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143.お宝返却 (夢主・斎藤・張)
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「・・・・・。」
「・・・・・。」
絶句・・・少しの間、武尊も張も無言で何も言えなかった。
「何ちゅうか・・・どうなんやろ、あれ・・。」
「どうなんだろうね・・・。」
二人は顔を見合わせて、聞いてはいけなかったものを聞いてしまったような錯覚に落ちていた。
「独占欲強すぎやわ、旦那は。」
「・・・。」
嬉しいような気もするけど斎藤に妻への愛を一番にして欲しい武尊としては心中複雑だ。
「ま・・とりあえず決闘もなかったし私としてはよかったかな・・・張、悪いけどランプ点けてもらえる?」
と、武尊はよたよたとソファーに座りこんだ。
その様子に張が心配して、
「どないしたんや武尊、何処かまた悪いんか。」
「・・・違っ・・斎藤さんの口付けで力が入らないの。手にもね・・・もう立ってられなくって・・。」
「あ、さようでっか、ごちそうさん。」
「~~~~。」
武尊は自爆して恥ずかしいと片手で顔を覆った。
張に灯りを点けてもらったのは、任務と違ってこんな時にやっぱり張と暗闇の中二人っきりになるのは怖かったから。
それと、緊張が一気にとけて、日中の荷物の積み込みや先程の猛ダッシュで疲れが眠気に変わりかけていたから。
「で、話って何や。」
張にそう話を振られて武尊は顔をあげた。
「・・・警視庁の金目のものを持っておさらばする気だったって・・・本当?」
「せやな・・やっぱわいには警察の密偵みたいな仕事は向いとらんさかい、旦那からこき使われるのも我慢の限界超えてもうたしボチボチ潮時や。」
張は止めてももう自分の決心は変わらへんと思いつつもそれを止めてくれるのかと思っていたら、
「そっか・・、そうだよね。」
と、武尊は肯定の返事をした。
がくっと膝が折れそうになったが流石張、関西人は突っ込みに強かった。
「何や武尊、てっきり止めてくれるんや思ったで。」
「無理でしょ、張は腕はいいけど一から十まで細かに指示されるのは苦手でしょ?張は自由人だからいつトンズラするかと思ってたけどそれが今日だったんだね。」
「自由人ちゅうのはよーわからんけど、ま、【気ままに生きる】ちゅうのがわいの流儀なんは確かやな。」
「で、支度金がいったんだ。」
「まあ、そういうこっちゃな。」
「大包平は?」
大包平・・・それは幕末武尊の兄が持っていたと聞いた名刀で今は総務の金庫にある。
現金も金庫にあろうが、張にとってはいくら現金を積まれようとも大包平に比べるとはした金にも値しない。
張はもちろん大包平も頂いていく気だったが、兄がいない今それは武尊の持ち物でもある。
それを本人を目の前にして頂いていくとは流石に言いづらい。
かといって今見逃せば二度と目に触れる事さえないだろうと思われるお宝なのだ。
張が悩んでいると、
「もらっちゃえば?」
と、武尊の信じられない声が聞こえたきた。
「は?」
思わずアゴが外れそうになるまで口を開けて驚いた張だった。
「武尊、そないに簡単に言ってええことちゃうで!一国が買えるちゅうお宝やで!価値わかっとんか!」
「私は鑑定眼とか持ってないからすごくいい刀ぐらいだと感じるだけで価値ははっきり言ってよくわからないよ。刀にとっては価値がわかる人が持った方がいいんじゃない?張ならきっと大事にしてくれるでしょ?」
「ん~~。」
張は腕を組んで考えた。
自分でも刀の鑑定には自信があると自負する張。
だから本当に喉から手が出るほど欲しい。
「本当にわいがもらってええんか。後から返してゆうても返さへんで。」
「いいよ。私だって兄が供養してってお寺に預けた物を坊主のくせに猫ぱぱみたいな事をされるのは許せないしね。」
「せやけどな~、あれは武尊にしか抜けへん刀やからなぁ・・・。」
そうなのだ、あの刀は張には抜けなかったのだ。
だがたとえ抜けないとしても刀のコレクターとしてはやはり欲しい気持ちには変わりない。
んー、んー、と悩んでいると武尊から
「欲しいの?欲しくないの?」
とビシッと聞かれた。
その強い口調に思わず反射的に、
「そりゃ欲しいに決まっとんねん!」
