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160.空はいつまでも蒼く (斎藤・夢主)
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そして夜明けが来た。
武尊は斎藤の腕の中で静かに眠っていた。
斎藤は朝の光で目覚めると、煙草に一本火をつけて武尊を見つめた。
やるだけのことはやったと、そう自分に言い聞かせながら武尊の唇にそっと口付けをした。
いつもは全身疲労でぐっすり眠っているはずの武尊が目を覚まし、ゆっくり目を開いた。
「今日だね・・・。」
「嗚呼・・・。」
「おはよう。」
「嗚呼、おはよう。」
朝になったらかわす短い挨拶、それさえも二人にとっては特別な意味に思えた。
挨拶の後、武尊は事の後の気怠さとあちこちの痛みを堪えて起き上がった。
そう、もう寝ているわけにはいかないのだ。
斎藤は煙草をじっと吸いながら武尊を見ている。
「どうしたの?」
「いや、名残惜しくてな。・・・武尊の生まれたままの姿も見納めかと。」
重苦しい空気を吹き飛ばすような斎藤のいつも通りの言葉に武尊はふっと笑って、
「そうだね・・・。」
と答えた。
そしてもう一度そうだねと繰り返し、
「そして一も。」
と、斎藤を見て微笑んだ。
「名残惜しいけど行かなきゃ・・・。」
武尊はそう言って斎藤の瞳をじっと見た。
(ありがとう、一。私は忘れない、その瞳を、あなたを。そして愛してくれて・・・本当にありがとう・・・。)
これ以上見ていると涙が出てきそうになって来たので武尊は心で斎藤に感謝の気持ちを述べると斎藤に背を向けベッドを下りようとした。
途端に後ろから力強く抱きしめられた。
「・・・」
「・・・」
武尊も自分に回された逞しい腕を両腕で抱きしめた。
その腕が武尊に語った、その力強さは『行くな』と言う斎藤の言葉そのもの。
武尊は切なくて目をギュッと瞑り唇を噛んだ。
そして二人とも無言のまま数分経った。
武尊が迷う気持ちを振り切って目を開けた時、武尊の目には窓の外の蒼い蒼い空が映った。
自分達の間に愛だけしかないのなら、こんな別れは寂しくて切なくて狂ってしまいそうだと武尊は思ったが、今の武尊は違った。
武尊は感じていた・・・そう、自分の心の中に斎藤がいるという事を。
(私達はもう【一つ】・・・だから大丈夫。)
武尊は深呼吸を一つすると斎藤に、
「一・・・見て、あの空を。」
と、片手で窓の外を指差した。
斎藤も窓の外を見たのだろう、ふっと武尊を抱きしめる腕の力が緩んだ。
「・・・あの空の色は私がいた北海道の空と同じ色・・・どこまでも続く広く蒼い空の色。そして今も同じ空の色を私は見てる。」
武尊の目は何処か遠くを見ていた。
斎藤は初めて武尊の口から武尊が北海道にいたことを知った。
「蝦夷にいたことがあるのか。」
それはいつだ、何処にいた、など急に色々聞きたい事が浮かんできたが武尊の声にそれらを飲み込んた。
「うん・・・。」
武尊は斎藤の問いに小さく答えた。
武尊は少しだけ過去・・いや、未来の北海道の空の色を今見ている港の空に重ねた。
そして懐かしむように呟く。
「こうして昔も今も、いつまでも空は蒼く続いている・・・。」
斎藤も武尊の言葉にじっと空を見つめた。
「これから離れ離れになって、それぞれの道を歩いていても空は一つ。必ず一のいる所まで続いている・・・今度は同じ空を見ていられる。だから・・・・だから今度は迷わない。一と同じ空の下にいるというのなら、同じ時を過ごしていけるのなら・・・私生きるわ、私の人生を。」
武尊は斎藤の腕の中で静かに眠っていた。
斎藤は朝の光で目覚めると、煙草に一本火をつけて武尊を見つめた。
やるだけのことはやったと、そう自分に言い聞かせながら武尊の唇にそっと口付けをした。
いつもは全身疲労でぐっすり眠っているはずの武尊が目を覚まし、ゆっくり目を開いた。
「今日だね・・・。」
「嗚呼・・・。」
「おはよう。」
「嗚呼、おはよう。」
朝になったらかわす短い挨拶、それさえも二人にとっては特別な意味に思えた。
挨拶の後、武尊は事の後の気怠さとあちこちの痛みを堪えて起き上がった。
そう、もう寝ているわけにはいかないのだ。
斎藤は煙草をじっと吸いながら武尊を見ている。
「どうしたの?」
「いや、名残惜しくてな。・・・武尊の生まれたままの姿も見納めかと。」
重苦しい空気を吹き飛ばすような斎藤のいつも通りの言葉に武尊はふっと笑って、
「そうだね・・・。」
と答えた。
そしてもう一度そうだねと繰り返し、
「そして一も。」
と、斎藤を見て微笑んだ。
「名残惜しいけど行かなきゃ・・・。」
武尊はそう言って斎藤の瞳をじっと見た。
(ありがとう、一。私は忘れない、その瞳を、あなたを。そして愛してくれて・・・本当にありがとう・・・。)
これ以上見ていると涙が出てきそうになって来たので武尊は心で斎藤に感謝の気持ちを述べると斎藤に背を向けベッドを下りようとした。
途端に後ろから力強く抱きしめられた。
「・・・」
「・・・」
武尊も自分に回された逞しい腕を両腕で抱きしめた。
その腕が武尊に語った、その力強さは『行くな』と言う斎藤の言葉そのもの。
武尊は切なくて目をギュッと瞑り唇を噛んだ。
そして二人とも無言のまま数分経った。
武尊が迷う気持ちを振り切って目を開けた時、武尊の目には窓の外の蒼い蒼い空が映った。
自分達の間に愛だけしかないのなら、こんな別れは寂しくて切なくて狂ってしまいそうだと武尊は思ったが、今の武尊は違った。
武尊は感じていた・・・そう、自分の心の中に斎藤がいるという事を。
(私達はもう【一つ】・・・だから大丈夫。)
武尊は深呼吸を一つすると斎藤に、
「一・・・見て、あの空を。」
と、片手で窓の外を指差した。
斎藤も窓の外を見たのだろう、ふっと武尊を抱きしめる腕の力が緩んだ。
「・・・あの空の色は私がいた北海道の空と同じ色・・・どこまでも続く広く蒼い空の色。そして今も同じ空の色を私は見てる。」
武尊の目は何処か遠くを見ていた。
斎藤は初めて武尊の口から武尊が北海道にいたことを知った。
「蝦夷にいたことがあるのか。」
それはいつだ、何処にいた、など急に色々聞きたい事が浮かんできたが武尊の声にそれらを飲み込んた。
「うん・・・。」
武尊は斎藤の問いに小さく答えた。
武尊は少しだけ過去・・いや、未来の北海道の空の色を今見ている港の空に重ねた。
そして懐かしむように呟く。
「こうして昔も今も、いつまでも空は蒼く続いている・・・。」
斎藤も武尊の言葉にじっと空を見つめた。
「これから離れ離れになって、それぞれの道を歩いていても空は一つ。必ず一のいる所まで続いている・・・今度は同じ空を見ていられる。だから・・・・だから今度は迷わない。一と同じ空の下にいるというのなら、同じ時を過ごしていけるのなら・・・私生きるわ、私の人生を。」