※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
157.藍の水平線に想う心 (斎藤・夢主・雑貨屋)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
武尊の体調の回復を認めた斎藤は武尊の望み通り天婦羅を食べに外へ連れ出した。
と言ってもそこは屋台ではない蕎麦屋で二人は天婦羅と蕎麦を注文した。
武尊は現代以上においしい国産の天然の海の幸の天婦羅に驚き大満足だった。
そうして二人が天婦羅を食べ終わったころには夜になっていた。
ガス灯の灯りが主要な道路を明るく照らしている。
そんな通りを店を出て歩き出した斎藤は武尊に明日東京へ戻ることを伝えた。
「やっと戻るんですね。何だか随分長い間東京を離れている感じがする。」
武尊がほっとした表情で答えると斎藤は
「言っておくが戻るのは俺だけだ。」
と言った。
「え?」
思わず不安な顔で自分を見上げた武尊に対し斎藤は、
「武尊はここ(横浜)で待ってろ。」
と言った。
「どうしてですか!?」
「別に他意はない。何日もあの部屋を空けておくわけにいかないから顔を出してくるだけだ。遅くとも夜には戻る。それに今も武尊は周囲の景色が珍しいと首を振ってばかりじゃないか、明日はゆっくりこの街の見物でもすればいい。」
「・・・そうですね。上司がそう言うのなら仕方ありません。」
と、武尊は小さくため息をついた。
「なんだ、不服なのか。」
「いえ、仕事をどう進めるかは一が決めることだから私は何も言う権利はないんだけど・・。」
すでに武尊は斎藤の事を一と呼ぶことが自然になっていた。(そこまで言わせられた。)
武尊は一呼吸おいてから、
「家でお風呂に入りたかったなって・・。」
と、残念そうに呟いた。
もちろんここ横浜にも銭湯はある。
だが、男の恰好をして女風呂の暖簾をくぐり、顔はともかく背中や肩の傷痕をあまり晒したくなかった。
かといって男風呂に入るわけにもいかない。
洋館の中庭の井戸で身体を拭くだけでもそれなりにきれいにはなれるがやっぱり大好きな風呂に入りたかったというのが武尊の本音であった。
武尊はがっかりして俯き加減になると斎藤は予め武尊がそうなることを予測していたように、
「だから今から行くんだよ。」
と言った。
「え?でも銭湯は嫌ですよ・・・。」
「当たり前だ、武尊の身体を見ていいのは俺だけだ。」
と大真面目な顔で言う斎藤が武尊はちょっぴり嬉しかった。
「でもどうやって・・。」
と武尊が首を傾げた時斎藤が、
「嗚呼、ここだ。」
と急に立ち止まった。
そこはどうやら何かの店のようだったがすでに店じまいをしたらしく暖簾はたたまれ戸は閉まっていた。
斎藤が戸を叩くと少しして戸がガタガタいって開いた。
斎藤が中に入ったので武尊も後について店に入った。
店内に男の人が灯を持って立っていた。
武尊はその灯りで薄暗い店内の様子をざっと見ると、どうやらここは輸入品を扱っている雑貨屋のようだった。
(へぇぇ・・さすが横浜・・何か面白そうなもの置いてるな・・。)
と、武尊が表の品物を珍しいと見ているとその男が斎藤に話しかけてきた。
「お待ちしておりました、藤田様。すでに用意は出来ております。」
「無理を言ってすまないな。」
「いえ、私と藤田の仲ではございませんか。こちらがお話になられてましたお連れ様ですね。」
と、ここの主人とみられる男が武尊の方を向いた。
武尊は見られて思わず会釈をした。
主人は斎藤の方に向き直り、
「これは可愛い警官さんですな。・・おっと失礼いたしました。藤田様のお連れとお伺いして勝手に強面の方を想像しておりました。」
「気をつけろよ、こんな顔でも怒らせたらなかなか恐ろしいぞ。」
「左様でございますか。」
と、斎藤とその男は顔を見合わせて笑った。
武尊はどうなっているか全く分からないので斎藤を突いて、
「私のどこが恐ろしいんですか!」
と息巻いて言った。
「ほらな。」
「左様でございますな。」
と、男達はまた短い笑いをした。
武尊がわけが分からずポカンとしていると斎藤が、
「嗚呼・・まだ話してなかったな。こちらはこの店の亭主だ。」
「はい、藤田様にはいつも御贔屓にしていただいております。」
「はあ・・。」
「俺の煙草はな、東京近辺ではここでしか仕入れてないんだ。」
「あ・・・。」
武尊は斎藤の言葉を聞いて斎藤の机の引き出しに大量にあった煙草を思い出してはたと閃いた。
(なるほど・・そっか、ここで煙草を大量に仕入れているわけね・・。だからお得意様・・か。)
斎藤とここの亭主の関係はそれだけではなく、もちろん裏の情報屋と密偵と言う関係でもあるのだが同じ煙草の銘柄がお気に入りとあって珍しく斎藤が個人的にも少し親しい仲なのであった。
「亭主にお願いして今日風呂を借りることにしてある。行くぞ武尊。」
それを聞いて武尊の顔がぱっと明るくなった。
「あ、ありがとうございます!お借りいたします。」