と答えてしまった張だった。
張のその返事を聞いて武尊は小さく笑みを浮かべて、
「じゃ、持ってっていいよ。だけどその前に一つお願い。」
武尊に【お願い】と言われて、
(やっぱなんかあんねん・・そう都合よくくれるちゅう訳がないねんな・・。)
と思いつつ
「お願いって何や・・。」
と張は答えた。
「ここで盗んでったら斎藤さんにもバレバレでしょ?借りてきた川路の立場もなくなるし、あのお寺からそれこそとやかく言われそうだし、張もお尋ね者になっちゃうじゃん。」
「別にかまへんし、それこそ愛刀で迎え撃ち出来てええんかもしれへんで。」
「だめだって、明治政府なんかとまともにやり合っちゃ馬鹿をみるからやめといたほうがいいよ。人が斬りたいならこそっと・・悪い奴限定だけどね・・・。」
張はその武尊の言葉を聞いて驚いた。
「まさか武尊がそないな事言うとは思わへんかった。」
だが驚いていたのは張だけではなかった。
武尊自身も自分がそのような事を言った事に動揺した。
「・・・私は・・・・誰でもかまわないと言ったわけじゃない。闘わなければこっちが殺られる時とかは仕方がないし、法で裁けない相手や悪党同士だったら・・・。」
と、武尊はそう言って黙ってしまった。
張に理由を追加で述べたところで自分が無意識でどのように思っていたかを認識したからだ。
「まるで旦那みたいな考え方やな。・・ま、せやな、明治政府もえげつない所はえげつないさかい。まともに相手したらアホかもしれへんな。」
張の言葉にはっと我に返って、武尊はいつもの表情を装った。
「・・・で、お尋ね者にならない方法があるんだけど、どう?同じトンズラするなら乗ってみない?」
「そないに都合のええ方法があるんか?」
「あるある。」
武尊はにっと笑って、
「それはね・・・。」
と、張にその作戦を話した。
それは刀を川路の代理として預かり、元あった会津の寺に返納しに行くという事。
そして寺から確かに受け取ったと書状を書かせた後でお寺に盗みに入ってお宝ゲットという作戦だった。
【十本刀の張】だったらそんな田舎の寺から盗みだすなんてきっと朝飯前のことだろう。
そして先ほどの武尊の【お願い】と言うのは会津に刀を返納するにあたり、時尾と一緒に(時尾の護衛として)会津まで行って欲しいという事だった。
2014. 4.16
「・・・・・。」
絶句・・・少しの間、武尊も張も無言で何も言えなかった。
「何ちゅうか・・・どうなんやろ、あれ・・。」
「どうなんだろうね・・・。」
二人は顔を見合わせて、聞いてはいけなかったものを聞いてしまったような錯覚に落ちていた。
「独占欲強すぎやわ、旦那は。」
「・・・。」
嬉しいような気もするけど斎藤に妻への愛を一番にして欲しい武尊としては心中複雑だ。
「ま・・とりあえず決闘もなかったし私としてはよかったかな・・・張、悪いけどランプ点けてもらえる?」
と、武尊はよたよたとソファーに座りこんだ。
その様子に張が心配して、
「どないしたんや武尊、何処かまた悪いんか。」
「・・・違っ・・斎藤さんの口付けで力が入らないの。手にもね・・・もう立ってられなくって・・。」
「あ、さようでっか、ごちそうさん。」
「~~~~。」
武尊は自爆して恥ずかしいと片手で顔を覆った。
張に灯りを点けてもらったのは、任務と違ってこんな時にやっぱり張と暗闇の中二人っきりになるのは怖かったから。
それと、緊張が一気にとけて、日中の荷物の積み込みや先程の猛ダッシュで疲れが眠気に変わりかけていたから。
「で、話って何や。」
張にそう話を振られて武尊は顔をあげた。
「・・・警視庁の金目のものを持っておさらばする気だったって・・・本当?」
「せやな・・やっぱわいには警察の密偵みたいな仕事は向いとらんさかい、旦那からこき使われるのも我慢の限界超えてもうたしボチボチ潮時や。」
張は止めてももう自分の決心は変わらへんと思いつつもそれを止めてくれるのかと思っていたら、
「そっか・・、そうだよね。」
と、武尊は肯定の返事をした。
がくっと膝が折れそうになったが流石張、関西人は突っ込みに強かった。
「何や武尊、てっきり止めてくれるんや思ったで。」
「無理でしょ、張は腕はいいけど一から十まで細かに指示されるのは苦手でしょ?張は自由人だからいつトンズラするかと思ってたけどそれが今日だったんだね。」
