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157.藍の水平線に想う心 (斎藤・夢主・雑貨屋)
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何かあったら横浜署に連絡を入れる手はずにしているので斎藤は定時連絡を受けるつもりで横浜署に行ったのだが、そこは蜂の巣をつついたように警官が飛びまわっていた。
「何かあったのか?」
斎藤がそこら辺の若い警官に声をかけた時、斎藤の姿を見た所長が慌てた様子で斎藤の所へやって来た。
「藤田君!」
「署長、いったいこれは。」
「今し方入った情報なんだが・・・武田観柳が鍛冶橋監獄署から消えたらしい!」
「!」
斎藤の眉間がより深く皺を刻んだ。
「・・・脱走ですか。」
「まだはっきりしたことは分からん。だがその線は濃い。藤田君は転勤前でこの捜索から外すという事を聞いているが何か情報をつかんだら一方願いたい。」
「分かりました。」
署長はそう言うと署長室へ籠ってしまった。
「やれやれ。面倒な事にならなければいいが。」
斎藤は渋い顔をして横浜署を後にした。
武田観柳・・抜刀斎がとっとと始末してればこんな騒ぎにはならなかったのにと、斎藤は愚痴をこぼした。
「ああいう社会のダニは生き残るとろくでもない事になるんだよ。」
ちょっと寄っただけなのに面倒な事を聞いてしまったと斎藤は海の方向を見据えた。
その海は遠く北海道まで続く。
(こっち(北海道)に来たら即行悪・即・斬で消えてもらう。)
眉間に皺を寄せたまま斎藤は、ふうううぅぅ、と長く煙草の煙を吐いた。
その後斎藤は店を数件まわって武尊の所へ戻って来た時はすでに昼頃だった。
武尊はまだぐっすり眠っていた。
斎藤は部屋にあった椅子をベッドの横に持ってきて座り、武尊の寝顔を見て眉間に皺をよせ、煙草に火をつけた。
するとその臭いに反応して武尊が気づいて目を開けた。
「あ・・・おかえり・・・帰ってたんだ。」
斎藤は手袋を取って武尊の額に手を当てた。
「いつからだ、具合が悪いのは。」
「・・・具合は悪くないけど明け方からちょっとだるかったかな。大丈夫だよ。」
「目が死んでるうえに熱がある。」
「熱・・・。」
斎藤に指摘されて自分でも額に手を当ててみる武尊だった。
「少し熱いかな?でもこれくらい・・。」
と、武尊は起き上がろうとしたが斎藤が武尊の顔面を片手で押さえた。
むぎゅ。
「私も外へ行きたいー!」
「阿呆、こじらせて悪くさせたらどうするんだ、この先俺も時尾もいないんだぞ。」
「ううっ。」
そう言われては武尊は何も言えなかった。
いや、一言だけ斎藤を少し恨めしい眼で見ながら、
「・・・・・・天婦羅。」
と、呟いた。
斎藤は小さくため息をつくと、
「もうしばらく様子を見て良くなっているようだったら夕方連れてってやる。だから大人しくしていろ。疲れが蓄積されたんだろうな、結構身体には負担をかけたからな。」
斎藤の言葉でかえって体温が上がると武尊は思ったぐらいに夜中の情事を思い出し顔を赤くした。
「武尊の身体は今の俺には手に取るようにわかる。」
何てことを言い出すのかと武尊は恥ずかしくて顔を伏せながら、
「でも・・・お腹すいた・・。」
とぼそっと呟いた。
すると斎藤はちょっと得意そうに、
「そんなこともあろうかと団子を買って来たぞ。」
と、武尊の目の前でどこから取り出したか団子の包をぶらぶらと揺らした。
「食べる!」
「食べたら薬だからな。」
「え?」
「安心しろ、あの薬ではない。ちゃんとした奴だ、筋肉疲労・・・に効くな。」
「ふうううん。」
武尊は一瞬動揺したものの、違う薬だと聞いて安心した。
斎藤に水まで持ってきてもらって団子を五本ぺろりと食べた。
その後に斎藤に薬の包を手渡されて、口の中に水を少し含み、薬の包を開けて臭った。
その臭いと濃い紫色を見てあの薬ではない事を確認するとサラサラと口に粉を入れて飲み込んだ。
「にっ・・・・・・にが・・・。」
「だが、よく聞く薬だ。本来ならば日本酒で服用するのだが生憎ここには酒がない。」
「え”?」
「知らないのか?骨折、切り傷、打ち身、捻挫、筋肉痛に良く効くという【石田散薬】を。」
「凄く色々な事に効くんですね。」
「嗚呼、なんてったって副長自慢の【石田散薬】だからな。薬箱が資料室にあっただろ。」
「あっ・・。」
武尊はそう言えば薬が入った古そうな背負子箱が会ったのを思い出した。
「飲んだらおとなしく寝ろ。」
「一・・・。」
「何だ。」
「我が儘言っていい?」
「言ってみろ。」
「少しの間でいい、手を握っていて欲しいの。」
斎藤はそれを聞いて少し目を細めると、先ほど手袋を脱いだ手ですっと武尊の片手を握った。
「これでいいか。」
「うん・・・。」
そう言った武尊だったがまだ何か言いたげに斎藤を見つめた。
「目をつむれ。」
「何か・・少しでいい、何か新撰組の話をして・・・何でもいい・・・知りたいの・・。」
「・・そうだな。」
そう言って斎藤はもう片方の白手をはめた方の手で武尊のまぶたをそっと下ろした。
