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134.欲張りな狼 (斎藤・夢主)
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その団子屋は古くて小さかったが、店頭の炭火の上で団子を焼き、そこにかかる醤油だれのこげるにおいが人々を集めにぎわっていた。
店内でも食べることが出来るようで早速斎藤と武尊は暖簾をくぐった。
「なんか制服着たままでいいのかな、油売ってるように思われないかな。」
武尊が心配になって斎藤に耳打ちした。
「何か言われたら言われた時だ。聞き込み中とか張り込み中とか何とでも適当に言えばいいさ。」
「ま、そうですけど・・。」
ばつが悪そうな武尊よそに斎藤はさっさと団子を注文した。
団子の種類は一つしかない。
それがここの名物【焼き団子】で醤油だれがトロリとかかった四玉ささった焼団子。
普通のみたらしよりも甘さ控えめで辛党の斎藤もめずらしく二本食べた。
「何だ。」
先程から斎藤にちらっと視線を合わせてにんまりする武尊。
「だって斎藤さんがお団子食べるのって珍しいもん。(というか・・・かわいい!)」
「何かよからんことを考えているな。」
と、相変わらず鋭い指摘に、
「べ、別に~。」
と、慌てて団子を一玉ぱくっと頬張る武尊であった。
ずずーっ、っとほうじ茶をすする斎藤に、
「あんこもいいけど醤油だれも美味しい・・やっぱり焼団子には醤油だれかな。」
「美味いならそれで良い。流石沖田さんだ。」
「うん、流石沖田さんですね。」
ぱく・・・。
武尊は団子を一つ一つ噛み締めて味わった。
調味料だけでなく、さまざまな想いと一緒に。
と、その時斎藤が、
「・・・武尊は『兄』を探しに会津に行くんだろう、何故昨日時尾にそのことを言わなかった。」
と武尊に言った。
口の中には御団子の武尊は目玉を斎藤の方へ向けた。
ゆっくりとそれを飲みこんでから武尊は、
「う・・・ん、母成峠には行こうと思っているけど城下町は行くかどうか決めてないから・・ふらりぶらりの旅になると思うんで行くって約束はできないと思って。」
「・・・急ぎでないなら寄って行け、時尾も喜ぶ。」
「寄って行けって言いますけど・・(ねぇ・・・うーん・・。)」
時尾さんの顔ぐらい見てもいいと思った武尊だが、その旦那とこういう関係の自分が実家に顔を出すのもどうかと悩む武尊である。
そんな武尊の気持ちをよそに斎藤は、
「息子を見て行け。」
と言うと席を立った。
「斎藤さん、どちらへ?」
と武尊は慌てて聞いた。
「煙草だ、表にいる。」
と、勘定は先払いしてあるからゆっくり食べろと言われて武尊は、ぱくっと団子を口に入れた。
おいしい御団子には間違いないが実のところ武尊はあまり味がしないのであった。
「ある意味心が病んでるのかな私・・・。しっかりしなくちゃね、死ぬわけじゃないんだから・・ね、そうでしょ沖田さん・・・『馬鹿だな』って毒づいてくださいよ・・・。」
武尊は団子に沖田の顔を思い浮かべた。
ふと気が付くとすぐに武尊の頭には、来たるべき十月十日の斎藤の異動の日が浮かんでくる。
それは仕方のない事、自分にはやらなければいけない事があるんだ、と、何度も心に言い聞かせているのに心は晴れない。
「笑って見送るんだ・・・。」
武尊はそう呟いて最後の一つを頬張った。
斉藤は外で煙草を吸いながらイラついている気持ちを何とか抑えようとしていた。
「いかんな・・・。」
斎藤は武尊の眼、唇、そんなところを見ているとついムラっときてしまうのであった。
街中所構わず襲うわけにはいかない。
そんなもんもんとした気持ちでスパスパ煙草を吸っていると、
「お待たせしました、斎藤さん。美味しい御団子でした、御馳走様でした。」
と、にこりして武尊が出てきた。
