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146.休暇気分で横浜へ (斎藤・夢主)
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「斎藤さん、何か心当たりでもあるんですか?」
と、横から斎藤の表情を見ていた武尊が聞いた。
「家紋だ、藤の花のな。」
「家紋?」
「嗚呼、藤の花を家紋に持つ昔の名家と言えば・・。」
「と言えば?」
と、武尊は斎藤の言葉を固唾を飲みこんで待った。
それが十六夜丸の正体か?と期待したからだ。
「藤原氏だな。大化の改新の功労者、中臣鎌足が天智天皇から賜ったとされる【藤原】姓がその始まりだと言われる。」
「藤原鎌足・・・って、これまたすごく昔ですね。」
武尊はあまりにも昔すぎる、そして意外な有名人の名にびっくりした。
「そして、その藤原氏は千年栄華を極め・・・いや、千年を過ぎた現在も政界やそこら中に子孫がいて社会に影響を与えている。」
「へえ~っ、それってすごいですね・・・。」
「嗚呼、藤原鎌足に始まった藤原の子孫は後に公家の藤原、武家の藤原と別れ、末端では藤原の氏ではなくともその血は脈々と継がれ江戸の世では大名・旗本合わせてでは藤の家紋を持つ家は百七十あったと聞いている。」
「ひゃ・・・くななじゅうぅ?」
手がかりになろうかという藤の紋が武家だけで170もあると聞いて思わず声が裏返ってしまう。
「その家紋の全てが藤原の流れではないだろうがな。兎も角、あの大包平の鞘に描かれていた藤の花が藤原氏と関係しているならばあのキナ臭い十六夜丸を使い政治を動かそうとしていたということも考えられるな。」
「え・・・でも、斎藤さん、私が十六夜丸になったのって幕末の時ですよ、千年以上前って私生まれてませんけど。」
武尊がそう疑問をぶつけると斎藤は足を止めて武尊を見た。
「若しかすると十六夜丸を引き出す呪法とやらが別にあるのかもしれんな。現実的は話ではないが現にあの薬で武尊の身体に十六夜丸を呼べるんだ、考えられん話ではない。」
斎藤の言葉に武尊は固まった。
「そ・・・そんな・・・。」
「あくまでも推測の話だ、鵜呑みにするな。」
「うん・・・・。」
斎藤にそう言われてうんと返事をしたものの武尊はちょっとしたパニックに陥っていた。
まさか過去に自分以外にも十六夜丸に変化する人間がいたなんて武尊は考えもしていなかったからだ。
「ここで待ってろ、俺は船会社の事務所へ寄って来る。」
武尊の歩きが鈍くなっている事に斎藤は気を使って道端の大きな木の下で武尊を座らせて休ませた。
埠頭はすぐそこで数件の棟を連ねたの洋風の建物が200mぐらい先にあった。
斎藤はその建物に向かって歩き始めた。
武尊は斎藤を待っている間、先程の斎藤の言葉を繰り返しつつ、先日見た夢・・・古代の服を着た光に満ちた青年の後ろ姿を思い出していた。
藤原鎌足は飛鳥時代の人物、それと丁度同じぐらいの時代の服装の青年、偶然の一致かそれとも何か繋がりがあるのかわからないが武尊はどうしてもその青年の姿が気になった。
それと同時に意識の底で向かい合った眼の紅い自分、つまり十六夜丸になった自分の姿も武尊は思い出していた。
「本当の十六夜丸の姿って・・・。」
と、武尊は呟いてみたけれど全然考えはまとまらなかった。
ふぅ、とため息ばかりを何度もついているうちに斎藤が戻って来る姿を武尊は目にした。
「船、どうでした?」
「嗚呼、出港日、時間とも確認した。変更はない。」
「そうですか、斎藤さんもそろそろ荷づくりしなくっちゃいけませんね。」
