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135.御札に込めた願い (時尾・夢主・斎藤・恵)
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武尊は今日も斎藤の出勤を時尾と見送った後、診療所へ向かった。
体力の回復も自分で信じられないくらい早く、以前より早く武尊は診療所に着くことが出来た。
そして・・・。
「はい、診察するから上半身裸になってそこに座って。」
と言われ、武尊は服を脱ぎ、制服の上着で胸を隠しながら恵に対面して座った。
「武尊さん、見るのは背中よ。」
と、言いながら恵はちょっと首を傾げながら自分で立って見た方が早いと立ち上がって武尊の背中を見た途端、
「武尊・・。」
フフフフ・・・と青筋をこめかみに浮かべて恵は武尊の正面へ回り込んだ。
「こういう事だったのね・・、どうりで素直に背中を見せないと思ったら・・。」
「いや、大した事ないんですけどね・・・恵さんが怒るかな~って思ったら見せづらくって。」
あはあはと武尊は笑った。
「笑って誤魔化さない!」
と、恵は武尊の背中をバン!と叩いた。(もちろん手加減してだが。)
「ギャーー!」
「ほらみなさい、大したことあるじゃないの、もう。あれほどおとなしくしなさいって言ったのに、これだけの大あざ作っておいていったい何してたの!」
「いや、ちょっと木から落ちて背中を・・・。」
「あん?」
「だから木から・・。」
鼻の先まで恵の顔が接近して眉毛を吊り上げられて睨まれ武尊は嘘の口実に冷や汗が出そうだった。
もう勘弁してくださいという武尊の顔に恵はハァとため息をついて、
「まあ、あの馬鹿と違って武尊はちゃんと反省してるみたいだからこれくらいで許してあげるわ。」
「すみません、、ははっ・・・。」
これ以上突っ込まれなくて良かったと安堵しつつ、武尊は恵に聞いた。
「もう一つの傷の方はどうなってますか?」
「あ、こっちのほうは一応カサブタになってるわね。よかった、妙な傷だったから私もどうなるか心配だったの。」
心配だったのは武尊もだった。
なんとかくっいていてくれて助かったとほっとした。
「いろいろありがとうございました。本当にお世話になりました。」
「本当、いろんな面で心臓に悪かったわ。」
と、恵は四乃森と斎藤に同時に睨まれた時の事を思い出してそう言った。
「この先も警官だからってあまり無理しないのよ。」
「それが・・・。」
武尊はもう少しで警官はやめるんです、と言おうと思ってその寸前で言葉を閉ざした。
「え?」
恵が聞き取れなかったと聞き返す。
武尊はポケットから例の隠しておいた薬を恵に差し出しながらこう言った。
「実は・・・今日は恵さんにお願いがあって来たんです。恵さんが薬に詳しいって聞いて、この薬が何で出来ているか、誰でも作ることが出来るのかを調べて欲しいんです。恵さんなら信用出来るって思ったからのお願いです。」
急に真剣な眼差しで見つめられて恵は戸惑った。
「何か・・訳がありそうね。」
「ええ・・・あまり、というかこの薬の事は秘密事項なんです。」
武尊はちょっと事件風なニュアンスをかもし出して恵に言った。
でもここからは武尊は本当の気持ちを含めて恵に話した。
「・・・この薬が大量生産出来てしまうなら・・・運が悪ければ死人が出ます。・・・今言えるのはこれだけです。納得いかない理由かもしれませんが恵さんしかお願い出来る人がいないんです・・ヤバイと思ったら捨ててもらってもかまいません!」
武尊は真剣に恵の目を見て話した。
「・・・引き受ける事で誰かを助ける事が出来るのかしら。」
人を死に追いやる薬、阿片を作り続けていたという負い目がある恵が自分に対しても言った言葉だった。
「・・・これは存在してはいけない薬です・・・もし、誰もが作れてしまうのであれば・・・私は・・・その根源を断たなければいけない。」
更に真剣になった武尊の顔。
いや、真剣というよりも武尊は思い詰めていたのだ。
若し、兄以外に自分を操る方法を知っている人間が存在し、この薬を手にし、自分が操られてしまう事になってしまうのなら・・・それを絶対阻止するためには自分の命を絶つ、と。
「・・・・。」
恵は武尊の顔を暫し見ながら思案した。
そして、
「いいわ、解明できるかどうかは別として引き受けるわ。だけど私も忙しいから今直ぐじゃなくてもいいかしら。」
と、武尊が差し出している手から薬を取った。
「え、ええ・・・ありがとうございます、恵さん!」
武尊は先程とはコロっと変わって喜び、ちょっと涙ぐむほどに眉毛を下げた。
「もう、武尊のお願いだから聞いてあげるのよ。」
「ええ、すみません恵さん、本当に助かります!この事は誰にも内緒ですよ。」
「・・・あなたの上司にも内緒でいいのかしら。」
「・・・ええ、もちろん内緒です。」
一瞬だけ、先程と同じ真剣な眼差しで恵を見るとまたいつもの顔に戻った武尊だった。
「それはそうと今日は四乃森蒼紫の姿がないわね。」
「そうですねぇ・・。」
いつもストーカーのように現れる蒼紫。
この間診療所に来た時に、恵が武尊に『三日後に来るのよ。』と言った時蒼紫は武尊の傍にいたはずで当然今日ここに武尊が来ることを知っているはずなのに、と武尊も恵もそう思っていた。
(昨日重箱を届けてくれたのは今日は何か用事があったからなのかな?)
