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137.守りたいもの、守りたかったもの (夢主・時尾・家元達・斎藤)
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「がっ!」
武尊がぶち破った障子は廊下にいる六人の左端の男に勢いよく当たり短く叫ぶと障子ごと庭へ落ちた。
それ以降の男達は一人男が庭へ落ちていく刹那の時間は今の位置を動けず、その間に武尊は時尾の手を引いて男達と反対の玄関側の廊下へ突き出した。
「先に逃げて!私は大丈夫だから!」
と、武尊はそう叫んで残りの男達の方を向いて構えた。
「武尊さん・・。」
時尾がどうしようかとその場に立ちすくんでいると、
「このあまぁ!」
と、庭に落ちた男が起き上がっきた。
動く気配がない時尾に武尊は背を向けたまま叫んだ。
「早く!」
武尊は時尾を急かした。
時尾は二、三秒どうしようかと悩んだが心を決めて玄関へと走り出した。
足音を聞いて武尊はほっとしながら目の前の男達に言った。
「・・・覚悟は出来てる?やめるなら本当に今だよ、私本当に怒っているんだから。」
ハハハハハハ。
一瞬沈黙を置いて笑いがどよめいた。
そして男達の一人が武尊に言った。
「たまたま一人下へ落としたからと言って勝ったつもりなのか?茶人は弱いと思っているのかもしれないが、こう見えても俺達は士族だ。例え刀がなくとも武術は治めた者ばかり、そんな俺達にそういう事を言うお前はこそ笑止。まあ、強気な女のほうが後で面白いからな、せいぜい強がりを言うがいい。」
とその男がスッと手を振ると六人が一斉に武尊にかかってきた。
だが、武尊はいとも簡単にそれらの攻撃をかわすと蹴りも含め、金的、活殺、人中、亜門など通常の攻撃では禁忌とされている攻撃を迷わず叩き込んだ。
それらはもともと武尊が傭兵の訓練として培ったものと斎藤が教えた『いろは』が合わさった高い敏捷性と柔らかな身体から繰り出された攻撃だった。
六人にかかった時間およそ三十秒。
だが武尊が最後に攻撃した男が倒れると同時に小さな女の悲鳴が向こうで聞こえた。
時尾の声だった。
(時尾さん!)
武尊は時尾の身を案じると家元と先生を残したまま時尾の声のした方へ駆け出していた。
時尾は少し先の廊下で倒れていた。
「時尾さん!」
武尊は時尾の姿を見て叫んだ。
だが時尾は倒れたままで、そこには武尊に茶菓子を運んだ男が立っていた。
「・・・・。」
武尊はその男の5m程手前で止まった。
茶菓子を運んだ時とは違い雰囲気からして違う、迂闊に近づくとまずいと武尊の勘がそう知らせた。
「時尾さんをどうした。」
「何も・・ちょっとこう払っただけだ。」
と男は手首を返すジェスチャーをした。
「だが吹っ飛んでこの柱に頭をぶつけ、この通りだ。」
「くっ。」
武尊とその男は数秒睨み合った。
が、その男は視線をふっと武尊の後ろへやった。
先生と家元が武尊の背後へやって来たのであった。
武尊もそのことは気配と廊下が軋む音で分かっていただが視線を目の前の男から逸らすわけにはいかなかった。
「六人衆はどうしたんですか。」
「簡単にやられてしまった、油断するなよ。」
「ほう・・それはそれは。」
茶菓子の男は静かに頷くとこの男もまた武尊を真っ直ぐに冷たい目で見た。
武尊もその視線に対抗するようにキッと相手を見据えて言った。
「あなたはさっきの男達と違って下衆な下心は持ってないようにみえるのに何故時尾さんをこんな酷い目に合わせる。」
「家来が主人の命令を守るのに理由はいらぬ。『この屋敷からお前達を出すな』、これが家元様の御命令だ。大人しく我らの言う事を聞いていればこの女も痛い目に合わずに済んだはず。」
「客が家に帰るのを帰らせないなんておかしいじゃない!悪い事はいけないって自分の頭で考えれば分かるでしょ!」
