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133.都鳥 (蒼紫・夢主・斎藤・左之助)
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話は約一時間ほど前に戻る。
************
「じゃあな、また来っからよ。」
と、斎藤の進行方向先の長屋の扉がガラっと開いて左之助が出てきた。
(ちっ・・・。)
折にも斎藤は出勤途中。
家の片付けに、慣れない御近所挨拶を藤田五郎の作り笑顔を振りまいて済ませ、やっと出勤・・・愛用の煙草を咥え、気分転換がてら、いつもと違う道で息抜きの一服としけこんだばかりだったのに。
左之助の姿にほっこりしていた斎藤の機嫌が一気に悪くなった。
裏道を通ったのがまずかったかと思ったが時すでに遅し。
斉藤の視界に入ってから左之助が道に沿って顔を合わせるまで二秒。
辻道もなく、しかたなく斎藤は左之助を鉢合わせた形となった。
左之助の方は舎弟の長屋に入り浸って朝までチンチロリン、酒も肴もつまみながらの徹夜すえ朝寝までした左之助は小銭でも稼いだのであろうか、斎藤とは反対に機嫌が良かった。
「よう、斎藤じゃないか。」
そんな左之助はいつも以上になれなれしく斎藤に呼びかけた。
斉藤は無視を決め込んで左之助とすれ違ったが、その態度に左之助が腹を立てた。
「おい斎藤、てめぇ無視とはどういう事だ。」
五月蝿い奴だと斎藤は思ったが、話しかけないともっと騒ぎ立てそうなトリ頭にハァとため息をつくと、数歩行ったところで左之助を振り返った。
「お前に挨拶を交わす義理などあったか?俺は機嫌が悪いんだ。黙ってとっとと失せろ。」
と言った。
「んだと、コラッ!折角朝からいい気分が台無しじゃねえか。」
「お互い様だ、阿呆が。」
と斎藤はさらっと言い、また歩き始めた。
「コラ、斎藤待ちやがれ!」
と、左之助は斎藤の後を数歩離れてついていった。
やがて斎藤は川沿いに出てそのまま土手を下り、ようやくずっと付いてきた左之助を振り返った。
「たまたま出くわしたからといって用も無いのに付いて来るとは全く暇な奴だ。」
「用は無かったが出来ちまったもんでな。」
と、左之助は両手を前で合わせバキバキと指を鳴らした。
「ホウ・・・、何の用事だ。」
「イタチ娘から聞いたんだが、あの三本傷野郎お前の部下なんだってな。」
(三本傷だと?)
斎藤の眉間がぐっと険しくなる。
ただでさえ昨日左之助が武尊を殴ったことで武尊の塞ぎかかっていた傷が開いたうえに打撲までさせたことで左之助に対し怒りを覚えているというのに、更に左之助が武尊の事を三本傷と呼んだ事が癇に障った。
それでも手当たり次第人に勝手に呼び名を付けるのは自分も相楽もやっていること、と、ここは眉間の隙間寄せたままそのままキープで耐えた。
「お前には関係のない事だ。くだらん話はいいから早く俺の前から消えろ。」
と斎藤は白手を振ってしっしっと左之助を追い払うジェスチャーをした。
左之助はムカっとしながら、
「いいのか斎藤、俺はいい情報を持ってんだぜ。」
と言った。
「何だ、適当な話で俺の貴重な時間を無駄にしないでくれよ。」
信用出来んが警官としてとりあえず聞くだけは聞いてやると斎藤は腕を組み煙草をふかしながら左之助を見た。
「あの三本傷野郎昔は相当な人斬りだったそうじゃないか。刃衛みたい騒ぎを起こす前にととっと捕まえちまった方がいいぞ。」
「・・フン、可笑しな事を言うな喧嘩屋、お前が通う神谷道場の抜刀斎も人斬りじゃないか。」
「剣心は違う!」
「何が違う。奴の本性は間違いなく人斬りだ。ついでに言うと俺も人斬り。仮にお前がいう事を百歩譲って聞いてやっても人斬りの上司が人斬りの部下を持つ、これに何の矛盾がある。」
