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141.届いた果たし状 (蒼紫・恵・斎藤・張・剣心組)
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【どんなに気をつけていても四、五年後に飛天御剣流は撃てなくなる】
その言葉に皆がショックを受けた。
だが言われた本人は穏やかに笑み薫を振り返りその手を取ってこう言った。
「薫殿・・心配ないでござるよ、たとえ今後飛天御剣流が撃てなくなったとしても拙者の闘いの人生が終わるわけではないでござるのだから。」
「剣・心・・。」
薫は握りしめられた手をぐっと握り返し涙を一粒ずつこぼした。
そんな薫の手を優しく包みつつ剣心は、
「さあ、今日は弥彦の快気祝いで赤べこでお昼でござったな。よかったら恵殿も一緒に・・」
と、声をかけた。
「ごめんなさい、剣さん。私まだ診療がありますのでお気持ちだけ頂きます。」
「左様でござるか、残念だが仕方ないでござるな。」
「ええ、楽しんできてくださいね。」
と、恵は剣心に微笑み返した。
それでは赤べこへ行くべと一同が動き始めた時だった。
「操、皆と先に行っててくれ。俺は後から追いつく。」
と、蒼紫が言った。
「蒼紫様どうかされたんですか?」
急な蒼紫の言葉に操は首を傾げた。
「どうかしたのか蒼紫。」
と、剣心もどうしたことかと蒼紫を振り返った。
「いや・・・大したことではないが病について高荷恵に聞きたいことが・・・。」
「なんだ、御頭さんも病気かなんか持ってたのかよ、水くせぇな。」
と、左之助は何を勝手に思い込んだのかキシシと笑った。
「誰が病気だと言った。」
と蒼紫はむっとして即座に反論した。
むろん先ほどの恵に聞きたい事があるというのは虚言で単にここに残る為の口実であった。
だがそれに気付く者は誰もいなかった。
「そうよ、あんたは黙ってなさいよ。蒼紫様が御病気のはずがないんだから!」
と、操が言う傍ら弥彦はお前ら御庭番衆はどこか頭が病気なとこあるじゃねぇか、とも思ったがそれは左之助も同じか、と弥彦は左之助を見た。
また収集がつかなくなりそうな所で剣心が、
「恵殿ほど病に詳しい医者もそうざらにはおらんでござる、蒼紫もその辺で聞きたいことがあるのでござろう。とりあえず拙者達は赤べこへ向かうでござる、燕殿も待ってるでござろうから。」
「そうだな、今日は嬢ちゃんのおごりだしさっさと行くぜ!」
「今日だけよ、左之助!今日だけなんだから!」
と念を押す薫に左之助はカラカラ笑って先頭に立って赤べこへ向かうのであった。
こうして御一行は診療所から出て行った。
ガヤガヤと騒がしい集団がいなくなって元の静けさを取り戻した診療所。
『病って何よっ。』と恵が蒼紫に聞こうとした矢先、先に蒼紫が口を開いた。
「お前はあれでよかったのか。」
と蒼紫は緋村が出て行って後を見送る様に恵に言った。
「・・え?」
あの四乃森蒼紫が一体なんのことを言っているのか恵は一瞬が理解できなかった。
蒼紫は恵が剣心に恋心を抱いている事を知っている。
恵はこの男がその事を言っているのだと数秒後に気が付いた。
「まさか・・・あんたからそんな事を言われるなんて思いもしなかったわ、気を使ってくれてるの?」
恵は照れを隠すように長い髪を書き上げた。
「気を使っているわけではない。」
だが蒼紫にそう即答されて、
(あっそう、やっぱり。この男が他人に気をつかうような奴じゃないわよね。)
と、恵が軽くため息を漏らすと同時に恵はまさかこの男がそんな事を?と思うような発言を聞いた。
「・・・女とはそういう者なのか。」
「何が?」
「あれほど好きだった者への恋心をそうあっさりと捨てられるのか・・・。」
まさか自分が四乃森蒼紫と恋愛について論じる日がこようとは天地がひっくり返ってもあり得ないと恵は思っていた。