「お前こそ解っていない。我らの命は家臣は家元様あってのもの。理由などいらないのだ。」
「・・・。」
それはここを通りたかったらこの男達を倒すしかないという事の他ならなかった。
武尊は先程茶菓子を出した時のこの優しい微笑みを思い出し、そして今の状況を残念に思った。
そして振り向かないで背後の家元に言った。
「家元さん、最後に聞きたいんだけど・・・私達を捕まえてどうしようというの?何故私の事を知ってるの?」
「おとなしく捕まればおのずと己の先が見えようぞ。だが教えてお前の感情を煽るのも面白い。藤田の・・つまり斎藤の妻は裏社会に売る。斎藤に恨みを持つ奴らは多い。斎藤が苦しむようその女をなぶり、八つ裂きにするだろうな。お前の事はよく分からんが影宮様がお前を欲しが」
話の途中で武尊はキレた。
自分の事がどうのと聞く前に、この男達が時尾に、そしてそれが結局斎藤さんに危害を加える事になると聞いた時にキレた。
家元が話を言い終わる前に武尊は振り向き一発食らわせてやろうと思ったが、振り向きざまに茶菓子の男が攻撃を仕掛けてきた。
「もらった!」
と、茶菓子の男がそう叫んで右手を伸ばし武尊の腕を掴もうとし、武尊はそれをガードしようと互いが接触した時、武尊はものすごく嫌な感じがした。
その男は合気道の達人だったのだ。
武尊を掴んで投げ飛ばそうとしたのだが、逆に足元に背を叩きつけられたのは男の方だった。
武尊の方が逆に男に気を合わせ投げたのであった。
そして間髪入れず武尊は男の心臓の上のあばら骨を蹴りおろし折った。
そして即座に家元の横に立っている先生を空中で回転しながら延髄を蹴り倒すと、家元が逃げようとしている前に立ちふさがった。
家元はまさか合気道の達人がやられるとは思ってもいなくてこの現況に脂汗を流しながら足を震わせた。
「ま、待て!私は悪くない!何でも言う事を聞く!だから待ってくれ!」
「・・嘘ばっかり・・・。」
武尊は冷たい目で家元を見ながら言った。
「あんたみたいな悪党って立場が悪くなると絶対そう言うんだよね・・そして逃げたあと復讐しに来るんだ・・・。」
(自分にならまだいい。)
『いや、良くないけど』、と怒りの中にも自分に突っ込みをいれてしまう武尊だった。
(でも時尾さんを・・・そして斎藤さんを危険な目に合わすわけには二度といかない・・・だから・・・。)
武尊は家元をどうするかを決めた。
武尊は家元にゆっくり近づくと、
「ねぇ、知ってる?野球の球も辺り所が悪いと心室細動おこして心不全になるんだって。」
「ま、待ってくれ!」
武尊の眼はもう家元の顔を見ていない。
静かに両手を上下に開いて着物の上から家元の胸の上に当てた。
「はっ!」
武尊が気合を掛けると同時に家元はその場に崩れ落ちた。
武尊はオーラを手のひらから放出して心臓を叩いたのであった。
その衝撃が家元の心臓を止めてしまうぐらいに武尊の怒り時のオーラはものすごいものがあった。
武尊は一瞬クラっとしたものの、時尾のもとに駆け寄り声をかけた。
「時尾さん、時尾さん!」
ピクリとも体を動かさない時尾に今度は武尊は肩を叩きながら呼びかけを行った。
「時尾さん!時尾さん!・・うっ・・・時尾さん・・・救急車・・・。」
涙がじわっと溢れてきそうになった武尊だったがはっと思い出し、時尾の鼻に耳を近づけた。
「よかった!息がある!脈は・・・ある!」
武尊は涙をにじませながら喜んだ。
だがそれもつかの間、再び不安が武尊を襲った。
「脳震盪かな・・・急性硬膜外出血とかだったらどうしよう・・・救急車も脳外科もないし、担架もない・・かと言ってここで回復待つわけにもいかないし・・。」
こんな所に新たな手勢が来たら負傷した時尾を抱えてでは手も足も出なくなるかもしれないと思うと敵地に留まる訳にはいかなかった。