「昔話だ・・幕末の京都を思い浮かべて聞け。」
斎藤はもう二度と語る事はないと思っていた新撰組での他愛もない話・・・斎藤もそう言われてみればと遠い昔を思い出しながら武尊の手の力が抜けるまで語った。
「何かあったのか?」
斎藤がそこら辺の若い警官に声をかけた時、斎藤の姿を見た所長が慌てた様子で斎藤の所へやって来た。
「藤田君!」
「署長、いったいこれは。」
「今し方入った情報なんだが・・・武田観柳が鍛冶橋監獄署から消えたらしい!」
「!」
斎藤の眉間がより深く皺を刻んだ。
「・・・脱走ですか。」
「まだはっきりしたことは分からん。だがその線は濃い。藤田君は転勤前でこの捜索から外すという事を聞いているが何か情報をつかんだら一方願いたい。」
「分かりました。」
署長はそう言うと署長室へ籠ってしまった。
「やれやれ。面倒な事にならなければいいが。」
斎藤は渋い顔をして横浜署を後にした。
武田観柳・・抜刀斎がとっとと始末してればこんな騒ぎにはならなかったのにと、斎藤は愚痴をこぼした。
「ああいう社会のダニは生き残るとろくでもない事になるんだよ。」
ちょっと寄っただけなのに面倒な事を聞いてしまったと斎藤は海の方向を見据えた。
その海は遠く北海道まで続く。
(こっち(北海道)に来たら即行悪・即・斬で消えてもらう。)
眉間に皺を寄せたまま斎藤は、ふうううぅぅ、と長く煙草の煙を吐いた。
その後斎藤は店を数件まわって武尊の所へ戻って来た時はすでに昼頃だった。
武尊はまだぐっすり眠っていた。
斎藤は部屋にあった椅子をベッドの横に持ってきて座り、武尊の寝顔を見て眉間に皺をよせ、煙草に火をつけた。
するとその臭いに反応して武尊が気づいて目を開けた。
「あ・・・おかえり・・・帰ってたんだ。」
斎藤は手袋を取って武尊の額に手を当てた。
「いつからだ、具合が悪いのは。」
「・・・具合は悪くないけど明け方からちょっとだるかったかな。大丈夫だよ。」
「目が死んでるうえに熱がある。」
「熱・・・。」
斎藤に指摘されて自分でも額に手を当ててみる武尊だった。
「少し熱いかな?でもこれくらい・・。」
と、武尊は起き上がろうとしたが斎藤が武尊の顔面を片手で押さえた。
むぎゅ。
「私も外へ行きたいー!」
「阿呆、こじらせて悪くさせたらどうするんだ、この先俺も時尾もいないんだぞ。」
「ううっ。」
そう言われては武尊は何も言えなかった。
いや、一言だけ斎藤を少し恨めしい眼で見ながら、
「・・・・・・天婦羅。」
と、呟いた。
斎藤は小さくため息をつくと、
「もうしばらく様子を見て良くなっているようだったら夕方連れてってやる。だから大人しくしていろ。疲れが蓄積されたんだろうな、結構身体には負担をかけたからな。」
斎藤の言葉でかえって体温が上がると武尊は思ったぐらいに夜中の情事を思い出し顔を赤くした。
「武尊の身体は今の俺には手に取るようにわかる。」
何てことを言い出すのかと武尊は恥ずかしくて顔を伏せながら、
「でも・・・お腹すいた・・。」
とぼそっと呟いた。
すると斎藤はちょっと得意そうに、
「そんなこともあろうかと団子を買って来たぞ。」
と、武尊の目の前でどこから取り出したか団子の包をぶらぶらと揺らした。
「食べる!」
「食べたら薬だからな。」
「え?」
「安心しろ、あの薬ではない。ちゃんとした奴だ、筋肉疲労・・・に効くな。」
「ふうううん。」
武尊は一瞬動揺したものの、違う薬だと聞いて安心した。
斎藤に水まで持ってきてもらって団子を五本ぺろりと食べた。
その後に斎藤に薬の包を手渡されて、口の中に水を少し含み、薬の包を開けて臭った。
その臭いと濃い紫色を見てあの薬ではない事を確認するとサラサラと口に粉を入れて飲み込んだ。
「にっ・・・・・・にが・・・。」
「だが、よく聞く薬だ。本来ならば日本酒で服用するのだが生憎ここには酒がない。」
「え”?」
「知らないのか?骨折、切り傷、打ち身、捻挫、筋肉痛に良く効くという【石田散薬】を。」
「凄く色々な事に効くんですね。」
「嗚呼、なんてったって副長自慢の【石田散薬】だからな。薬箱が資料室にあっただろ。」
「あっ・・。」
武尊はそう言えば薬が入った古そうな背負子箱が会ったのを思い出した。
「飲んだらおとなしく寝ろ。」
「一・・・。」
「何だ。」
「我が儘言っていい?」
「言ってみろ。」
「少しの間でいい、手を握っていて欲しいの。」
斎藤はそれを聞いて少し目を細めると、先ほど手袋を脱いだ手ですっと武尊の片手を握った。
「これでいいか。」
「うん・・・。」
そう言った武尊だったがまだ何か言いたげに斎藤を見つめた。
「目をつむれ。」
「何か・・少しでいい、何か新撰組の話をして・・・何でもいい・・・知りたいの・・。」
「・・そうだな。」
そう言って斎藤はもう片方の白手をはめた方の手で武尊のまぶたをそっと下ろした。
「昔話だ・・幕末の京都を思い浮かべて聞け。」
斎藤はもう二度と語る事はないと思っていた新撰組での他愛もない話・・・斎藤もそう言われてみればと遠い昔を思い出しながら武尊の手の力が抜けるまで語った。