第6話 絶叫と絶叫
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この所目まぐるしく忙しい日が続き、自宅には睡眠のために帰るだけの日々だったが、この週末それもようやく一段落した。久しぶりに酒でも飲むかと、帰りのコンビニで缶ビールを調達し家路に着いたところだ。
今回新しいチームが発足され、それを俺が任される事となった。今後は自身がマネージャーとなり、自らが選抜したメンバーで新規開拓を担うことになる。メンバー選定から開拓先のリストアップ、それに伴う各部署との連携。上層部への報告。他にもやるべき事は山のようにあり、この一週間はとにかく怒涛のように過ぎていった。
この一週間の間、ナマエが居れば…と何度思った事か。あいつが居ればもっとスムーズに事が運んだだろうと思えばつい舌打ちが漏れる。前々から仕事でのあいつの働きに助けられていると解ってはいたが、離れたことでそれがどれだけ有りがたいことだったのかをそれはそれは実感させられたのだ。
今回のチーム発足であいつは、あの馬面小僧と一緒に俺が今まで担当していた所を引き継ぐことになった。最近メキメキと頭角を現してきているといっても、まだまだ若手だ。ナマエが付くのも当然の配置だろう。取引先にも顔が利き、小僧の教育担当をしていたあいつなら、今後もうまくやるだろう。それを理解はしていても納得できるかはまた別の話で。
「…クソが。」
──プシッ──
何の音もないリビングでプルタブを開ける軽やかな音だけが響いた。
そういえば最近あいつとまともに会話すらしてねぇ。同じ部署ではあるので挨拶位は交わしていたが。お互い環境が変わり忙しかったもののこんなに会っていないのはいつ以来だろうか。
「…会いてぇな…」
思わずボソリと呟いた丁度その時、静かな部屋にインターホンの音が一度だけ響いた。
アポ無しで来るとすれば…ハンジか?…いや、もしあいつならウゼェくらいに連打して鳴らしまくる。
誰だと思いながらモニターを見て思わず息を飲んだ。急いで玄関へ向かいドアを開けてやると、そこには今まさに会いたいと思っていた…ナマエがいた。
「いきなりごめんねー。何となくリヴァイとビールが飲みたいなーって思って、買ってきちゃった。」
そう言ってガサリとコンビニの袋を掲げて見せた。今俺が飲んでいたものと同じ銘柄が入っている。
…珍しい。そもそもこいつがうちに来るのはほとんどが俺が誘った時で、それに、連絡無しに来たことにも驚いた。
「よかったな。丁度俺も飲み始めたところだ。」
「ほんとに!?すごい!さすが私!すごいタイミングじゃん!」
何かがおかしい。元気すぎる。とは思ったもののひとまず部屋に招き入れた。
「作るのめんどくさいからおつまみもねーいっぱい買ってきたんだー。チー鱈でしょ、ミックスナッツでしょ、牛タンジャーキーでしょ…それから…」
「乾きもんばっかじゃねぇか。」
「はい、文句言う人にはあげませーん。」
「…わかったから牛タンをよこせ。」
そんな些細なやり取りをしながら乾杯をする。
しばらくは最近のお互いの仕事の話なんかをしながら飲んでいたが、やはり気になる。
「で、どうした。何かあったか?」
「…んー?なにがー?」
シラを切るつもりらしい。
「何がじゃねぇよ。行きなり来るわ妙にテンション高ぇわ。普段しねぇことばっかりしやがって。」
「べつにー?最近お互い忙しかったでしょ?あー、リヴァイと話してないなー、ビール飲みたいなーって思っただけだよ?」
そういってカシューナッツを口に放り込む。
こういう時のナマエは何を言っても無駄だ。この話はここまでだな。
「…この前お前が見たいっつってた映画。サブスクで配信されてた。」
「うそ!見よう!今すぐ!」
「…待ってろ。」
スマホからテレビにキャストで飛ばして再生してやる。便利な世の中になったもんだ。
それにしても、こいつはこういったジャンルが苦手なくせに何故かいつも見たがる。それは、公開時に社会現象にまでなった、人喰い巨人に追い詰められた人類が絶望しながらも生きるために戦い続けるという物語で。巨人が人を喰らうシーンがなかなかリアルで衝撃的な作品だ。主人公の少年の無謀さとがむしゃらさと…空気が読めない辺りが。つい最近チームに入ったクソガキにどことなく似ている部分があると感じたことは記憶に新しい。
さっきまでテレビに背を向けてローテーブルを挟んで向かい合わせに座っていたナマエは、見やすいようにとよじよじと四つん這いでこちらに移動してきた。隣に来るかと思えば、そのまま俺と後ろのソファの間に三角座りで収まる。怖いシーンが来たときに俺の背中で見えないようにする為らしい。
…だから苦手なくせに何で見たがるんだ。
断末魔や助けを請う叫び声がテレビから聞こえる度に、ビクッと反応したり息を飲む様子が伺える。これは…本人は楽しいのか?