「俺は親切で言ってやってんだぜ。」
「武尊を知らん奴が何を言う。」
左之助の勝手な思い込みに斉藤の我慢袋の緒が切れそうになる。
「じゃあ百歩譲ってその三本傷が刃衛のような奴じゃあねえって言うなら俺と勝負させやがれ!あいつには副隊長を殺られてんだ!正々堂々敵討ちだ!」
「阿呆が、敵討ちは明治六年に法令で禁じられてるのを知らないのか。」
「そんなのは関係ねぇ、何年経とうがな。それとも三本傷が剣心のように弱きものを助け人々の為に生きてるっていうなら考えてやってもいい、それを俺が拳で確かめてやる、今すぐ三本傷を呼んで来い!」
「ああ言えばこういう・・十の子供にも分かる道理が分からん阿呆に誰が武尊を会わせるか。」
「んだとコラァ!」
「二重の極みだかなんだかを習得して少しは使えるようになったと思ったが頭の中は相変わらずか。」
「斎藤・・てめぇ・・、少しは剣心に力を貸すいい奴だと思った俺が馬鹿だったぜ。やっぱりお前とは決着をつけてやる、構・・。」
左之助が構えろと言い終わる前に斎藤の右ストレートが左之助の顔面ど真ん中に命中した。
左之助がしつこいぐらい打たれ強いことは斎藤はもとより承知。
だが新撰組三番隊組長の実力は素手でも左之助とは格が違った。
加減なしの斎藤の拳を受けて足元に転がった左之助に対し、
「これぐらいお前には何でもないだろう。いつまでもお前に合わせてやると思ったら大間違いだぞ。それは武尊を悪く言った罰だ。全然足りんが少しは武尊の痛みを思い知れ、阿呆が。」
と、短くなった煙草を言葉と共に言い捨てて、その場を後にしたのであった。
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「じゃあな、また来っからよ。」
と、斎藤の進行方向先の長屋の扉がガラっと開いて左之助が出てきた。
(ちっ・・・。)
折にも斎藤は出勤途中。
家の片付けに、慣れない御近所挨拶を藤田五郎の作り笑顔を振りまいて済ませ、やっと出勤・・・愛用の煙草を咥え、気分転換がてら、いつもと違う道で息抜きの一服としけこんだばかりだったのに。
左之助の姿にほっこりしていた斎藤の機嫌が一気に悪くなった。
裏道を通ったのがまずかったかと思ったが時すでに遅し。
斉藤の視界に入ってから左之助が道に沿って顔を合わせるまで二秒。
辻道もなく、しかたなく斎藤は左之助を鉢合わせた形となった。
左之助の方は舎弟の長屋に入り浸って朝までチンチロリン、酒も肴もつまみながらの徹夜すえ朝寝までした左之助は小銭でも稼いだのであろうか、斎藤とは反対に機嫌が良かった。
「よう、斎藤じゃないか。」
そんな左之助はいつも以上になれなれしく斎藤に呼びかけた。
斉藤は無視を決め込んで左之助とすれ違ったが、その態度に左之助が腹を立てた。
「おい斎藤、てめぇ無視とはどういう事だ。」
五月蝿い奴だと斎藤は思ったが、話しかけないともっと騒ぎ立てそうなトリ頭にハァとため息をつくと、数歩行ったところで左之助を振り返った。
「お前に挨拶を交わす義理などあったか?俺は機嫌が悪いんだ。黙ってとっとと失せろ。」
と言った。
「んだと、コラッ!折角朝からいい気分が台無しじゃねえか。」
「お互い様だ、阿呆が。」
と斎藤はさらっと言い、また歩き始めた。
「コラ、斎藤待ちやがれ!」
と、左之助は斎藤の後を数歩離れてついていった。
やがて斎藤は川沿いに出てそのまま土手を下り、ようやくずっと付いてきた左之助を振り返った。
「たまたま出くわしたからといって用も無いのに付いて来るとは全く暇な奴だ。」
「用は無かったが出来ちまったもんでな。」
と、左之助は両手を前で合わせバキバキと指を鳴らした。
「ホウ・・・、何の用事だ。」
「イタチ娘から聞いたんだが、あの三本傷野郎お前の部下なんだってな。」
(三本傷だと?)
