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156.記憶の刻印(8) (斎藤・夢主)
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「・・・・・。」
武尊が目を覚ましたのはまたもや日が沈んだ後だった。
目を開けると真っ暗でしかも雨の匂いと音がした。
(いっけない!窓開けっ放しだっだ。)
武尊はハッとして、せっかく洗った靴下が心配で起き上がって足を床につけたとたん、視界が瞬時に傾いた。
カクンと全身の関節にまるで力が入らなくて床へ倒れそうになるところを斎藤に腕を掴まれた。
「間一髪だったな。」
斎藤もちょっと焦ったように言った。
「起きてたの?」
「いや、今何やらまずい気配がして、それで起きた。」
「・・・。」
武尊も達人の域になるとこんな風になるのか・・・と恐ろしいものがある、と、そんな事が武尊の脳裏をちょっとかすめたが取りあえず助けてもらったお礼を言った。
「ありがとう。」
「どうした、急に。」
「雨が・・・靴下が濡れちゃうと思って。」
「嗚呼・・雨だな・・・。」
斎藤も窓の方を見ると武尊の代りにベッドから降りて窓を閉めに行った。
「よかったな、雨はそんなに降り込んでないぞ。」
「よかった~。」
濡れた靴下をはくくらいなら洗わない方がよかったと思うところだったと武尊は思った。
「また夜になっちゃったね。何時だろ、天婦羅屋さん、閉まっちゃったかなぁ。」
「腹がへったのか。」
「ううん、まだそんなに・・。それより今は気怠くてとにかくだる・・・い・・・・・?」
武尊は自分でそう言っておきながら言葉を止めた。
「どうした、具合でも悪いのか。」
「ううん、そういうわけじゃない・・・。」
と言いながら武尊はそう言えばと、今自分の体調に非常に酷似している時の事を思いだしていた。
というか、そういう時に心当たりがある事に気がついた。
(この気怠さ・・・疲労感・・・身体の痛み・・・これって・・・・
十六夜丸になった翌日の体調と同じ??何で気が付かなかったんだろう、でもどうして?)
何でだろと思いつつもとにかく今はだるくてとてもじゃないけども思考能力が働かないから、と、武尊はそのことろ考えるのを止めた。
「声も少しかすれているな・・やはり啼かせすぎたか。」
「・・・。」
斎藤の言葉になんと返答して良いのか分からなかった武尊だった。
「まあ、あれだけを一度にやれば武尊の身体にはかなりの負担になる事は分かっていたんだがな。」
と、斎藤は戻って来てベッドの上に足を伸ばして背を頭側の板を背にし、煙草に火を点けた。
武尊は斎藤の言葉に自分が何をしたかを思い出して顔を赤くしながらも、斎藤の横で同じような恰好をして、ふと灰皿に目をやるとガラスの器が吸殻でてんこ盛りになっていた。
「ええ!いつの間にこんなに吸ったんですか?!っていうか、こんなに煙草をどこに持ってたんですか?」
二箱分の吸殻はありそうだと武尊驚いていると、
「何、武尊が途中で気を失ってウンともスンとも言わんので暇つぶしに煙草を吸っていたんだがな、持って来たのが無くなったんで買い出しに行ったんだ。」
「いつの間に・・・。」
そう言えば干したはずの斎藤の靴下が窓側になかったと気が付き唖然とする武尊だった。
「こんなことになるだろうとついでに飯も買ってきたぞ。」
「えっ・・・。」
飯と言われて武尊の顔がぱっと明るく晴れた。
「そんなに喜んでもらえるとはな。」
斎藤はくくっと苦笑した。
「だって・・・。」
何から何まで手際のよい斎藤に武尊は感服した。
「・・・後から頂きます。」
現金だと思われてるだろうな~と、武尊は気恥ずかしくてちょっと顔を赤くしてそう答えた時、バババババッ、と、突然窓ガラスが強く雨に打たれてすごい音がした。
「雨が・・・。ひどい雨になってきたね。」
これじゃ身体が元気でも外には出れなかったと武尊が思った時、
「・・・そうだな。」
と、斎藤が少し間をおいて返事をした。
そして、