武尊は亭主に深く頭を下げた。
「いえいえ、いつもお仕事御苦労様でございます。ささ、上がってください。」
亭主は穏やかに微笑むと先頭に立って二人を家の中へ案内した。
と言ってもそこは屋台ではない蕎麦屋で二人は天婦羅と蕎麦を注文した。
武尊は現代以上においしい国産の天然の海の幸の天婦羅に驚き大満足だった。
そうして二人が天婦羅を食べ終わったころには夜になっていた。
ガス灯の灯りが主要な道路を明るく照らしている。
そんな通りを店を出て歩き出した斎藤は武尊に明日東京へ戻ることを伝えた。
「やっと戻るんですね。何だか随分長い間東京を離れている感じがする。」
武尊がほっとした表情で答えると斎藤は
「言っておくが戻るのは俺だけだ。」
と言った。
「え?」
思わず不安な顔で自分を見上げた武尊に対し斎藤は、
「武尊はここ(横浜)で待ってろ。」
と言った。
「どうしてですか!?」
「別に他意はない。何日もあの部屋を空けておくわけにいかないから顔を出してくるだけだ。遅くとも夜には戻る。それに今も武尊は周囲の景色が珍しいと首を振ってばかりじゃないか、明日はゆっくりこの街の見物でもすればいい。」
「・・・そうですね。上司がそう言うのなら仕方ありません。」
と、武尊は小さくため息をついた。
「なんだ、不服なのか。」
「いえ、仕事をどう進めるかは一が決めることだから私は何も言う権利はないんだけど・・。」
すでに武尊は斎藤の事を一と呼ぶことが自然になっていた。(そこまで言わせられた。)
武尊は一呼吸おいてから、
「家でお風呂に入りたかったなって・・。」
と、残念そうに呟いた。
もちろんここ横浜にも銭湯はある。
だが、男の恰好をして女風呂の暖簾をくぐり、顔はともかく背中や肩の傷痕をあまり晒したくなかった。
かといって男風呂に入るわけにもいかない。
洋館の中庭の井戸で身体を拭くだけでもそれなりにきれいにはなれるがやっぱり大好きな風呂に入りたかったというのが武尊の本音であった。
武尊はがっかりして俯き加減になると斎藤は予め武尊がそうなることを予測していたように、
「だから今から行くんだよ。」
と言った。
「え?でも銭湯は嫌ですよ・・・。」
「当たり前だ、武尊の身体を見ていいのは俺だけだ。」
と大真面目な顔で言う斎藤が武尊はちょっぴり嬉しかった。
「でもどうやって・・。」
と武尊が首を傾げた時斎藤が、
「嗚呼、ここだ。」
と急に立ち止まった。
そこはどうやら何かの店のようだったがすでに店じまいをしたらしく暖簾はたたまれ戸は閉まっていた。
斎藤が戸を叩くと少しして戸がガタガタいって開いた。
斎藤が中に入ったので武尊も後について店に入った。
店内に男の人が灯を持って立っていた。
武尊はその灯りで薄暗い店内の様子をざっと見ると、どうやらここは輸入品を扱っている雑貨屋のようだった。
(へぇぇ・・さすが横浜・・何か面白そうなもの置いてるな・・。)
と、武尊が表の品物を珍しいと見ているとその男が斎藤に話しかけてきた。
「お待ちしておりました、藤田様。すでに用意は出来ております。」
「無理を言ってすまないな。」
「いえ、私と藤田の仲ではございませんか。こちらがお話になられてましたお連れ様ですね。」
と、ここの主人とみられる男が武尊の方を向いた。
武尊は見られて思わず会釈をした。
主人は斎藤の方に向き直り、
「これは可愛い警官さんですな。・・おっと失礼いたしました。藤田様のお連れとお伺いして勝手に強面の方を想像しておりました。」
「気をつけろよ、こんな顔でも怒らせたらなかなか恐ろしいぞ。」
「左様でございますか。」
と、斎藤とその男は顔を見合わせて笑った。
武尊はどうなっているか全く分からないので斎藤を突いて、
「私のどこが恐ろしいんですか!」
と息巻いて言った。
「ほらな。」
「左様でございますな。」
と、男達はまた短い笑いをした。
武尊がわけが分からずポカンとしていると斎藤が、
「嗚呼・・まだ話してなかったな。こちらはこの店の亭主だ。」
「はい、藤田様にはいつも御贔屓にしていただいております。」
「はあ・・。」
「俺の煙草はな、東京近辺ではここでしか仕入れてないんだ。」
「あ・・・。」
武尊は斎藤の言葉を聞いて斎藤の机の引き出しに大量にあった煙草を思い出してはたと閃いた。
(なるほど・・そっか、ここで煙草を大量に仕入れているわけね・・。だからお得意様・・か。)
斎藤とここの亭主の関係はそれだけではなく、もちろん裏の情報屋と密偵と言う関係でもあるのだが同じ煙草の銘柄がお気に入りとあって珍しく斎藤が個人的にも少し親しい仲なのであった。
「亭主にお願いして今日風呂を借りることにしてある。行くぞ武尊。」
それを聞いて武尊の顔がぱっと明るくなった。
「あ、ありがとうございます!お借りいたします。」
武尊は亭主に深く頭を下げた。
「いえいえ、いつもお仕事御苦労様でございます。ささ、上がってください。」
亭主は穏やかに微笑むと先頭に立って二人を家の中へ案内した。