武尊は実は今日蒼紫がここに来るかもしれないと思って一応昨日書いた御札を渡そうと持って来ていたのだが結局武尊が帰るまで蒼紫は現れず、ちょっとがっかりして藤田家へ戻った。
2014. 2.23
体力の回復も自分で信じられないくらい早く、以前より早く武尊は診療所に着くことが出来た。
そして・・・。
「はい、診察するから上半身裸になってそこに座って。」
と言われ、武尊は服を脱ぎ、制服の上着で胸を隠しながら恵に対面して座った。
「武尊さん、見るのは背中よ。」
と、言いながら恵はちょっと首を傾げながら自分で立って見た方が早いと立ち上がって武尊の背中を見た途端、
「武尊・・。」
フフフフ・・・と青筋をこめかみに浮かべて恵は武尊の正面へ回り込んだ。
「こういう事だったのね・・、どうりで素直に背中を見せないと思ったら・・。」
「いや、大した事ないんですけどね・・・恵さんが怒るかな~って思ったら見せづらくって。」
あはあはと武尊は笑った。
「笑って誤魔化さない!」
と、恵は武尊の背中をバン!と叩いた。(もちろん手加減してだが。)
「ギャーー!」
「ほらみなさい、大したことあるじゃないの、もう。あれほどおとなしくしなさいって言ったのに、これだけの大あざ作っておいていったい何してたの!」
「いや、ちょっと木から落ちて背中を・・・。」
「あん?」
「だから木から・・。」
鼻の先まで恵の顔が接近して眉毛を吊り上げられて睨まれ武尊は嘘の口実に冷や汗が出そうだった。
もう勘弁してくださいという武尊の顔に恵はハァとため息をついて、
「まあ、あの馬鹿と違って武尊はちゃんと反省してるみたいだからこれくらいで許してあげるわ。」
「すみません、、ははっ・・・。」
これ以上突っ込まれなくて良かったと安堵しつつ、武尊は恵に聞いた。
「もう一つの傷の方はどうなってますか?」
「あ、こっちのほうは一応カサブタになってるわね。よかった、妙な傷だったから私もどうなるか心配だったの。」
心配だったのは武尊もだった。
なんとかくっいていてくれて助かったとほっとした。
「いろいろありがとうございました。本当にお世話になりました。」
「本当、いろんな面で心臓に悪かったわ。」
と、恵は四乃森と斎藤に同時に睨まれた時の事を思い出してそう言った。
「この先も警官だからってあまり無理しないのよ。」
「それが・・・。」
武尊はもう少しで警官はやめるんです、と言おうと思ってその寸前で言葉を閉ざした。
「え?」
恵が聞き取れなかったと聞き返す。
武尊はポケットから例の隠しておいた薬を恵に差し出しながらこう言った。
「実は・・・今日は恵さんにお願いがあって来たんです。恵さんが薬に詳しいって聞いて、この薬が何で出来ているか、誰でも作ることが出来るのかを調べて欲しいんです。恵さんなら信用出来るって思ったからのお願いです。」
急に真剣な眼差しで見つめられて恵は戸惑った。
「何か・・訳がありそうね。」
「ええ・・・あまり、というかこの薬の事は秘密事項なんです。」
武尊はちょっと事件風なニュアンスをかもし出して恵に言った。
でもここからは武尊は本当の気持ちを含めて恵に話した。
「・・・この薬が大量生産出来てしまうなら・・・運が悪ければ死人が出ます。・・・今言えるのはこれだけです。納得いかない理由かもしれませんが恵さんしかお願い出来る人がいないんです・・ヤバイと思ったら捨ててもらってもかまいません!」
武尊は真剣に恵の目を見て話した。
「・・・引き受ける事で誰かを助ける事が出来るのかしら。」
人を死に追いやる薬、阿片を作り続けていたという負い目がある恵が自分に対しても言った言葉だった。
「・・・これは存在してはいけない薬です・・・もし、誰もが作れてしまうのであれば・・・私は・・・その根源を断たなければいけない。」
更に真剣になった武尊の顔。
いや、真剣というよりも武尊は思い詰めていたのだ。
若し、兄以外に自分を操る方法を知っている人間が存在し、この薬を手にし、自分が操られてしまう事になってしまうのなら・・・それを絶対阻止するためには自分の命を絶つ、と。
「・・・・。」
恵は武尊の顔を暫し見ながら思案した。
そして、
「いいわ、解明できるかどうかは別として引き受けるわ。だけど私も忙しいから今直ぐじゃなくてもいいかしら。」
と、武尊が差し出している手から薬を取った。
「え、ええ・・・ありがとうございます、恵さん!」
武尊は先程とはコロっと変わって喜び、ちょっと涙ぐむほどに眉毛を下げた。
「もう、武尊のお願いだから聞いてあげるのよ。」
「ええ、すみません恵さん、本当に助かります!この事は誰にも内緒ですよ。」
「・・・あなたの上司にも内緒でいいのかしら。」
「・・・ええ、もちろん内緒です。」
一瞬だけ、先程と同じ真剣な眼差しで恵を見るとまたいつもの顔に戻った武尊だった。
「それはそうと今日は四乃森蒼紫の姿がないわね。」
「そうですねぇ・・。」
いつもストーカーのように現れる蒼紫。
この間診療所に来た時に、恵が武尊に『三日後に来るのよ。』と言った時蒼紫は武尊の傍にいたはずで当然今日ここに武尊が来ることを知っているはずなのに、と武尊も恵もそう思っていた。
(昨日重箱を届けてくれたのは今日は何か用事があったからなのかな?)
武尊は実は今日蒼紫がここに来るかもしれないと思って一応昨日書いた御札を渡そうと持って来ていたのだが結局武尊が帰るまで蒼紫は現れず、ちょっとがっかりして藤田家へ戻った。
2014. 2.23