「俺の荷物は少ないからすぐに終わる。それより大丈夫か。」
「ええ、もう大丈夫です。すみませんでした。」
「あれはあくまでも俺の推測だからな、あまり気にするなよ。」
「はい、でも御参考までに覚えておきます。で、もう帰ります?」
「いや、何かあるのか。」
「別に・・、でも時間があるんだったら少し街を見たいな。」
「いいだろう、まだ寄る所があるがそこに行くまでに丁度賑やかな通りがある、少しその辺を歩くか。」
「やった!じゃぁ行きましょう。」
明治の横浜。
現代の横浜も中華街を旅行雑誌を見たことがある武尊には興味深々である。
先日京都から来た時は馬車で警視庁直行だったのでゆっくり見たいと思っていたのであった。
武尊は斎藤が『休暇だと思って付いて来い』と言った事とを思い出し、仕事外で斎藤と一緒に歩けることを幸せに思った。
余談雑談:
・川路さんが明治十二年一月、仏蘭西に行かれて体調を崩し十月帰国後亡くなられたというのは史実です。
病気の症状は管理人の勝手な妄想ですが、かなり悪性の病だったのかもしれません。
・陸蒸気から海が見えたらいいな、そんな景色を夢主と斎藤さんで眺める、というシチュエーションを書こうと思って資料調べいたしましたら、どうやら本当に海が見えたらしくてその案を採用しました。
ウキペディアで【日本の鉄道開業】で検索しましたらそこには海沿いを走る浮世絵がありました!
(その後埋立か何かで陸が伸びたて現在の地形になったのでは思われます。)
喫煙車両もあったらしいと他のHPを拝読してそんな話も入れてみました。(^_^)
ttp://bunzo.jp/archives/entry/000402.html(参照・・最初のhの文字は抜いてありますのでお調べされたい方は付け足してください。)
今回は列車で旅する二人の情景を頭に描きながら話を書きました。
付け加えて十六夜丸に関わる話も入ってます。
しかしなによりも斎藤さんの心の中が・・・。
気になりますねぇ。
2014. 5. 1
と、横から斎藤の表情を見ていた武尊が聞いた。
「家紋だ、藤の花のな。」
「家紋?」
「嗚呼、藤の花を家紋に持つ昔の名家と言えば・・。」
「と言えば?」
と、武尊は斎藤の言葉を固唾を飲みこんで待った。
それが十六夜丸の正体か?と期待したからだ。
「藤原氏だな。大化の改新の功労者、中臣鎌足が天智天皇から賜ったとされる【藤原】姓がその始まりだと言われる。」
「藤原鎌足・・・って、これまたすごく昔ですね。」
武尊はあまりにも昔すぎる、そして意外な有名人の名にびっくりした。
「そして、その藤原氏は千年栄華を極め・・・いや、千年を過ぎた現在も政界やそこら中に子孫がいて社会に影響を与えている。」
「へえ~っ、それってすごいですね・・・。」
「嗚呼、藤原鎌足に始まった藤原の子孫は後に公家の藤原、武家の藤原と別れ、末端では藤原の氏ではなくともその血は脈々と継がれ江戸の世では大名・旗本合わせてでは藤の家紋を持つ家は百七十あったと聞いている。」
「ひゃ・・・くななじゅうぅ?」
手がかりになろうかという藤の紋が武家だけで170もあると聞いて思わず声が裏返ってしまう。
「その家紋の全てが藤原の流れではないだろうがな。兎も角、あの大包平の鞘に描かれていた藤の花が藤原氏と関係しているならばあのキナ臭い十六夜丸を使い政治を動かそうとしていたということも考えられるな。」
「え・・・でも、斎藤さん、私が十六夜丸になったのって幕末の時ですよ、千年以上前って私生まれてませんけど。」
武尊がそう疑問をぶつけると斎藤は足を止めて武尊を見た。