「戻るか。」
「はい。」
言葉少なく歩き出す二人。
何か話そうか、でも結局話もろくにせずに警視庁へ戻った二人。
それでも互いに互いの体温が感じられる、そんな気持ちであった。
店内でも食べることが出来るようで早速斎藤と武尊は暖簾をくぐった。
「なんか制服着たままでいいのかな、油売ってるように思われないかな。」
武尊が心配になって斎藤に耳打ちした。
「何か言われたら言われた時だ。聞き込み中とか張り込み中とか何とでも適当に言えばいいさ。」
「ま、そうですけど・・。」
ばつが悪そうな武尊よそに斎藤はさっさと団子を注文した。
団子の種類は一つしかない。
それがここの名物【焼き団子】で醤油だれがトロリとかかった四玉ささった焼団子。
普通のみたらしよりも甘さ控えめで辛党の斎藤もめずらしく二本食べた。
「何だ。」
先程から斎藤にちらっと視線を合わせてにんまりする武尊。
「だって斎藤さんがお団子食べるのって珍しいもん。(というか・・・かわいい!)」
「何かよからんことを考えているな。」
と、相変わらず鋭い指摘に、
「べ、別に~。」
と、慌てて団子を一玉ぱくっと頬張る武尊であった。
ずずーっ、っとほうじ茶をすする斎藤に、
「あんこもいいけど醤油だれも美味しい・・やっぱり焼団子には醤油だれかな。」
「美味いならそれで良い。流石沖田さんだ。」
「うん、流石沖田さんですね。」
ぱく・・・。
武尊は団子を一つ一つ噛み締めて味わった。
調味料だけでなく、さまざまな想いと一緒に。
と、その時斎藤が、
「・・・武尊は『兄』を探しに会津に行くんだろう、何故昨日時尾にそのことを言わなかった。」
と武尊に言った。
口の中には御団子の武尊は目玉を斎藤の方へ向けた。
ゆっくりとそれを飲みこんでから武尊は、
「う・・・ん、母成峠には行こうと思っているけど城下町は行くかどうか決めてないから・・ふらりぶらりの旅になると思うんで行くって約束はできないと思って。」
「・・・急ぎでないなら寄って行け、時尾も喜ぶ。」
「寄って行けって言いますけど・・(ねぇ・・・うーん・・。)」
時尾さんの顔ぐらい見てもいいと思った武尊だが、その旦那とこういう関係の自分が実家に顔を出すのもどうかと悩む武尊である。
そんな武尊の気持ちをよそに斎藤は、
「息子を見て行け。」
と言うと席を立った。
「斎藤さん、どちらへ?」
と武尊は慌てて聞いた。
「煙草だ、表にいる。」
と、勘定は先払いしてあるからゆっくり食べろと言われて武尊は、ぱくっと団子を口に入れた。
おいしい御団子には間違いないが実のところ武尊はあまり味がしないのであった。
「ある意味心が病んでるのかな私・・・。しっかりしなくちゃね、死ぬわけじゃないんだから・・ね、そうでしょ沖田さん・・・『馬鹿だな』って毒づいてくださいよ・・・。」
武尊は団子に沖田の顔を思い浮かべた。
ふと気が付くとすぐに武尊の頭には、来たるべき十月十日の斎藤の異動の日が浮かんでくる。
それは仕方のない事、自分にはやらなければいけない事があるんだ、と、何度も心に言い聞かせているのに心は晴れない。
「笑って見送るんだ・・・。」
武尊はそう呟いて最後の一つを頬張った。
斉藤は外で煙草を吸いながらイラついている気持ちを何とか抑えようとしていた。
「いかんな・・・。」
斎藤は武尊の眼、唇、そんなところを見ているとついムラっときてしまうのであった。
街中所構わず襲うわけにはいかない。
そんなもんもんとした気持ちでスパスパ煙草を吸っていると、
「お待たせしました、斎藤さん。美味しい御団子でした、御馳走様でした。」
と、にこりして武尊が出てきた。
「戻るか。」
「はい。」
言葉少なく歩き出す二人。
何か話そうか、でも結局話もろくにせずに警視庁へ戻った二人。
それでも互いに互いの体温が感じられる、そんな気持ちであった。