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157.藍の水平線に想う心 (斎藤・夢主・雑貨屋)

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夕方、武尊は目を覚ました。



「・・・。」



武尊は黙って上体を起した。



そして部屋を見回したがそこに斎藤の姿はなかった。



(私が寝てばっかりだからまた何処か外にでも行っちゃったかな。)



そう言って武尊は自分自身に意識を向けた。



「どこも悪くない・・・あの薬が効いたのかな?【石田散薬】・・・か。ネットで検索できればなぁ・・もっと詳しく分かるのに。それにしても副長がもと薬売りだったとはねぇ・・・新撰組の歴史にもいろいろあったのね・・。」



と、武尊は斎藤から聞いた昔の小話を思い出して感慨深く息を吐いた。



「さあ、夕飯こそは外に連れ出してもらうんだから。温かいお茶も飲みたいし。」



と、武尊はベッドから足を下した。



そして全裸のまま、んんーっと大きく両腕を上げての伸びをした。



やはり身体が元気だと気持ちがいいと穏やかな気もちになり、いつ斎藤が戻ってきても出かけられるようにと服を身に着けた。



そしてふと灰皿に目が行った。



吸い殻の量を見ると明らかに一度捨てた形跡がある。



その吸い殻を見ていると、斎藤がいない今、武尊はある事を思いついた。



吸い殻の出来るだけ長く、新しそうな奴を選び武尊はそれを手に取った。



「一・・・。」



いつもその姿と共にあるそれはあえて言うならば斎藤のトレードマークともいえる煙草。



本来ならば武尊は煙草が大の苦手でその煙の臭う範囲には絶対近づかないのであるが斎藤の場合だけ特例中の特例であった。



武尊は斎藤が一度吸ったそれを口に咥えてみた。



意外に軽い重さ。



(----間接キス。)



散々直接キスもしておいて、と思ったが相手に黙ってこっそり間接キスというのもちょっと心臓がトクンとなる武尊だった。



武尊はその吸い殻を唇で挟んでいるとつい斎藤の真似事をしてみたくなった。



「阿呆が。」



と、言ってみてクククと一人で武尊は笑った。



「意外に咥えながらしゃべるのって難しいな。一って器用なのかな。」



武尊ははもっと斎藤と同化したい気分になって咥えていたシケモクにポケットからマッチを取り出して火をつけた。



武尊は煙草は吸わないけれどランプをつけたりするのに必要なのでマッチを携帯するようになっていたのだった。



火のついた煙草を指で挟みながら、



「確か、いつもこうやって持ってるよね。けど、煙草っておいしいのかな??吸って【味】ってわかるのかな??」



と、武尊は煙草を斎藤のやっているように咥えて吸ってみた。









・・・・・・・・ゲホッ!!ゲホッ!、、ゲホッ!!






武尊は思わずというより、即座に思いっきり咳いた。



そしてゲホゲホと咳をしながらのた打ち回った。



その時廊下で慌ただしく走る足音がして斎藤が部屋に踏み込んできた。



「どうした武尊!」



と斎藤は叫んだものの、部屋の臭いと武尊の指に挟まれている物を見てとたんに呆れ顔になった。



「吸い殻を吸ったのか?」



武尊は斎藤の問いかけにも答える事が出来ず酷く咳をし続けていた。



斎藤は武尊の傍に来て背中を軽く叩いてやり、火のついたシケモクを取り上げ灰皿へ押し付けた。



武尊はまだゴホゴホいいながら窓際で新鮮な空気を吸ってどうにか咳を止め、涙目で斎藤を振り返った。



斎藤は少し笑いながら武尊に近寄り髪を撫でた。



「いったいどうした。武尊が煙草を吸うなんて。吸い方さえも知らないだろう。」



「吸い方なんてあるの?」



ようやく何とか話せるようになった武尊は手で涙をぬぐいながら斎藤に聞き返した。



「当たり前だ。その様子じゃまともに煙を吸い込んだだろ。吸ったこともないのに、しかも二度吸いすればああなるのは当然だな。」



「一は何であんな不味いものを吸ってるの?」



「俺だって一回吸ったものなど不味くてよほどでないと二度吸いなどするか。だが、新しいのは良い。新しいのを一本吸ってみるか?」



「いい・・・もう絶対吸わない・・死ぬ・・。」



と、ふてくされる武尊を斎藤は可笑しくて笑った。
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