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131.憧れの苗字 (斎藤・夢主)
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相手が殺気をだして挑んでくる敵ならともかく、武尊は丸腰だったはずだ。
(相楽め・・。)
斎藤が左之助の行動に対し腹を立てていると
「斎藤さん。」
と武尊から声をかけられた。
「何だ。」
「顔こわいんですけど・・・。」
そう言って自分の顔を覗き込んでくる武尊の澄んだ目に斎藤は表情を和らげた。
「武尊、おそらくだが十六夜丸が薩摩藩の奴等だけを標的にしていたのだとすれば赤報隊の奴を殺ったとは考えにくい。お前の兄は薩摩藩士以外は興味がないはずだからな。」
「そうですか、そうだったらいいんですけどね・・。赤報隊のことといい、雪代縁のことといい・・斎藤さん・・・私・・・何が正しくて何が間違っているのか分からなくなってきました・・・。」
武尊は沈んだ声で肩を落としながら呟いた。
「・・・・。」
斎藤は黙って武尊を見た。
そして武尊の顔を、頭を、全体を見て武尊を後押しするように言った。
「武尊には分かっているはずだ。ただ気が付きにくいだけだ。己が信ずる道を行けばいい、心配するな。」
「斎藤さん・・・。」
武尊は顔をあげ斎藤を見た。
「だが武尊、己を貫くには強くなくてはならん。これは力のことではない。俺が言っている【強さ】とは心の事だ。武尊、殺るときは迷うな、守るべきものは何か、貫きたい己の正義とは何かを考えろ。」
武尊は斎藤の眼をじっと見た。
斎藤は穴のあくほど自分を見つめる武尊にフッと笑うと、
「ほら武尊、曲がり角だ、余所見してぶつかるなよ。」
と武尊の髪をクシャリと撫でた。