「俺達が初めて会った日の夜もこんな雨だったな・・。」
と、斎藤は少し遠い目をした。
二人は沈黙し、紫煙だけがまっすぐ立ち昇っていた。
武尊が目を覚ましたのはまたもや日が沈んだ後だった。
目を開けると真っ暗でしかも雨の匂いと音がした。
(いっけない!窓開けっ放しだっだ。)
武尊はハッとして、せっかく洗った靴下が心配で起き上がって足を床につけたとたん、視界が瞬時に傾いた。
カクンと全身の関節にまるで力が入らなくて床へ倒れそうになるところを斎藤に腕を掴まれた。
「間一髪だったな。」
斎藤もちょっと焦ったように言った。
「起きてたの?」
「いや、今何やらまずい気配がして、それで起きた。」
「・・・。」
武尊も達人の域になるとこんな風になるのか・・・と恐ろしいものがある、と、そんな事が武尊の脳裏をちょっとかすめたが取りあえず助けてもらったお礼を言った。
「ありがとう。」
「どうした、急に。」
「雨が・・・靴下が濡れちゃうと思って。」
「嗚呼・・雨だな・・・。」
斎藤も窓の方を見ると武尊の代りにベッドから降りて窓を閉めに行った。
「よかったな、雨はそんなに降り込んでないぞ。」
「よかった~。」
濡れた靴下をはくくらいなら洗わない方がよかったと思うところだったと武尊は思った。
「また夜になっちゃったね。何時だろ、天婦羅屋さん、閉まっちゃったかなぁ。」
「腹がへったのか。」
「ううん、まだそんなに・・。それより今は気怠くてとにかくだる・・・い・・・・・?」
武尊は自分でそう言っておきながら言葉を止めた。
「どうした、具合でも悪いのか。」
「ううん、そういうわけじゃない・・・。」
と言いながら武尊はそう言えばと、今自分の体調に非常に酷似している時の事を思いだしていた。
というか、そういう時に心当たりがある事に気がついた。
(この気怠さ・・・疲労感・・・身体の痛み・・・これって・・・・
十六夜丸になった翌日の体調と同じ??何で気が付かなかったんだろう、でもどうして?)
何でだろと思いつつもとにかく今はだるくてとてもじゃないけども思考能力が働かないから、と、武尊はそのことろ考えるのを止めた。
「声も少しかすれているな・・やはり啼かせすぎたか。」
「・・・。」
斎藤の言葉になんと返答して良いのか分からなかった武尊だった。
「まあ、あれだけを一度にやれば武尊の身体にはかなりの負担になる事は分かっていたんだがな。」
と、斎藤は戻って来てベッドの上に足を伸ばして背を頭側の板を背にし、煙草に火を点けた。
武尊は斎藤の言葉に自分が何をしたかを思い出して顔を赤くしながらも、斎藤の横で同じような恰好をして、ふと灰皿に目をやるとガラスの器が吸殻でてんこ盛りになっていた。
「ええ!いつの間にこんなに吸ったんですか?!っていうか、こんなに煙草をどこに持ってたんですか?」
二箱分の吸殻はありそうだと武尊驚いていると、
「何、武尊が途中で気を失ってウンともスンとも言わんので暇つぶしに煙草を吸っていたんだがな、持って来たのが無くなったんで買い出しに行ったんだ。」
「いつの間に・・・。」
そう言えば干したはずの斎藤の靴下が窓側になかったと気が付き唖然とする武尊だった。
「こんなことになるだろうとついでに飯も買ってきたぞ。」
「えっ・・・。」
飯と言われて武尊の顔がぱっと明るく晴れた。
「そんなに喜んでもらえるとはな。」
斎藤はくくっと苦笑した。
「だって・・・。」
何から何まで手際のよい斎藤に武尊は感服した。
「・・・後から頂きます。」
現金だと思われてるだろうな~と、武尊は気恥ずかしくてちょっと顔を赤くしてそう答えた時、バババババッ、と、突然窓ガラスが強く雨に打たれてすごい音がした。
「雨が・・・。ひどい雨になってきたね。」
これじゃ身体が元気でも外には出れなかったと武尊が思った時、
「・・・そうだな。」
と、斎藤が少し間をおいて返事をした。
そして、
「俺達が初めて会った日の夜もこんな雨だったな・・。」
と、斎藤は少し遠い目をした。
二人は沈黙し、紫煙だけがまっすぐ立ち昇っていた。