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134.欲張りな狼 (斎藤・夢主)
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武尊が後から書き始めたのも書き終え部屋の片づけも終わって部屋で斎藤を待っていたら30分ほどして斎藤が帰って来た。
「お帰りなさい斎藤さん。」
「嗚呼。」
歩き煙草をして帰って来た斎藤は自分の机に行って灰皿にトンと灰を落とす。
「川路に呼ばれたの?」
武尊はそう言いながら斎藤の机の前に来た。
斎藤は椅子には座らず、そのまま腕を組み煙草をふかしながら武尊の問いに答えた。
「川路の所に開拓使からの役人が来ていてな、そこで簡単に今後の事について話を聞いた。その後川路に家の事がいろいろあると言って休暇を届けてきた。・・・ま、そんなところだ。」
「そうですよ、休暇をとらなくっちゃ斎藤さんも。やっぱり家の事とかいろいろありますからねー。」
と、うんうん頷く武尊を横目に斎藤が微妙な沈黙をしたことに武尊は気が付いていなかった。
「そうだ斎藤さん、昨日頼まれた写し終わりましたので机の上に置いておきましたよ。」
斎藤はそれを手に取り確認しながら、
「嗚呼、すまんな助かる。」
と言った。
その一言で武尊はにっこり笑える。
その為だけの努力だからだ。
武尊が『♪~』と、内心思っていると、
斎藤は、
「それからもう一つすまんついでに今日はもう先に帰っていいぞ。」
と言った。
「あれ、何かお仕事でも入ったんですか?」
「開拓使の役人を囲んで一杯やるそうだ、面倒だ。」
ぼそっと最後にめんどくさいと言った言い方が可笑しくて、そして斎藤がそういう席をあまり好まない事が分かる武尊は思わず苦笑しながら、
「まあ、そう言わずに、仕事だと思って頑張って行ってください。」
と、そう言った。
「阿呆、今後家族とも武尊とも離れて暮らす俺の身にもなってみろ、くだらん酒の席に同席するのは時間の無駄遣いだ。」
と、苦虫を潰したような顔で斎藤はぼやいた。
そんな斎藤を見て武尊はふぅー、と、両肩をあげた。
「そんな事言わないで普通の顔して行ってくださいね。ただでさえ斎藤さん眼つきが鋭いんですから。」
「この眼は昔からだ。」
と言って斎藤は武尊をその鋭い眼で見るが急に何かを思いついたようでフッと口角を上げた。
「それとも・・・俺が喜んで行けるような楽しい気分にでもさせてくれるのか、武尊?」
「え?」
斎藤のそんなセリフに一瞬目が点になった武尊。
挑発するように腕を組んで自分を見る斎藤の眼。
たじっとなって思わず一歩引いてしまった武尊だったが、はっと顔を赤くすると、
「なっ・・何考えてるんですか斎藤さん!ダメですよ昨日の今日なんて!」
「何って何だ・・顔をそんなに赤くするようなことなのか、俺が何を考えてるのか言ってみろ。」
「斎藤さんの意地悪~!」
ニヤっとする斎藤にンあは悔しくてまたやられたと思ったが、いつもやられっぱなしなのもこれまた悔しい。
そっちがそういう考えならこっちもと、
武尊は斎藤の正面へ立った。
「何だ?」
想定外の行動に斎藤も驚いて武尊に注目した。
斎藤は武尊がいったいどういう行動をとるのかと、そのまま大人しく様子を伺っていた。
武尊は顔を赤くさせたまま、両手を斎藤のほほをそっと包んだ。
そしてその手を自分の方へ引き寄せ、また自分は最大限に背伸びをして斎藤にん~っと口付けをして・・・そして唇を離して、
「やる気注入完了。」
と言った。
「・・・くくっ。」
