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127.張の宣戦布告 (斎藤・夢主・張)
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斎藤は二人が出て行ってから煙草をただふかしていた。
『・・・まあ旦那が責任とって武尊をもろうてくれるんならええけどな。』
と言う張の言葉を思い出し、
「阿呆が・・・出来るものならとうの昔にしている。」
と、呟いた。
「武尊・・・。」
明治になっての再会。
それまでは何年経てど、ふと欠け行く月を見るとつい武尊の姿を想い浮かべていた自分。
十年という月日は互いの歩む道を隔てるには十分で、現状では斎藤は武尊を自分の所へ留まらせておくのは難しいと考えざるを得なくなっていた。
武尊と雇うと言った一ヶ月が終わるのも、自分が北海道に赴任になるのも、もう目の前に迫っている。
別れが近づくにつれ、日に日に武尊への想いだけが強くなる。
幕末に見つけた自分の小さな宝物。
あれほど自分が惚れた・・・自分の名を与える程、己の全てを差し出していいと思った女が自分の人生に現れると思ってもいなかった。
刹那の契りといびつな形であったが数日共に過ごした同じ屋根の下の日々。
その中でも幾程顔を合わせた時間が合っただろうか。
心が満ちる時間と言うのはこういう事をいうのかと、生まれて来た事に初めて感謝をした。
しかしその幸せは儚く、瞬く間に消えてしまった。
それが己の運命、時代の流れというものだと思ってただひたすらに激動の幕末を誠の旗を掲げる壬生の狼として生きぬいた。
その後新時代を迎えても信念を貫き生きてきた。
そして一人の男として家庭を持った。
妻は否の打ちどころがなく子も授かった。
「・・・・・俺自身の人生、何も不服はない。」
いつも全身全霊をかけて己の人生に立ち向かってきた。
悔いを残るような生き方はしていない・・・昔も今も・・・。
だが・・・。
そして斉藤の眼に武尊の姿が浮かんだ。
その武尊はちょっと目を大きくして斎藤を見ると、はにかむように笑った。
そても嬉しそうに、とても幸せそうに・・・。
武尊の笑顔を思い浮かべるだけで斎藤の表情がふっと緩む。
ーーーそして斎藤は大きくため息をついた。
特に最近武尊への感情が抑えきれないぐらいに大きくなってゆくのが自分でも分かる。
(時尾の言う通り妾にでもするか・・・いっそ、子でも出来てしまえば武尊も兄探しを諦めるか・・?)
全ての目的を終えた後、武尊はいったいどうするのだろか。
(その時は・・・・。)
斉藤は最後に短くなった煙草を灰皿に押し付けると、引出から書類を出しパラパラとめくった。
(答えなんぞ簡単には出んな・・・。)
『・・・まあ旦那が責任とって武尊をもろうてくれるんならええけどな。』
と言う張の言葉を思い出し、
「阿呆が・・・出来るものならとうの昔にしている。」
と、呟いた。
「武尊・・・。」
明治になっての再会。
それまでは何年経てど、ふと欠け行く月を見るとつい武尊の姿を想い浮かべていた自分。
十年という月日は互いの歩む道を隔てるには十分で、現状では斎藤は武尊を自分の所へ留まらせておくのは難しいと考えざるを得なくなっていた。
武尊と雇うと言った一ヶ月が終わるのも、自分が北海道に赴任になるのも、もう目の前に迫っている。
別れが近づくにつれ、日に日に武尊への想いだけが強くなる。
幕末に見つけた自分の小さな宝物。
あれほど自分が惚れた・・・自分の名を与える程、己の全てを差し出していいと思った女が自分の人生に現れると思ってもいなかった。
刹那の契りといびつな形であったが数日共に過ごした同じ屋根の下の日々。
その中でも幾程顔を合わせた時間が合っただろうか。
心が満ちる時間と言うのはこういう事をいうのかと、生まれて来た事に初めて感謝をした。
しかしその幸せは儚く、瞬く間に消えてしまった。
それが己の運命、時代の流れというものだと思ってただひたすらに激動の幕末を誠の旗を掲げる壬生の狼として生きぬいた。
その後新時代を迎えても信念を貫き生きてきた。
そして一人の男として家庭を持った。
妻は否の打ちどころがなく子も授かった。
「・・・・・俺自身の人生、何も不服はない。」
いつも全身全霊をかけて己の人生に立ち向かってきた。
悔いを残るような生き方はしていない・・・昔も今も・・・。
だが・・・。
そして斉藤の眼に武尊の姿が浮かんだ。
その武尊はちょっと目を大きくして斎藤を見ると、はにかむように笑った。
そても嬉しそうに、とても幸せそうに・・・。
武尊の笑顔を思い浮かべるだけで斎藤の表情がふっと緩む。
ーーーそして斎藤は大きくため息をついた。
特に最近武尊への感情が抑えきれないぐらいに大きくなってゆくのが自分でも分かる。
(時尾の言う通り妾にでもするか・・・いっそ、子でも出来てしまえば武尊も兄探しを諦めるか・・?)
全ての目的を終えた後、武尊はいったいどうするのだろか。
(その時は・・・・。)
斉藤は最後に短くなった煙草を灰皿に押し付けると、引出から書類を出しパラパラとめくった。
(答えなんぞ簡単には出んな・・・。)