「自由人ちゅうのはよーわからんけど、ま、【気ままに生きる】ちゅうのがわいの流儀なんは確かやな。」
「で、支度金がいったんだ。」
「まあ、そういうこっちゃな。」
「大包平は?」
大包平・・・それは幕末武尊の兄が持っていたと聞いた名刀で今は総務の金庫にある。
現金も金庫にあろうが、張にとってはいくら現金を積まれようとも大包平に比べるとはした金にも値しない。
張はもちろん大包平も頂いていく気だったが、兄がいない今それは武尊の持ち物でもある。
それを本人を目の前にして頂いていくとは流石に言いづらい。
かといって今見逃せば二度と目に触れる事さえないだろうと思われるお宝なのだ。
張が悩んでいると、
「もらっちゃえば?」
と、武尊の信じられない声が聞こえたきた。
「は?」
思わずアゴが外れそうになるまで口を開けて驚いた張だった。
「武尊、そないに簡単に言ってええことちゃうで!一国が買えるちゅうお宝やで!価値わかっとんか!」
「私は鑑定眼とか持ってないからすごくいい刀ぐらいだと感じるだけで価値ははっきり言ってよくわからないよ。刀にとっては価値がわかる人が持った方がいいんじゃない?張ならきっと大事にしてくれるでしょ?」
「ん~~。」
張は腕を組んで考えた。
自分でも刀の鑑定には自信があると自負する張。
だから本当に喉から手が出るほど欲しい。
「本当にわいがもらってええんか。後から返してゆうても返さへんで。」
「いいよ。私だって兄が供養してってお寺に預けた物を坊主のくせに猫ぱぱみたいな事をされるのは許せないしね。」
「せやけどな~、あれは武尊にしか抜けへん刀やからなぁ・・・。」
そうなのだ、あの刀は張には抜けなかったのだ。
だがたとえ抜けないとしても刀のコレクターとしてはやはり欲しい気持ちには変わりない。
んー、んー、と悩んでいると武尊から
「欲しいの?欲しくないの?」
とビシッと聞かれた。
その強い口調に思わず反射的に、
「そりゃ欲しいに決まっとんねん!」
と答えてしまった張だった。
張のその返事を聞いて武尊は小さく笑みを浮かべて、
「じゃ、持ってっていいよ。だけどその前に一つお願い。」
武尊に【お願い】と言われて、
(やっぱなんかあんねん・・そう都合よくくれるちゅう訳がないねんな・・。)
と思いつつ
「お願いって何や・・。」
と張は答えた。
「ここで盗んでったら斎藤さんにもバレバレでしょ?借りてきた川路の立場もなくなるし、あのお寺からそれこそとやかく言われそうだし、張もお尋ね者になっちゃうじゃん。」
「別にかまへんし、それこそ愛刀で迎え撃ち出来てええんかもしれへんで。」
「だめだって、明治政府なんかとまともにやり合っちゃ馬鹿をみるからやめといたほうがいいよ。人が斬りたいならこそっと・・悪い奴限定だけどね・・・。」
張はその武尊の言葉を聞いて驚いた。
「まさか武尊がそないな事言うとは思わへんかった。」
だが驚いていたのは張だけではなかった。
武尊自身も自分がそのような事を言った事に動揺した。
「・・・私は・・・・誰でもかまわないと言ったわけじゃない。闘わなければこっちが殺られる時とかは仕方がないし、法で裁けない相手や悪党同士だったら・・・。」
と、武尊はそう言って黙ってしまった。
張に理由を追加で述べたところで自分が無意識でどのように思っていたかを認識したからだ。
「まるで旦那みたいな考え方やな。・・ま、せやな、明治政府もえげつない所はえげつないさかい。まともに相手したらアホかもしれへんな。」
張の言葉にはっと我に返って、武尊はいつもの表情を装った。
「・・・で、お尋ね者にならない方法があるんだけど、どう?同じトンズラするなら乗ってみない?」
「そないに都合のええ方法があるんか?」
「あるある。」
武尊はにっと笑って、
「それはね・・・。」
と、張にその作戦を話した。
それは刀を川路の代理として預かり、元あった会津の寺に返納しに行くという事。
そして寺から確かに受け取ったと書状を書かせた後でお寺に盗みに入ってお宝ゲットという作戦だった。
【十本刀の張】だったらそんな田舎の寺から盗みだすなんてきっと朝飯前のことだろう。
そして先ほどの武尊の【お願い】と言うのは会津に刀を返納するにあたり、時尾と一緒に(時尾の護衛として)会津まで行って欲しいという事だった。
2014. 4.16