斎藤は思いがけない武尊の可愛い行動に笑いが堪えられなかった。
斎藤が武尊の瞳を楽しそうに覗き見ると、武尊は恥ずかしさを隠して精一杯の抵抗の視線で斎藤に対抗していた。
そんな武尊に斎藤は目を細め、
「いいぞ、そういった行動は。武尊がそんなに積極的だとは思わなかったがな。」
と、満足気に笑った。
冷静沈着な斎藤の顔も好きだが時折見せる優しい眼に武尊は胸がトクンと鳴る。
胸が熱くなると同時にンあは斎藤をじっと見て、
「【斎藤さんに】だからね・・・私がこんなことするのは、【藤田警部補に】じゃないからね。」
と言い訳をする。
「嗚呼、分かってるさそれくらい。」
斎藤はそう言うと今度は斎藤が武尊のほほを白手でそっと包んだ。
「だが・・まだ足らんな。もっと寄こせ。」
「斎藤さんはいつもそう言う・・・斎藤さんは欲張りだ。」
「今更だな、武尊。そうだ・・俺は武尊に対しては欲張りだ、悪いか。」
「悪・・・」
武尊は最後まで言わせてもらえなかった。
噛みつくような口付けではなく甘い口付けをたっぷり与えられて武尊は心が震える。
そして溶かされていく感触に心をゆだねた。
長い口付けをして斎藤は武尊を解放し、足がカクカクに震える武尊の腰を崩れないように抱きしめた。
「今日は武尊が十分楽しませてくれたからな。仕方がない、おとなしく酒の会に行って来るとするか。」
「欲張りな狼さん、よかった満足してくれて。」
「嗚呼、肉体を味わうのもいいが武尊の違った一面を知るのも味わい深い。」
肉欲ではなく精神的に満足した斎藤はそう言って武尊の前髪をかきあげた。
すると武尊は、
「じゃ、帰りを待ってますからね・・・藤田警部補。」
と、あっさり斎藤を藤田警部補と呼んだ。
急に藤田と言われ斎藤は面食らった顔で武尊を見た。
武尊は斎藤を見上げてにやりと笑った。
「阿呆が・・・。」
「へへっ。」
そして二人は顔を見合わせて笑った。
こんな些細な会話が楽しい。
何も考えずに笑える、そんな刹那の幸せを二人はそれぞれ心に刻んでいた。
2014. 2.17
「お帰りなさい斎藤さん。」
「嗚呼。」
歩き煙草をして帰って来た斎藤は自分の机に行って灰皿にトンと灰を落とす。
「川路に呼ばれたの?」
武尊はそう言いながら斎藤の机の前に来た。
斎藤は椅子には座らず、そのまま腕を組み煙草をふかしながら武尊の問いに答えた。
「川路の所に開拓使からの役人が来ていてな、そこで簡単に今後の事について話を聞いた。その後川路に家の事がいろいろあると言って休暇を届けてきた。・・・ま、そんなところだ。」
「そうですよ、休暇をとらなくっちゃ斎藤さんも。やっぱり家の事とかいろいろありますからねー。」
と、うんうん頷く武尊を横目に斎藤が微妙な沈黙をしたことに武尊は気が付いていなかった。
「そうだ斎藤さん、昨日頼まれた写し終わりましたので机の上に置いておきましたよ。」
斎藤はそれを手に取り確認しながら、
「嗚呼、すまんな助かる。」
と言った。
その一言で武尊はにっこり笑える。
その為だけの努力だからだ。
武尊が『♪~』と、内心思っていると、
斎藤は、
「それからもう一つすまんついでに今日はもう先に帰っていいぞ。」
と言った。
「あれ、何かお仕事でも入ったんですか?」
「開拓使の役人を囲んで一杯やるそうだ、面倒だ。」
ぼそっと最後にめんどくさいと言った言い方が可笑しくて、そして斎藤がそういう席をあまり好まない事が分かる武尊は思わず苦笑しながら、
「まあ、そう言わずに、仕事だと思って頑張って行ってください。」
と、そう言った。
「阿呆、今後家族とも武尊とも離れて暮らす俺の身にもなってみろ、くだらん酒の席に同席するのは時間の無駄遣いだ。」