この男のどこにそんな感情があったのだろう。
いや、確かにあの隠密御庭番衆御頭という地位にあっても彼も一人の男だったのだという事を恵は最近知ったのだった。
「・・・それは武尊の事を言ってるの?」
「・・・。」
「女は一般に諦めが早いの。実らない恋をいつまでも追い続けても自分が苦しいだけ・・それよりも新しい男を見つけて幸せになった方が良いもの。・・女はね、自分が幸せでありたいのよ。たとえ薫さんが死んでも剣さんは決して私に振り向いてはくれないわ・・それがはっきりと分かったもの・・・いえ、以前から分かっていた事だったのにね、未練だったのよ・・・。」
最後に少しだけ本音を漏らした恵。
瞳の奥底に剣心の笑顔を写し、それは遠い思い出だったのよと恵は自分に言い聞かせていると、じっと無言のまま自分を見る蒼紫に気が付いた。
恵はそれに気が付いて赤面しつつコホンと咳払いをした。
そして目の前で石像のように立っている蒼紫に恵なりの結論を突き付けた。
「でも恋愛は人それぞれよ。当たり前だけと私と違う考えの女性もいるわよ。そんな事もわからないなんてあんたは馬鹿よ、四乃森蒼紫・・・。あれだけ頭が切れるのに武尊の事になるとてんでその頭も回らないんだから。人が人を想う想い方なんて皆違うんだから武尊も私と同じとは考えない方が良いわよ。あーあ、病は病でも恋の病についての質問だったなんてね。」
恵に馬鹿と言われたからなのか蒼紫の恵に対する視線が険しくなった。
「あら、そんなに睨まなくってもいいでしょ。でも最後に一つだけ・・・言って置くわ。武尊はきっと斎藤以外は選ばない・・・それでもあなたは武尊を追いかけるの?」
恵にここまで言われて蒼紫はようやく口を開いた。
「人の想いは人それぞれとお前がそう言ったのではないのか。俺が武尊をどう想おうがお前には関係あるまい。」
ハァ~~~と、恵は長いため息をついた。
確かにそうだけど恋愛相談をしたかったんじゃないのかこの男はと、恵は思った。
「たとえ武尊の心に俺の入る隙間がなくとも俺にはそう簡単に武尊を忘れることなど出来ん。」
「いいんじゃないの、恋心なんて無理に忘れようとしたって出来はしないんだから・・・。だけど不思議ね、あなたとこんな話をする日が来るなんて観柳邸にいた頃は考えつきもしなかったわ。」
と、恵は観柳邸最後の日を思い返した。
「あの日、あなたが短刀を私に返さないで私を殺していればこんな事を話すこともなく、剣さんと一緒に行動することもなかったはず・・・。」
「そうだな、お前を殺していれば俺も観柳邸の後、今こうして生きていたのかどうかはわからん・・・。」
あの時剣心に勝って最強の称号を手にしていたとしても、四人の部下がいなければやはりこの世を生きようという気持ちなどなかったかもしれないと蒼紫は思った。
ただ現実は志々雄のアジトで抜刀斎に敗れ、その結果悟った道・・・御庭番衆最後の御頭としてやらなければならないことを遂行する。自分の生きる意味はそこにあると蒼紫は思っていた。
だが己という【個の】生きる意味を・・・武尊と出会って初めて気づかされた。
蒼紫は生まれてこの方、こんなにも自分の心が他人の存在で一杯になったことなどなかったのだ。
「・・・昨日は武尊の診察の日だったな、武尊は来たか。」
「ええ、ちゃんと来たわ。」
「どんな具合だった・・・。」
「あの時の傷はかさぶたになって大分よくなっていたのに背中を売って傷がまた開いた所があったわ。背中一面に打ち身で蒼くなってたし。木から落ちたって言ってたけど本当は何やってたのかしら。怪我人はおとなしくしておきなさいって言ったのに。」
と、恵は両手を腰にやり気を荒げた。
蒼紫も左之助にやられた背中のことは気になっていたが、とりあえず背中の傷が・・・己が刻んだ回転剣舞六連・・・の傷が良くなっているならばと少し安堵した。
