「流石にあれだけ汗をかくと腹が減ったな。」



斎藤はランプを棚に置き、灯りに虫が集まらないようガラス窓を閉めた。



「一・・、水も欲しい。のどがカラカラ。」



「そうだな、あれだけ啼けばのども乾くだろう。今持ってきてやる、ちょっと待ってろ。」



と、斎藤は武尊が動けないのを分かっていてランプを手に取ると裸のまま下へ降りて行った。



そんな後ろ姿と見送りながら武尊は思った。



「誰もいないからいいけど、若しだれかいたらびっくりだよね。いきなり全裸で人が現れたら。」



武尊は妙なツボに入ったのかびっくりする人の立場になってクスクスと笑った。



そして、あー疲れたとベッドに横になった。



横になるとやっぱりかなり疲れが残っているようで自然にまぶたが重くなる。















「武尊。」



と名を呼ばれてはっ、っとすると何時の間にか斎藤が戻って来ていた。



「さすがにお疲れか。起きれるか。」



壁の棚に置かれたランプの灯りを背にした斎藤の姿が目を開けたばかりの武尊にまぶしく武尊は目を細めて斎藤を見上げた。



そしてなるべく斎藤の男の部分は直視しないようにさりげなく視線を外しながら武尊はのそのそと起きた。



斎藤は水の入った湯呑を武尊に差し出して稲荷の包を取って武尊の横に座った。



そしてコクコクと水を飲む武尊に包を開いて稲荷を取ると、



「口を開けろ。」



と言って武尊の目の前に稲荷を持っていった。


武尊は驚いて目を丸くしたが、すぐににこっとして、



「ありがとう。」



と言って斎藤の言うとおりに大きく口を開けた。



半分ほどの大きさをパクリと口に入れると斎藤は残りを自分の口に運んだ。




「おいしいね。」
「美味いな。」



二人は顔を見合わせて微笑んだ。