と、苦虫を潰したような顔で斎藤はぼやいた。
そんな斎藤を見て武尊はふぅー、と、両肩をあげた。
「そんな事言わないで普通の顔して行ってくださいね。ただでさえ斎藤さん眼つきが鋭いんですから。」
「この眼は昔からだ。」
と言って斎藤は武尊をその鋭い眼で見るが急に何かを思いついたようでフッと口角を上げた。
「それとも・・・俺が喜んで行けるような楽しい気分にでもさせてくれるのか、武尊?」
「え?」
斎藤のそんなセリフに一瞬目が点になった武尊。
挑発するように腕を組んで自分を見る斎藤の眼。
たじっとなって思わず一歩引いてしまった武尊だったが、はっと顔を赤くすると、
「なっ・・何考えてるんですか斎藤さん!ダメですよ昨日の今日なんて!」
「何って何だ・・顔をそんなに赤くするようなことなのか、俺が何を考えてるのか言ってみろ。」
「斎藤さんの意地悪~!」
ニヤっとする斎藤にンあは悔しくてまたやられたと思ったが、いつもやられっぱなしなのもこれまた悔しい。
そっちがそういう考えならこっちもと、
武尊は斎藤の正面へ立った。
「何だ?」
想定外の行動に斎藤も驚いて武尊に注目した。
斎藤は武尊がいったいどういう行動をとるのかと、そのまま大人しく様子を伺っていた。
武尊は顔を赤くさせたまま、両手を斎藤のほほをそっと包んだ。
そしてその手を自分の方へ引き寄せ、また自分は最大限に背伸びをして斎藤にん~っと口付けをして・・・そして唇を離して、
「やる気注入完了。」
と言った。
「・・・くくっ。」
斎藤は思いがけない武尊の可愛い行動に笑いが堪えられなかった。
斎藤が武尊の瞳を楽しそうに覗き見ると、武尊は恥ずかしさを隠して精一杯の抵抗の視線で斎藤に対抗していた。
そんな武尊に斎藤は目を細め、
「いいぞ、そういった行動は。武尊がそんなに積極的だとは思わなかったがな。」
と、満足気に笑った。
冷静沈着な斎藤の顔も好きだが時折見せる優しい眼に武尊は胸がトクンと鳴る。
胸が熱くなると同時にンあは斎藤をじっと見て、
「【斎藤さんに】だからね・・・私がこんなことするのは、【藤田警部補に】じゃないからね。」
と言い訳をする。
「嗚呼、分かってるさそれくらい。」
斎藤はそう言うと今度は斎藤が武尊のほほを白手でそっと包んだ。
「だが・・まだ足らんな。もっと寄こせ。」
「斎藤さんはいつもそう言う・・・斎藤さんは欲張りだ。」
「今更だな、武尊。そうだ・・俺は武尊に対しては欲張りだ、悪いか。」
「悪・・・」
武尊は最後まで言わせてもらえなかった。
噛みつくような口付けではなく甘い口付けをたっぷり与えられて武尊は心が震える。
そして溶かされていく感触に心をゆだねた。
長い口付けをして斎藤は武尊を解放し、足がカクカクに震える武尊の腰を崩れないように抱きしめた。
「今日は武尊が十分楽しませてくれたからな。仕方がない、おとなしく酒の会に行って来るとするか。」
「欲張りな狼さん、よかった満足してくれて。」
「嗚呼、肉体を味わうのもいいが武尊の違った一面を知るのも味わい深い。」
肉欲ではなく精神的に満足した斎藤はそう言って武尊の前髪をかきあげた。
すると武尊は、
「じゃ、帰りを待ってますからね・・・藤田警部補。」
と、あっさり斎藤を藤田警部補と呼んだ。
急に藤田と言われ斎藤は面食らった顔で武尊を見た。
武尊は斎藤を見上げてにやりと笑った。
「阿呆が・・・。」
「へへっ。」
そして二人は顔を見合わせて笑った。
こんな些細な会話が楽しい。
何も考えずに笑える、そんな刹那の幸せを二人はそれぞれ心に刻んでいた。
2014. 2.17