「若しかすると十六夜丸を引き出す呪法とやらが別にあるのかもしれんな。現実的は話ではないが現にあの薬で武尊の身体に十六夜丸を呼べるんだ、考えられん話ではない。」
斎藤の言葉に武尊は固まった。
「そ・・・そんな・・・。」
「あくまでも推測の話だ、鵜呑みにするな。」
「うん・・・・。」
斎藤にそう言われてうんと返事をしたものの武尊はちょっとしたパニックに陥っていた。
まさか過去に自分以外にも十六夜丸に変化する人間がいたなんて武尊は考えもしていなかったからだ。
「ここで待ってろ、俺は船会社の事務所へ寄って来る。」
武尊の歩きが鈍くなっている事に斎藤は気を使って道端の大きな木の下で武尊を座らせて休ませた。
埠頭はすぐそこで数件の棟を連ねたの洋風の建物が200mぐらい先にあった。
斎藤はその建物に向かって歩き始めた。
武尊は斎藤を待っている間、先程の斎藤の言葉を繰り返しつつ、先日見た夢・・・古代の服を着た光に満ちた青年の後ろ姿を思い出していた。
藤原鎌足は飛鳥時代の人物、それと丁度同じぐらいの時代の服装の青年、偶然の一致かそれとも何か繋がりがあるのかわからないが武尊はどうしてもその青年の姿が気になった。
それと同時に意識の底で向かい合った眼の紅い自分、つまり十六夜丸になった自分の姿も武尊は思い出していた。
「本当の十六夜丸の姿って・・・。」
と、武尊は呟いてみたけれど全然考えはまとまらなかった。
ふぅ、とため息ばかりを何度もついているうちに斎藤が戻って来る姿を武尊は目にした。
「船、どうでした?」
「嗚呼、出港日、時間とも確認した。変更はない。」
「そうですか、斎藤さんもそろそろ荷づくりしなくっちゃいけませんね。」
「俺の荷物は少ないからすぐに終わる。それより大丈夫か。」
「ええ、もう大丈夫です。すみませんでした。」
「あれはあくまでも俺の推測だからな、あまり気にするなよ。」
「はい、でも御参考までに覚えておきます。で、もう帰ります?」
「いや、何かあるのか。」
「別に・・、でも時間があるんだったら少し街を見たいな。」
「いいだろう、まだ寄る所があるがそこに行くまでに丁度賑やかな通りがある、少しその辺を歩くか。」
「やった!じゃぁ行きましょう。」
明治の横浜。
現代の横浜も中華街を旅行雑誌を見たことがある武尊には興味深々である。
先日京都から来た時は馬車で警視庁直行だったのでゆっくり見たいと思っていたのであった。
武尊は斎藤が『休暇だと思って付いて来い』と言った事とを思い出し、仕事外で斎藤と一緒に歩けることを幸せに思った。
余談雑談:
・川路さんが明治十二年一月、仏蘭西に行かれて体調を崩し十月帰国後亡くなられたというのは史実です。
病気の症状は管理人の勝手な妄想ですが、かなり悪性の病だったのかもしれません。
・陸蒸気から海が見えたらいいな、そんな景色を夢主と斎藤さんで眺める、というシチュエーションを書こうと思って資料調べいたしましたら、どうやら本当に海が見えたらしくてその案を採用しました。
ウキペディアで【日本の鉄道開業】で検索しましたらそこには海沿いを走る浮世絵がありました!
(その後埋立か何かで陸が伸びたて現在の地形になったのでは思われます。)
喫煙車両もあったらしいと他のHPを拝読してそんな話も入れてみました。(^_^)
ttp://bunzo.jp/archives/entry/000402.html(参照・・最初のhの文字は抜いてありますのでお調べされたい方は付け足してください。)
今回は列車で旅する二人の情景を頭に描きながら話を書きました。
付け加えて十六夜丸に関わる話も入ってます。
しかしなによりも斎藤さんの心の中が・・・。
気になりますねぇ。
2014. 5. 1