「本当にあんな傷をつけた奴ってどんな奴なのかしら、女を何だと思っているのよいったい!」
憤怒する恵の前で蒼紫は
「そうだな・・・。」
と小さく呟いた。
その言葉に皆がショックを受けた。
だが言われた本人は穏やかに笑み薫を振り返りその手を取ってこう言った。
「薫殿・・心配ないでござるよ、たとえ今後飛天御剣流が撃てなくなったとしても拙者の闘いの人生が終わるわけではないでござるのだから。」
「剣・心・・。」
薫は握りしめられた手をぐっと握り返し涙を一粒ずつこぼした。
そんな薫の手を優しく包みつつ剣心は、
「さあ、今日は弥彦の快気祝いで赤べこでお昼でござったな。よかったら恵殿も一緒に・・」
と、声をかけた。
「ごめんなさい、剣さん。私まだ診療がありますのでお気持ちだけ頂きます。」
「左様でござるか、残念だが仕方ないでござるな。」
「ええ、楽しんできてくださいね。」
と、恵は剣心に微笑み返した。
それでは赤べこへ行くべと一同が動き始めた時だった。
「操、皆と先に行っててくれ。俺は後から追いつく。」
と、蒼紫が言った。
「蒼紫様どうかされたんですか?」
急な蒼紫の言葉に操は首を傾げた。
「どうかしたのか蒼紫。」
と、剣心もどうしたことかと蒼紫を振り返った。
「いや・・・大したことではないが病について高荷恵に聞きたいことが・・・。」
「なんだ、御頭さんも病気かなんか持ってたのかよ、水くせぇな。」
と、左之助は何を勝手に思い込んだのかキシシと笑った。
「誰が病気だと言った。」
と蒼紫はむっとして即座に反論した。
むろん先ほどの恵に聞きたい事があるというのは虚言で単にここに残る為の口実であった。
だがそれに気付く者は誰もいなかった。
「そうよ、あんたは黙ってなさいよ。蒼紫様が御病気のはずがないんだから!」
と、操が言う傍ら弥彦はお前ら御庭番衆はどこか頭が病気なとこあるじゃねぇか、とも思ったがそれは左之助も同じか、と弥彦は左之助を見た。
また収集がつかなくなりそうな所で剣心が、
「恵殿ほど病に詳しい医者もそうざらにはおらんでござる、蒼紫もその辺で聞きたいことがあるのでござろう。とりあえず拙者達は赤べこへ向かうでござる、燕殿も待ってるでござろうから。」
「そうだな、今日は嬢ちゃんのおごりだしさっさと行くぜ!」
「今日だけよ、左之助!今日だけなんだから!」
と念を押す薫に左之助はカラカラ笑って先頭に立って赤べこへ向かうのであった。
こうして御一行は診療所から出て行った。
ガヤガヤと騒がしい集団がいなくなって元の静けさを取り戻した診療所。
『病って何よっ。』と恵が蒼紫に聞こうとした矢先、先に蒼紫が口を開いた。
「お前はあれでよかったのか。」
と蒼紫は緋村が出て行って後を見送る様に恵に言った。
「・・え?」
あの四乃森蒼紫が一体なんのことを言っているのか恵は一瞬が理解できなかった。
蒼紫は恵が剣心に恋心を抱いている事を知っている。
恵はこの男がその事を言っているのだと数秒後に気が付いた。
「まさか・・・あんたからそんな事を言われるなんて思いもしなかったわ、気を使ってくれてるの?」
恵は照れを隠すように長い髪を書き上げた。
「気を使っているわけではない。」
だが蒼紫にそう即答されて、
(あっそう、やっぱり。この男が他人に気をつかうような奴じゃないわよね。)
と、恵が軽くため息を漏らすと同時に恵はまさかこの男がそんな事を?と思うような発言を聞いた。
「・・・女とはそういう者なのか。」
「何が?」
「あれほど好きだった者への恋心をそうあっさりと捨てられるのか・・・。」
まさか自分が四乃森蒼紫と恋愛について論じる日がこようとは天地がひっくり返ってもあり得ないと恵は思っていた。
この男のどこにそんな感情があったのだろう。
いや、確かにあの隠密御庭番衆御頭という地位にあっても彼も一人の男だったのだという事を恵は最近知ったのだった。
