよ、まあ・・斎藤さんが毒舌なのは仕方がないけど。」
「せやかて、なんやかんや言うていつも文句言いおるし、扱いも酷いで。他にこないに使われまくる密偵おらへんのやないか。【使えん】言われたときはほんま腹たったわ。」
「それは張が【使える】からだよ・・斎藤さん、【使えない】人にはそもそも話振らないよ。その点張は能力的にも精神的にもすごいと思うよ。」
武尊の話を聞いて張はへ?と、目を点にした。
まさかあの超酷い扱いが実はそういう事だったなんて考えもしなかったからだ。
しかし武尊にそう言われてみれば、だんだんそんな気がしてきた張だった。
「だから自分の所の密偵として張を置いたんじゃないのかな。張みたいな優秀な人材(ちょっとおだてとこ・・)は斎藤さん以外は扱えなさそうだもん。」
「なるほど、・・せやな、自分で言うのも何やけど、わいみたいな優秀な人材はそないにおらんと思うで。」
と、先程の不平不満は何処へやら、立ち直りが早い張だった。
「でもね、その一方で張が遅かれ早かれ警察を離れるっていう事も斎藤さんには分かってたと思うよ。張の性格では密偵みたいに縛られる仕事はきっと面白くなくなるって事が分かってるからわざと冷たくして張が早く警察を離れるように仕向けたかもね。下手に情けを掛けたらきっと張は明治政府のやり方と人情の板挟みになるって思ったかもしれないし。」
「・・・。」
いつの間に自分の性格なんか把握されたのだろうか。
張は自分でも軽い男を演じていたがそのくせ実は義理堅い性格であると思っている。
今までの薄い仕事上の付き合いだけでそこまで見透かされていたのなら何と恐ろしいことだと張は思った。
そして武尊の話が本当なら全くそうだとは気が付かせなかった斎藤の言動に舌を巻いた。
斎藤という男は自分よりも一枚も二枚も上を行く相手だったという事に気が付いて張は志々雄以外に初めて敵わない相手だと思った。
「・・・その話、旦那がそう言っとったんか?」
「ううん、でも多分そうじゃないかなって思う・・・だって・・斎藤さん優しいもの。」
「・・・さよか。」
ふぅ、とため息いをついて張は椅子を引き出してきて武尊に面して座った。
「ほな、夜が明けたら旦那のとこ行こか・・。」
「うん、夜が明ける前に宿直さんに鍵を開けてもらって大包平取ってこよ。」
「あんなお宝そう簡単に渡してくれるんか?」
「まぁ・・川路から許可を取ってるっていう事にしとこ・・っと。後で川路に怒られるかもしれないけど、あの刀は私の為に持って来てくれただけだから返しに行く事についてだめだとは言われないと思う。じゃあ張、会津まで時尾さんをよろしくね。」
「しゃあないな、わいもそれでお宝頂いて警察とおさらば出来るさかいに、今後は楽しい人生を歩ませてもらいまっせ。」
「うん、元気でね、張。短い間だったけど張がいてくれて楽しかったよ。」
「わいもや、武尊がおってくれたお陰でつまらん密偵の仕事も少しは楽しく出来たさかいに。」
「あ、ごめん!たくさんご飯食べさせてもらったのに返すお金が今ない・・・。」
「そないなもん返さんでもええわ、せやけどどうしても武尊が返したい言うんやったら何時か何処かで会った時でええで。ほんならわいもこれから先生きる楽しみが出来るさかいに。」
と、張は武尊に得意のウインクをしてみせた。
そして昨晩のある意味ヤケ酒を飲んだ時には言おうと思っていた自分の武尊に対する気持ちを胸の底にそっと閉まった。
それが張の愛し方。
無防備な武尊をこのまま押し倒すのは簡単だか、そんな事をしてしまえば武尊を泣かせてしまう。
張の守りたいもの、それは武尊の泣き顔ではなく笑った顔なのだ。
そして仲のいい同僚という関係でいれば自分はこれから先もずっと【仲のいい同僚】だったと武尊の心に残る事が出来る・・・と。
張は嫌われて自分の存在を消されるよりは今のままでも武尊の心に残る方を選んだ。
「張・・・。」
武尊にはいつも前向きな張が本当に羨ましく思えた。
自分にもそんな強さがあったらと、武尊は張を見ながらそう思った。
「せやけ、武尊も生きいや。これから先どうするかは知らへんけど、生きてさえいればそのうちきっとええことあるさかいに。」
「・・・・・・。」
(ん?)
