※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
157.藍の水平線に想う心 (斎藤・夢主・雑貨屋)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
斎藤は脱力した武尊の手をそっとベッドの上に置くと、新たに煙草に火をつけ窓辺に立った。
何度見ても遠く続く藍の水平線。
斎藤は煙草を吸いながらずっと海を見ていたが、三本目を吸い終わる時に
「明日は一度、警視庁へ戻るか。」
と呟いた。
そして刀をおもむろに抜いた。
窓辺に降り注ぐ太陽の光が眩しく反射した。
斎藤は少しその角度を変えると今度は後ろで寝ている武尊の姿を刀身に映した。
それを見て斎藤はまた刀を鞘に納めた。
*** その頃東京 ***
ため息をつく男がここに一人。
帰路に着く前に今一度、武尊の姿を一目見ようとこの二日、斎藤の家や警視庁をうろついてみたが昨日も今日も武尊の気配は感じられない事に蒼紫は肩を落とした。
(斎藤も不在か・・以前言っていた新しい任務とかに武尊も同行しているのか?)
一瞬何とも言えない嫌な予感が蒼紫の胸をよぎったが仕事ならば自分は割り込む立場ではない事にまた一つため息をつき神谷道場へ戻って行った。
「いやぁ、すまんでござるな。」
「本当、助かります。今お茶をいれますから。操ちゃんも一緒に来て手伝って。」
「はぁ~い。」
神谷道場では剣心、左之助、弥彦の男衆と蒼紫のかつての部下の左官達で道場の修理が急ピッチで行われていた。
薫と操が行ってしまった後、剣心は眉毛をさげて、
「すまんでござるな。して修理代の方はあれで足りるでのござろうか・・。」
と、左官の頭領に声を控え目にして言った。
薫の祖父の掛け軸五本分では到底足らないように思えたからだ。
「何、御心配いりませんよ。こちとら江戸っ子ですからね。あと御頭の頼みとあっては一肌脱がないわけにはいきませんよ。俺達がこうやって職にありついているのもすべて御頭のお蔭・・ってこれは御頭には内緒ですよ。御頭にこんな事が言った事がばれたらへそを曲げますからね。」
はははと笑いながらも手は休めず塀の壁を塗っていく男達であった。
「わかるでござるよ。蒼紫は本当にいい部下を持ったのでござるな。拙者も手伝うでござるよ。」
と、そこに左之助と弥彦が漆喰と塗鏝を持って通りかかった。
「やめとけやめとけ、剣心がやったところは凸凹じゃねぇか。」
「だぜ。剣心は剣術・洗濯・料理以外は意外に不器用なんだからな。後で薫に文句言われるなよ。」
「そうでござるか?、まあ目だたぬ所を手伝うでござるよ。拙者だけ何もしないわけにはいかないでござる。」
「じゃ、俺達は巻き添えをくわないように向こうやってるわ。で、御頭さんは何処へ行ったんだ?」
と、左之助は辺りを見回した。
「蒼紫は今日は大工の頭領の所と言っていたような。屋根の方も早く直さねば昨晩のような雨だと道場の中は雨漏りもひどいでござるからな。」
「そっか。ま、何で御頭さんがそんなに親切にしてくれるのか分からねぇのが不気味だけどよ、俺達だけでやったらいつ終わるのか見当もつかねぇからよ。・・・ま、まさか、後から法外な修理代金ふっかけて払えないようならここを乗っ取るつもりか!」
「左之助、くだらねぇ事言って早く始めるぞ!」
「なわけ、ねぇか。こんな貧乏道場の主っていう顔じゃねぇよな御頭さんは。おっと、おめぇは今日はこれをやっちまわないと嬢ちゃんに稽古つけてもらえないんだったな。仕方ねぇ、やっちまうか。」
「二人とも頼むでござるよ。」
剣心はそう言って漆喰をすくって壁に塗りつけた。
べちゃ。(塀にくっつかずに下に落ちる漆喰の音。)
「おろ~~~!」
何度見ても遠く続く藍の水平線。
斎藤は煙草を吸いながらずっと海を見ていたが、三本目を吸い終わる時に
「明日は一度、警視庁へ戻るか。」
と呟いた。
そして刀をおもむろに抜いた。
窓辺に降り注ぐ太陽の光が眩しく反射した。
斎藤は少しその角度を変えると今度は後ろで寝ている武尊の姿を刀身に映した。
それを見て斎藤はまた刀を鞘に納めた。
*** その頃東京 ***
ため息をつく男がここに一人。
帰路に着く前に今一度、武尊の姿を一目見ようとこの二日、斎藤の家や警視庁をうろついてみたが昨日も今日も武尊の気配は感じられない事に蒼紫は肩を落とした。
(斎藤も不在か・・以前言っていた新しい任務とかに武尊も同行しているのか?)