「頭は動かしたくないんだけど・・・。」
と悩みながらも他に選択肢のない武尊は時尾をそっとおぶると見つからないように気をくばりながらここを出た。
武尊がぶち破った障子は廊下にいる六人の左端の男に勢いよく当たり短く叫ぶと障子ごと庭へ落ちた。
それ以降の男達は一人男が庭へ落ちていく刹那の時間は今の位置を動けず、その間に武尊は時尾の手を引いて男達と反対の玄関側の廊下へ突き出した。
「先に逃げて!私は大丈夫だから!」
と、武尊はそう叫んで残りの男達の方を向いて構えた。
「武尊さん・・。」
時尾がどうしようかとその場に立ちすくんでいると、
「このあまぁ!」
と、庭に落ちた男が起き上がっきた。
動く気配がない時尾に武尊は背を向けたまま叫んだ。
「早く!」
武尊は時尾を急かした。
時尾は二、三秒どうしようかと悩んだが心を決めて玄関へと走り出した。
足音を聞いて武尊はほっとしながら目の前の男達に言った。
「・・・覚悟は出来てる?やめるなら本当に今だよ、私本当に怒っているんだから。」
ハハハハハハ。
一瞬沈黙を置いて笑いがどよめいた。
そして男達の一人が武尊に言った。
「たまたま一人下へ落としたからと言って勝ったつもりなのか?茶人は弱いと思っているのかもしれないが、こう見えても俺達は士族だ。例え刀がなくとも武術は治めた者ばかり、そんな俺達にそういう事を言うお前はこそ笑止。まあ、強気な女のほうが後で面白いからな、せいぜい強がりを言うがいい。」
とその男がスッと手を振ると六人が一斉に武尊にかかってきた。
だが、武尊はいとも簡単にそれらの攻撃をかわすと蹴りも含め、金的、活殺、人中、亜門など通常の攻撃では禁忌とされている攻撃を迷わず叩き込んだ。
それらはもともと武尊が傭兵の訓練として培ったものと斎藤が教えた『いろは』が合わさった高い敏捷性と柔らかな身体から繰り出された攻撃だった。
六人にかかった時間およそ三十秒。
だが武尊が最後に攻撃した男が倒れると同時に小さな女の悲鳴が向こうで聞こえた。
時尾の声だった。
(時尾さん!)
武尊は時尾の身を案じると家元と先生を残したまま時尾の声のした方へ駆け出していた。
時尾は少し先の廊下で倒れていた。
「時尾さん!」
武尊は時尾の姿を見て叫んだ。
だが時尾は倒れたままで、そこには武尊に茶菓子を運んだ男が立っていた。
「・・・・。」
武尊はその男の5m程手前で止まった。
茶菓子を運んだ時とは違い雰囲気からして違う、迂闊に近づくとまずいと武尊の勘がそう知らせた。
「時尾さんをどうした。」
「何も・・ちょっとこう払っただけだ。」
と男は手首を返すジェスチャーをした。
「だが吹っ飛んでこの柱に頭をぶつけ、この通りだ。」
「くっ。」
武尊とその男は数秒睨み合った。
が、その男は視線をふっと武尊の後ろへやった。
先生と家元が武尊の背後へやって来たのであった。
武尊もそのことは気配と廊下が軋む音で分かっていただが視線を目の前の男から逸らすわけにはいかなかった。
「六人衆はどうしたんですか。」
「簡単にやられてしまった、油断するなよ。」
「ほう・・それはそれは。」
茶菓子の男は静かに頷くとこの男もまた武尊を真っ直ぐに冷たい目で見た。
武尊もその視線に対抗するようにキッと相手を見据えて言った。
「あなたはさっきの男達と違って下衆な下心は持ってないようにみえるのに何故時尾さんをこんな酷い目に合わせる。」
「家来が主人の命令を守るのに理由はいらぬ。『この屋敷からお前達を出すな』、これが家元様の御命令だ。大人しく我らの言う事を聞いていればこの女も痛い目に合わずに済んだはず。」
「客が家に帰るのを帰らせないなんておかしいじゃない!悪い事はいけないって自分の頭で考えれば分かるでしょ!」
「お前こそ解っていない。我らの命は家臣は家元様あってのもの。理由などいらないのだ。」
「・・・。」