張は返事が返ってこない武尊をよくよく見ると、武尊はランプの灯りを見ていた。
いや、ランプの灯りをその瞳に映して遠くを見ていた・・・深い悲しみの色をたたえて。
「ちょっ・・どないしたんや武尊、急に・・。」
何か悪い事を言ったかと張は慌てた。
「旦那のなぁ・・、せやけどわいが会津に同行するちゅう事に対してええ顔するんかいな。わい旦那から嫌われてるさかいに。」
と言った。
「そんなことないよ、まあ・・斎藤さんが毒舌なのは仕方がないけど。」
「せやかて、なんやかんや言うていつも文句言いおるし、扱いも酷いで。他にこないに使われまくる密偵おらへんのやないか。【使えん】言われたときはほんま腹たったわ。」
「それは張が【使える】からだよ・・斎藤さん、【使えない】人にはそもそも話振らないよ。その点張は能力的にも精神的にもすごいと思うよ。」
武尊の話を聞いて張はへ?と、目を点にした。
まさかあの超酷い扱いが実はそういう事だったなんて考えもしなかったからだ。
しかし武尊にそう言われてみれば、だんだんそんな気がしてきた張だった。
「だから自分の所の密偵として張を置いたんじゃないのかな。張みたいな優秀な人材(ちょっとおだてとこ・・)は斎藤さん以外は扱えなさそうだもん。」
「なるほど、・・せやな、自分で言うのも何やけど、わいみたいな優秀な人材はそないにおらんと思うで。」
と、先程の不平不満は何処へやら、立ち直りが早い張だった。
「でもね、その一方で張が遅かれ早かれ警察を離れるっていう事も斎藤さんには分かってたと思うよ。張の性格では密偵みたいに縛られる仕事はきっと面白くなくなるって事が分かってるからわざと冷たくして張が早く警察を離れるように仕向けたかもね。下手に情けを掛けたらきっと張は明治政府のやり方と人情の板挟みになるって思ったかもしれないし。」
「・・・。」
いつの間に自分の性格なんか把握されたのだろうか。
張は自分でも軽い男を演じていたがそのくせ実は義理堅い性格であると思っている。
今までの薄い仕事上の付き合いだけでそこまで見透かされていたのなら何と恐ろしいことだと張は思った。
そして武尊の話が本当なら全くそうだとは気が付かせなかった斎藤の言動に舌を巻いた。
斎藤という男は自分よりも一枚も二枚も上を行く相手だったという事に気が付いて張は志々雄以外に初めて敵わない相手だと思った。
「・・・その話、旦那がそう言っとったんか?」
「ううん、でも多分そうじゃないかなって思う・・・だって・・斎藤さん優しいもの。」
「・・・さよか。」
ふぅ、とため息いをついて張は椅子を引き出してきて武尊に面して座った。
「ほな、夜が明けたら旦那のとこ行こか・・。」
「うん、夜が明ける前に宿直さんに鍵を開けてもらって大包平取ってこよ。」
「あんなお宝そう簡単に渡してくれるんか?」
「まぁ・・川路から許可を取ってるっていう事にしとこ・・っと。後で川路に怒られるかもしれないけど、あの刀は私の為に持って来てくれただけだから返しに行く事についてだめだとは言われないと思う。じゃあ張、会津まで時尾さんをよろしくね。」
「しゃあないな、わいもそれでお宝頂いて警察とおさらば出来るさかいに、今後は楽しい人生を歩ませてもらいまっせ。」
「うん、元気でね、張。短い間だったけど張がいてくれて楽しかったよ。」
「わいもや、武尊がおってくれたお陰でつまらん密偵の仕事も少しは楽しく出来たさかいに。」
「あ、ごめん!たくさんご飯食べさせてもらったのに返すお金が今ない・・・。」
「そないなもん返さんでもええわ、せやけどどうしても武尊が返したい言うんやったら何時か何処かで会った時でええで。ほんならわいもこれから先生きる楽しみが出来るさかいに。」
と、張は武尊に得意のウインクをしてみせた。
そして昨晩のある意味ヤケ酒を飲んだ時には言おうと思っていた自分の武尊に対する気持ちを胸の底にそっと閉まった。
それが張の愛し方。
無防備な武尊をこのまま押し倒すのは簡単だか、そんな事をしてしまえば武尊を泣かせてしまう。
張の守りたいもの、それは武尊の泣き顔ではなく笑った顔なのだ。
そして仲のいい同僚という関係でいれば自分はこれから先もずっと【仲のいい同僚】だったと武尊の心に残る事が出来る・・・と。
張は嫌われて自分の存在を消されるよりは今のままでも武尊の心に残る方を選んだ。
「張・・・。」
武尊にはいつも前向きな張が本当に羨ましく思えた。
自分にもそんな強さがあったらと、武尊は張を見ながらそう思った。
「せやけ、武尊も生きいや。これから先どうするかは知らへんけど、生きてさえいればそのうちきっとええことあるさかいに。」
「・・・・・・。」
(ん?)
張は返事が返ってこない武尊をよくよく見ると、武尊はランプの灯りを見ていた。
いや、ランプの灯りをその瞳に映して遠くを見ていた・・・深い悲しみの色をたたえて。
「ちょっ・・どないしたんや武尊、急に・・。」
何か悪い事を言ったかと張は慌てた。