俺のTシャツの背中は恐らく皺だらけなんだろう。固く握りしめられている。
─そんなナマエをしばらく放っておいたが、不意にナマエが後ろから腕を回して背中に抱きついてきた。別に今は怖ぇシーンではない。
「どうした。」
「………」
「今は誰も喰われてねぇぞ。」
「…うん。」
そう言いながらもさらに腕に力を入れる。背中に感じる温もりも強くなった。こいつ程度の力じゃ痛くもなんともねぇが、ビールが腹にたまっている今は少々苦しい。
それよりも、これは本格的に様子がおかしい。
「お前やっぱり何かあったんだろ。」
頭も背中にくっつけているようで、背中越しに首を振っているのが伝わる。
「会社で嫌なことでもあったか。」
「………」
また首を振る。
仕事で何かあったか?今日はクソガキと資料室に籠っていただけの筈だ。
「…馬にいじめられたか?」
「……ふっ」
「おい…心配してやってんのに笑ってんじゃねぇよ。」
「だって……ふふふっ」
背中でクスクスと笑いを溢している。
「ハァ。こっち向きやがれ。」
腕をほどき振り返って顔を見ようとしたが、今度はそのまま正面から抱きついてきた。こいつの匂いをこんなに近くで感じるのも随分ご無沙汰だ。
「……ナマエ。」
「ちょっとだけ。映画が怖かっただけだから。」
何がなんでも言わないつもりのようだ。
仕方ねぇ。
「それは一大事だ。一刻も早く巨人の事なんかは忘れちまうべきだな。」
右手で脇腹から腰、スカートの裾までをなぞりその手を中に滑り込ませる。左手は顎を持ち上げ顔を覗き込む。その瞳はゆらゆらと揺れていた。
「ちょ…なにす…」
「なんだ。せっかくのお誘いにお応えしようとしてるんだが。」
右手の動きは止めてやらない。
「ち…ちが………んぅ。」
うるせぇ口は塞ぐに限る。
「んんっ………まッ………リヴァ……まっ…………てっ……」
キスの合間に何とか抵抗を見せるナマエ。必死で俺の両肩を押し返そうとする。
そんな抵抗は無意味だ。こちらの準備は整ってしまった。
そのままその細い手首を掴み、背中を支えながらゆっくりとナマエを毛足の長いラグに沈める。
──諦めろ。
そう目で訴えながら。
「…お風呂…」
「どんだけ酒飲んだと思ってる。今入ったら確実に死ねる。」
「…メイク…」
「後で落としに行きゃあいい。」
やり取りの合間にもブラウスのボタンを順に外していく。
「巨人…」
「怖ぇつったのはどこのどいつだ。」
─もう黙っとけ。
そう言って首筋に顔を埋めて舌を這わせた。ナマエの香りが直接鼻に届く。下着の上からやわやわと胸の感触を楽しんでいると、段々とナマエの声にも甘さが混じり始める。
「やっ……リヴァ……イっ。
ここ…で………んっ。…するの…?」
上気した頬と少し潤んだ目で言うナマエの言葉を聞いた俺は、満足げにナマエを抱き上げ寝室へと足を向けたのだった。
その頃リビングの消し忘れたテレビからは、映画も佳境を迎えたのであろう、主人公の悲痛な絶叫がこれでもかと響いていた。
─翌朝俺は、結局メイクを落とすことができず寝落ちしてしまったナマエの、悲痛な絶叫で目を覚ますことになる。