それはここを通りたかったらこの男達を倒すしかないという事の他ならなかった。
武尊は先程茶菓子を出した時のこの優しい微笑みを思い出し、そして今の状況を残念に思った。
そして振り向かないで背後の家元に言った。
「家元さん、最後に聞きたいんだけど・・・私達を捕まえてどうしようというの?何故私の事を知ってるの?」
「おとなしく捕まればおのずと己の先が見えようぞ。だが教えてお前の感情を煽るのも面白い。藤田の・・つまり斎藤の妻は裏社会に売る。斎藤に恨みを持つ奴らは多い。斎藤が苦しむようその女をなぶり、八つ裂きにするだろうな。お前の事はよく分からんが影宮様がお前を欲しが」
話の途中で武尊はキレた。
自分の事がどうのと聞く前に、この男達が時尾に、そしてそれが結局斎藤さんに危害を加える事になると聞いた時にキレた。
家元が話を言い終わる前に武尊は振り向き一発食らわせてやろうと思ったが、振り向きざまに茶菓子の男が攻撃を仕掛けてきた。
「もらった!」
と、茶菓子の男がそう叫んで右手を伸ばし武尊の腕を掴もうとし、武尊はそれをガードしようと互いが接触した時、武尊はものすごく嫌な感じがした。
その男は合気道の達人だったのだ。
武尊を掴んで投げ飛ばそうとしたのだが、逆に足元に背を叩きつけられたのは男の方だった。
武尊の方が逆に男に気を合わせ投げたのであった。
そして間髪入れず武尊は男の心臓の上のあばら骨を蹴りおろし折った。
そして即座に家元の横に立っている先生を空中で回転しながら延髄を蹴り倒すと、家元が逃げようとしている前に立ちふさがった。
家元はまさか合気道の達人がやられるとは思ってもいなくてこの現況に脂汗を流しながら足を震わせた。
「ま、待て!私は悪くない!何でも言う事を聞く!だから待ってくれ!」
「・・嘘ばっかり・・・。」
武尊は冷たい目で家元を見ながら言った。
「あんたみたいな悪党って立場が悪くなると絶対そう言うんだよね・・そして逃げたあと復讐しに来るんだ・・・。」
(自分にならまだいい。)
『いや、良くないけど』、と怒りの中にも自分に突っ込みをいれてしまう武尊だった。
(でも時尾さんを・・・そして斎藤さんを危険な目に合わすわけには二度といかない・・・だから・・・。)
武尊は家元をどうするかを決めた。
武尊は家元にゆっくり近づくと、
「ねぇ、知ってる?野球の球も辺り所が悪いと心室細動おこして心不全になるんだって。」
「ま、待ってくれ!」
武尊の眼はもう家元の顔を見ていない。
静かに両手を上下に開いて着物の上から家元の胸の上に当てた。
「はっ!」
武尊が気合を掛けると同時に家元はその場に崩れ落ちた。
武尊はオーラを手のひらから放出して心臓を叩いたのであった。
その衝撃が家元の心臓を止めてしまうぐらいに武尊の怒り時のオーラはものすごいものがあった。
武尊は一瞬クラっとしたものの、時尾のもとに駆け寄り声をかけた。
「時尾さん、時尾さん!」
ピクリとも体を動かさない時尾に今度は武尊は肩を叩きながら呼びかけを行った。
「時尾さん!時尾さん!・・うっ・・・時尾さん・・・救急車・・・。」
涙がじわっと溢れてきそうになった武尊だったがはっと思い出し、時尾の鼻に耳を近づけた。
「よかった!息がある!脈は・・・ある!」
武尊は涙をにじませながら喜んだ。
だがそれもつかの間、再び不安が武尊を襲った。
「脳震盪かな・・・急性硬膜外出血とかだったらどうしよう・・・救急車も脳外科もないし、担架もない・・かと言ってここで回復待つわけにもいかないし・・。」
こんな所に新たな手勢が来たら負傷した時尾を抱えてでは手も足も出なくなるかもしれないと思うと敵地に留まる訳にはいかなかった。
「頭は動かしたくないんだけど・・・。」
と悩みながらも他に選択肢のない武尊は時尾をそっとおぶると見つからないように気をくばりながらここを出た。