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160.空はいつまでも蒼く (斎藤・夢主)
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何時の間にか日は傾き、空は茜色に染まった。
武尊はまだ駅の改札が見えるベンチで斎藤を待っていた。
これからの事を考えてもよかったのだがすぐに脳裏に斎藤の姿や言葉が頭に浮かび、なかなか集中出来ず、ただ改札から出てくる人をじっと見ていた。
「やっぱり仕事溜まってたんだろうな・・三日も職場をあけちゃったんだもんな・・・今日は帰ってこないかな・・。」
武尊は、ハァっとため息をついた。
「携帯やメール・・・せめて電話ぐらいあってもいいよねぇ・・・・・今はこうやって待つことしか出来ない。待つか帰るか・・・それだけの事にもかなりの判断力がいるよね・・。」
そもそも今の人達には電話というもの自体想像さえつきはしないんだろうなと思いつつ、手足を伸ばしてのびをして、また改札口へと顔をむけた。
そしてまた一つため息。
それから数時間、やはり改札に斎藤の姿はなかった。
最終便が横浜駅に到着する時間、十一時二十一分が過ぎてもその中に斎藤の姿はなかった。
武尊は固まった腰を伸ばすようにベンチから立ち上がると、とぼとぼと洋館へ引き返した。
ふと前を見れば斎藤の後ろ姿が見えてしまいそうな気がして、煙草の香りが流れてきそうな気がして・・・。
武尊は何も考えないように集中して洋館へ戻った。
そして真っ暗な館内。
自分しか動く気配がない中、夜目に目を慣らし三階の部屋へと向かった。
「疲れたぁ。」
部屋の扉を開け、すぐさまベッドに寝転ぼうとしたが大事な物を胸にしまっている事思い出し武尊はマフラーを取り出した。
武尊はそれを大事そうに取り出すと自分の汗で湿気たのではないかと、両手に持ってハタハタとマフラーを翻した。
そして棚にきちんとたたんで置いた。
武尊はベッドに腰掛けると窓の方へ眼をやった。
そうすると、自覚する前に自然に歌が口から出てきた。
今まで聞いてきたなかで今の気持ちを表す悲しいメロディの歌。
(私は明治の世で歌う事すら忘れていた・・・。)
自然とポロリポロリと溢れる涙をそのままに、武尊は他に誰もいない洋館で疲れ果てるまで歌い続けた。
そしてこの数日間の間に少し斎藤の匂いがついた枕を抱きしめて眠りについたのだった。
武尊はまだ駅の改札が見えるベンチで斎藤を待っていた。
これからの事を考えてもよかったのだがすぐに脳裏に斎藤の姿や言葉が頭に浮かび、なかなか集中出来ず、ただ改札から出てくる人をじっと見ていた。
「やっぱり仕事溜まってたんだろうな・・三日も職場をあけちゃったんだもんな・・・今日は帰ってこないかな・・。」
武尊は、ハァっとため息をついた。
「携帯やメール・・・せめて電話ぐらいあってもいいよねぇ・・・・・今はこうやって待つことしか出来ない。待つか帰るか・・・それだけの事にもかなりの判断力がいるよね・・。」
そもそも今の人達には電話というもの自体想像さえつきはしないんだろうなと思いつつ、手足を伸ばしてのびをして、また改札口へと顔をむけた。
そしてまた一つため息。
それから数時間、やはり改札に斎藤の姿はなかった。
最終便が横浜駅に到着する時間、十一時二十一分が過ぎてもその中に斎藤の姿はなかった。
武尊は固まった腰を伸ばすようにベンチから立ち上がると、とぼとぼと洋館へ引き返した。
ふと前を見れば斎藤の後ろ姿が見えてしまいそうな気がして、煙草の香りが流れてきそうな気がして・・・。
武尊は何も考えないように集中して洋館へ戻った。
そして真っ暗な館内。
自分しか動く気配がない中、夜目に目を慣らし三階の部屋へと向かった。
「疲れたぁ。」
部屋の扉を開け、すぐさまベッドに寝転ぼうとしたが大事な物を胸にしまっている事思い出し武尊はマフラーを取り出した。
武尊はそれを大事そうに取り出すと自分の汗で湿気たのではないかと、両手に持ってハタハタとマフラーを翻した。
そして棚にきちんとたたんで置いた。
武尊はベッドに腰掛けると窓の方へ眼をやった。
そうすると、自覚する前に自然に歌が口から出てきた。
今まで聞いてきたなかで今の気持ちを表す悲しいメロディの歌。
(私は明治の世で歌う事すら忘れていた・・・。)
自然とポロリポロリと溢れる涙をそのままに、武尊は他に誰もいない洋館で疲れ果てるまで歌い続けた。
そしてこの数日間の間に少し斎藤の匂いがついた枕を抱きしめて眠りについたのだった。