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146.休暇気分で横浜へ (斎藤・夢主)
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川路大警視の出勤後、武尊は何とか忙しい川路の予定の合間に会う事を許された・・・もちろん上司の斎藤付で。
突然の刀の返却に驚いていた川路だったが、わざわざ人数を割いて会津まで返しに行く手間が省けたと、ため息まじりにも了承してくれて武尊はほっとした。
「川路さん、本当にありがとうございました。」
武尊はこんな自分の為に労力を使ってくれた事に対してお礼を述べた。
「あの刀が土岐の・・・いや、川上の息子が持っていたであろうという推測のもとで持ってきた刀だったが役に立ったようでよかった。同郷であり知人でもある川上の息子の行方は儂にとっても気に掛けておる。大した手掛かりではなかったかもしれんが見つかれば良いな。」
「はい、私も兄がどこかで健在でいることを願っています。」
幕末一緒にいた兄と呼ぶ男を今更フルネームで呼ぶ気にはなれず、使い慣れた呼び名を武尊はつい言ってしまう。
「そう言えば斎藤の所で働くのも後僅かだな。斎藤が北海道へ行く話はすでに聞いていると思うがこれまで短い間だったがいろいろ世話になったな、礼を言う。」
「いえ・・・。」
川路は政府高官の夜会襲撃事件や密輸武器揚陸阻止に貢献した武尊を褒めていた。
が、武尊としてはかえって斎藤が飛ばされる原因を自分が作ってしまったと心苦しく思っていた。
転勤といえば斎藤の開拓使行きの他に目の前の男はもっと遠くへ行くのだったという事を武尊は思いだした。
「そう言えば川路さんはフランスへ行かれるんですよね。・・すごいですね。」
「うむ、まだまだ日本の警察制度は未発展だ。欧州に肩を並べる立派な近代国家にする為にもやらなきゃならんことはたくさんある。」
胸を張って堂々と答える川路に武尊は感銘を覚えた。
時は明治。
鎖国を終え、怒涛の世界の歴史の渦へと巻きこまれた日本の舵取りを必死で行おうとしている男がここにも一人。
武尊はその熱情に心が少し熱くなった。
そんな武尊の心情を見透かすように斎藤は後ろから武尊の姿を見て目を細めた。
だが武尊には川路に対して少し気になることがあった。
「川路さん・・少し痩せました?」
思わず疑問が口から出た。
「ん?・・別にそうは思わんが。ま、時々腹の渋りがあるぐらいだが。」
「そうですか・・・長旅も控えていますからお体を大事にしてください。」
「うむ、土岐とももう会う事はないかもしれんがお前も達者で暮らせよ。」
「重ね重ねお気遣いありがとうございます。」
と、武尊は再度川路に礼をすると警視総監室を出た。
部屋を出た後斎藤が、
「武尊、川路の何処か気になるのか?」
と聞いてきた。
「ん・・、ちょっと・・・顔色が悪いかなぁって・・。」
「顔色ぐらいなら武尊の方がもっと悪い時があるんじゃないか。」
「そりゃ、私は体調不安定の時多いですよ。」
と、武尊がちょっと不満気に口をとがらせて斎藤に答えるが、
「そうじゃなくて・・・何か気になるんだよね・・・。」
と、武尊は川路の姿を思い出し腕を組んだ。
そう、それはちょっと霊力がある武尊が感じ取った虫の知らせかもしれなかった。
事実、武尊は二度と川路に会う事はなく、川路は翌年フランス渡航の際、パリに到着した日に吐血した。
病に伏せるも病状はよくならず十月帰国、そしてそのまま亡くなってしまうのであった。
何かすっきりしないと腕を組み歩く武尊に斎藤は声をかけた。
「おい、何処へ行くんだ。」
呼び止められて武尊は後ろを振り返った。
「え?部屋(三階)へ戻るんじゃないんですか?」