「・・・それは武尊の事を言ってるの?」
「・・・。」
「女は一般に諦めが早いの。実らない恋をいつまでも追い続けても自分が苦しいだけ・・それよりも新しい男を見つけて幸せになった方が良いもの。・・女はね、自分が幸せでありたいのよ。たとえ薫さんが死んでも剣さんは決して私に振り向いてはくれないわ・・それがはっきりと分かったもの・・・いえ、以前から分かっていた事だったのにね、未練だったのよ・・・。」
最後に少しだけ本音を漏らした恵。
瞳の奥底に剣心の笑顔を写し、それは遠い思い出だったのよと恵は自分に言い聞かせていると、じっと無言のまま自分を見る蒼紫に気が付いた。
恵はそれに気が付いて赤面しつつコホンと咳払いをした。
そして目の前で石像のように立っている蒼紫に恵なりの結論を突き付けた。
「でも恋愛は人それぞれよ。当たり前だけと私と違う考えの女性もいるわよ。そんな事もわからないなんてあんたは馬鹿よ、四乃森蒼紫・・・。あれだけ頭が切れるのに武尊の事になるとてんでその頭も回らないんだから。人が人を想う想い方なんて皆違うんだから武尊も私と同じとは考えない方が良いわよ。あーあ、病は病でも恋の病についての質問だったなんてね。」
恵に馬鹿と言われたからなのか蒼紫の恵に対する視線が険しくなった。
「あら、そんなに睨まなくってもいいでしょ。でも最後に一つだけ・・・言って置くわ。武尊はきっと斎藤以外は選ばない・・・それでもあなたは武尊を追いかけるの?」
恵にここまで言われて蒼紫はようやく口を開いた。
「人の想いは人それぞれとお前がそう言ったのではないのか。俺が武尊をどう想おうがお前には関係あるまい。」
ハァ~~~と、恵は長いため息をついた。
確かにそうだけど恋愛相談をしたかったんじゃないのかこの男はと、恵は思った。
「たとえ武尊の心に俺の入る隙間がなくとも俺にはそう簡単に武尊を忘れることなど出来ん。」
「いいんじゃないの、恋心なんて無理に忘れようとしたって出来はしないんだから・・・。だけど不思議ね、あなたとこんな話をする日が来るなんて観柳邸にいた頃は考えつきもしなかったわ。」
と、恵は観柳邸最後の日を思い返した。
「あの日、あなたが短刀を私に返さないで私を殺していればこんな事を話すこともなく、剣さんと一緒に行動することもなかったはず・・・。」
「そうだな、お前を殺していれば俺も観柳邸の後、今こうして生きていたのかどうかはわからん・・・。」
あの時剣心に勝って最強の称号を手にしていたとしても、四人の部下がいなければやはりこの世を生きようという気持ちなどなかったかもしれないと蒼紫は思った。
ただ現実は志々雄のアジトで抜刀斎に敗れ、その結果悟った道・・・御庭番衆最後の御頭としてやらなければならないことを遂行する。自分の生きる意味はそこにあると蒼紫は思っていた。
だが己という【個の】生きる意味を・・・武尊と出会って初めて気づかされた。
蒼紫は生まれてこの方、こんなにも自分の心が他人の存在で一杯になったことなどなかったのだ。
「・・・昨日は武尊の診察の日だったな、武尊は来たか。」
「ええ、ちゃんと来たわ。」
「どんな具合だった・・・。」
「あの時の傷はかさぶたになって大分よくなっていたのに背中を売って傷がまた開いた所があったわ。背中一面に打ち身で蒼くなってたし。木から落ちたって言ってたけど本当は何やってたのかしら。怪我人はおとなしくしておきなさいって言ったのに。」
と、恵は両手を腰にやり気を荒げた。
蒼紫も左之助にやられた背中のことは気になっていたが、とりあえず背中の傷が・・・己が刻んだ回転剣舞六連・・・の傷が良くなっているならばと少し安堵した。
「本当にあんな傷をつけた奴ってどんな奴なのかしら、女を何だと思っているのよいったい!」
憤怒する恵の前で蒼紫は
「そうだな・・・。」
と小さく呟いた。