斎藤の眉間がぐっと険しくなる。
ただでさえ昨日左之助が武尊を殴ったことで武尊の塞ぎかかっていた傷が開いたうえに打撲までさせたことで左之助に対し怒りを覚えているというのに、更に左之助が武尊の事を三本傷と呼んだ事が癇に障った。
それでも手当たり次第人に勝手に呼び名を付けるのは自分も相楽もやっていること、と、ここは眉間の隙間寄せたままそのままキープで耐えた。
「お前には関係のない事だ。くだらん話はいいから早く俺の前から消えろ。」
と斎藤は白手を振ってしっしっと左之助を追い払うジェスチャーをした。
左之助はムカっとしながら、
「いいのか斎藤、俺はいい情報を持ってんだぜ。」
と言った。
「何だ、適当な話で俺の貴重な時間を無駄にしないでくれよ。」
信用出来んが警官としてとりあえず聞くだけは聞いてやると斎藤は腕を組み煙草をふかしながら左之助を見た。
「あの三本傷野郎昔は相当な人斬りだったそうじゃないか。刃衛みたい騒ぎを起こす前にととっと捕まえちまった方がいいぞ。」
「・・フン、可笑しな事を言うな喧嘩屋、お前が通う神谷道場の抜刀斎も人斬りじゃないか。」
「剣心は違う!」
「何が違う。奴の本性は間違いなく人斬りだ。ついでに言うと俺も人斬り。仮にお前がいう事を百歩譲って聞いてやっても人斬りの上司が人斬りの部下を持つ、これに何の矛盾がある。」
「俺は親切で言ってやってんだぜ。」
「武尊を知らん奴が何を言う。」
左之助の勝手な思い込みに斉藤の我慢袋の緒が切れそうになる。
「じゃあ百歩譲ってその三本傷が刃衛のような奴じゃあねえって言うなら俺と勝負させやがれ!あいつには副隊長を殺られてんだ!正々堂々敵討ちだ!」
「阿呆が、敵討ちは明治六年に法令で禁じられてるのを知らないのか。」
「そんなのは関係ねぇ、何年経とうがな。それとも三本傷が剣心のように弱きものを助け人々の為に生きてるっていうなら考えてやってもいい、それを俺が拳で確かめてやる、今すぐ三本傷を呼んで来い!」
「ああ言えばこういう・・十の子供にも分かる道理が分からん阿呆に誰が武尊を会わせるか。」
「んだとコラァ!」
「二重の極みだかなんだかを習得して少しは使えるようになったと思ったが頭の中は相変わらずか。」
「斎藤・・てめぇ・・、少しは剣心に力を貸すいい奴だと思った俺が馬鹿だったぜ。やっぱりお前とは決着をつけてやる、構・・。」
左之助が構えろと言い終わる前に斎藤の右ストレートが左之助の顔面ど真ん中に命中した。
左之助がしつこいぐらい打たれ強いことは斎藤はもとより承知。
だが新撰組三番隊組長の実力は素手でも左之助とは格が違った。
加減なしの斎藤の拳を受けて足元に転がった左之助に対し、
「これぐらいお前には何でもないだろう。いつまでもお前に合わせてやると思ったら大間違いだぞ。それは武尊を悪く言った罰だ。全然足りんが少しは武尊の痛みを思い知れ、阿呆が。」
と、短くなった煙草を言葉と共に言い捨てて、その場を後にしたのであった。