「・・・今日は別な仕事だ、来い。」
「はい・・。(何の仕事だろうか、巡察かな?)」
武尊は疑問を持ったまま斎藤の後をついて行くと、斎藤はそのまま警視庁の外へ出た。
突然の刀の返却に驚いていた川路だったが、わざわざ人数を割いて会津まで返しに行く手間が省けたと、ため息まじりにも了承してくれて武尊はほっとした。
「川路さん、本当にありがとうございました。」
武尊はこんな自分の為に労力を使ってくれた事に対してお礼を述べた。
「あの刀が土岐の・・・いや、川上の息子が持っていたであろうという推測のもとで持ってきた刀だったが役に立ったようでよかった。同郷であり知人でもある川上の息子の行方は儂にとっても気に掛けておる。大した手掛かりではなかったかもしれんが見つかれば良いな。」
「はい、私も兄がどこかで健在でいることを願っています。」
幕末一緒にいた兄と呼ぶ男を今更フルネームで呼ぶ気にはなれず、使い慣れた呼び名を武尊はつい言ってしまう。
「そう言えば斎藤の所で働くのも後僅かだな。斎藤が北海道へ行く話はすでに聞いていると思うがこれまで短い間だったがいろいろ世話になったな、礼を言う。」
「いえ・・・。」
川路は政府高官の夜会襲撃事件や密輸武器揚陸阻止に貢献した武尊を褒めていた。
が、武尊としてはかえって斎藤が飛ばされる原因を自分が作ってしまったと心苦しく思っていた。
転勤といえば斎藤の開拓使行きの他に目の前の男はもっと遠くへ行くのだったという事を武尊は思いだした。
「そう言えば川路さんはフランスへ行かれるんですよね。・・すごいですね。」
「うむ、まだまだ日本の警察制度は未発展だ。欧州に肩を並べる立派な近代国家にする為にもやらなきゃならんことはたくさんある。」
胸を張って堂々と答える川路に武尊は感銘を覚えた。
時は明治。
鎖国を終え、怒涛の世界の歴史の渦へと巻きこまれた日本の舵取りを必死で行おうとしている男がここにも一人。
武尊はその熱情に心が少し熱くなった。
そんな武尊の心情を見透かすように斎藤は後ろから武尊の姿を見て目を細めた。
だが武尊には川路に対して少し気になることがあった。
「川路さん・・少し痩せました?」
思わず疑問が口から出た。
「ん?・・別にそうは思わんが。ま、時々腹の渋りがあるぐらいだが。」
「そうですか・・・長旅も控えていますからお体を大事にしてください。」
「うむ、土岐とももう会う事はないかもしれんがお前も達者で暮らせよ。」
「重ね重ねお気遣いありがとうございます。」
と、武尊は再度川路に礼をすると警視総監室を出た。
部屋を出た後斎藤が、
「武尊、川路の何処か気になるのか?」
と聞いてきた。
「ん・・、ちょっと・・・顔色が悪いかなぁって・・。」
「顔色ぐらいなら武尊の方がもっと悪い時があるんじゃないか。」
「そりゃ、私は体調不安定の時多いですよ。」
と、武尊がちょっと不満気に口をとがらせて斎藤に答えるが、
「そうじゃなくて・・・何か気になるんだよね・・・。」
と、武尊は川路の姿を思い出し腕を組んだ。
そう、それはちょっと霊力がある武尊が感じ取った虫の知らせかもしれなかった。
事実、武尊は二度と川路に会う事はなく、川路は翌年フランス渡航の際、パリに到着した日に吐血した。
病に伏せるも病状はよくならず十月帰国、そしてそのまま亡くなってしまうのであった。
何かすっきりしないと腕を組み歩く武尊に斎藤は声をかけた。
「おい、何処へ行くんだ。」
呼び止められて武尊は後ろを振り返った。
「え?部屋(三階)へ戻るんじゃないんですか?」
「・・・今日は別な仕事だ、来い。」
「はい・・。(何の仕事だろうか、巡察かな?)」
武尊は疑問を持ったまま斎藤の後をついて行くと、斎藤はそのまま警視庁の外へ出た。