一瞬何とも言えない嫌な予感が蒼紫の胸をよぎったが仕事ならば自分は割り込む立場ではない事にまた一つため息をつき神谷道場へ戻って行った。
「いやぁ、すまんでござるな。」
「本当、助かります。今お茶をいれますから。操ちゃんも一緒に来て手伝って。」
「はぁ~い。」
神谷道場では剣心、左之助、弥彦の男衆と蒼紫のかつての部下の左官達で道場の修理が急ピッチで行われていた。
薫と操が行ってしまった後、剣心は眉毛をさげて、
「すまんでござるな。して修理代の方はあれで足りるでのござろうか・・。」
と、左官の頭領に声を控え目にして言った。
薫の祖父の掛け軸五本分では到底足らないように思えたからだ。
「何、御心配いりませんよ。こちとら江戸っ子ですからね。あと御頭の頼みとあっては一肌脱がないわけにはいきませんよ。俺達がこうやって職にありついているのもすべて御頭のお蔭・・ってこれは御頭には内緒ですよ。御頭にこんな事が言った事がばれたらへそを曲げますからね。」
はははと笑いながらも手は休めず塀の壁を塗っていく男達であった。
「わかるでござるよ。蒼紫は本当にいい部下を持ったのでござるな。拙者も手伝うでござるよ。」
と、そこに左之助と弥彦が漆喰と塗鏝を持って通りかかった。
「やめとけやめとけ、剣心がやったところは凸凹じゃねぇか。」
「だぜ。剣心は剣術・洗濯・料理以外は意外に不器用なんだからな。後で薫に文句言われるなよ。」
「そうでござるか?、まあ目だたぬ所を手伝うでござるよ。拙者だけ何もしないわけにはいかないでござる。」
「じゃ、俺達は巻き添えをくわないように向こうやってるわ。で、御頭さんは何処へ行ったんだ?」
と、左之助は辺りを見回した。
「蒼紫は今日は大工の頭領の所と言っていたような。屋根の方も早く直さねば昨晩のような雨だと道場の中は雨漏りもひどいでござるからな。」
「そっか。ま、何で御頭さんがそんなに親切にしてくれるのか分からねぇのが不気味だけどよ、俺達だけでやったらいつ終わるのか見当もつかねぇからよ。・・・ま、まさか、後から法外な修理代金ふっかけて払えないようならここを乗っ取るつもりか!」
「左之助、くだらねぇ事言って早く始めるぞ!」
「なわけ、ねぇか。こんな貧乏道場の主っていう顔じゃねぇよな御頭さんは。おっと、おめぇは今日はこれをやっちまわないと嬢ちゃんに稽古つけてもらえないんだったな。仕方ねぇ、やっちまうか。」
「二人とも頼むでござるよ。」
剣心はそう言って漆喰をすくって壁に塗りつけた。
べちゃ。(塀にくっつかずに下に落ちる漆喰の音。)
「おろ~~~!」