今回新しいチームが発足され、それを俺が任される事となった。今後は自身がマネージャーとなり、自らが選抜したメンバーで新規開拓を担うことになる。メンバー選定から開拓先のリストアップ、それに伴う各部署との連携。上層部への報告。他にもやるべき事は山のようにあり、この一週間はとにかく怒涛のように過ぎていった。
この一週間の間、ナマエが居れば…と何度思った事か。あいつが居ればもっとスムーズに事が運んだだろうと思えばつい舌打ちが漏れる。前々から仕事でのあいつの働きに助けられていると解ってはいたが、離れたことでそれがどれだけ有りがたいことだったのかをそれはそれは実感させられたのだ。
今回のチーム発足であいつは、あの馬面小僧と一緒に俺が今まで担当していた所を引き継ぐことになった。最近メキメキと頭角を現してきているといっても、まだまだ若手だ。ナマエが付くのも当然の配置だろう。取引先にも顔が利き、小僧の教育担当をしていたあいつなら、今後もうまくやるだろう。それを理解はしていても納得できるかはまた別の話で。
「…クソが。」
──プシッ──
何の音もないリビングでプルタブを開ける軽やかな音だけが響いた。
そういえば最近あいつとまともに会話すらしてねぇ。同じ部署ではあるので挨拶位は交わしていたが。お互い環境が変わり忙しかったもののこんなに会っていないのはいつ以来だろうか。
「…会いてぇな…」
思わずボソリと呟いた丁度その時、静かな部屋にインターホンの音が一度だけ響いた。
アポ無しで来るとすれば…ハンジか?…いや、もしあいつならウゼェくらいに連打して鳴らしまくる。
誰だと思いながらモニターを見て思わず息を飲んだ。急いで玄関へ向かいドアを開けてやると、そこには今まさに会いたいと思っていた…ナマエがいた。
「いきなりごめんねー。何となくリヴァイとビールが飲みたいなーって思って、買ってきちゃった。」
そう言ってガサリとコンビニの袋を掲げて見せた。今俺が飲んでいたものと同じ銘柄が入っている。
…珍しい。そもそもこいつがうちに来るのはほとんどが俺が誘った時で、それに、連絡無しに来たことにも驚いた。
「よかったな。丁度俺も飲み始めたところだ。」
「ほんとに!?すごい!さすが私!すごいタイミングじゃん!」
何かがおかしい。元気すぎる。とは思ったもののひとまず部屋に招き入れた。
「作るのめんどくさいからおつまみもねーいっぱい買ってきたんだー。チー鱈でしょ、ミックスナッツでしょ、牛タンジャーキーでしょ…それから…」
「乾きもんばっかじゃねぇか。」
「はい、文句言う人にはあげませーん。」
「…わかったから牛タンをよこせ。」
そんな些細なやり取りをしながら乾杯をする。
しばらくは最近のお互いの仕事の話なんかをしながら飲んでいたが、やはり気になる。
「で、どうした。何かあったか?」
「…んー?なにがー?」
シラを切るつもりらしい。
「何がじゃねぇよ。行きなり来るわ妙にテンション高ぇわ。普段しねぇことばっかりしやがって。」
「べつにー?最近お互い忙しかったでしょ?あー、リヴァイと話してないなー、ビール飲みたいなーって思っただけだよ?」
そういってカシューナッツを口に放り込む。
こういう時のナマエは何を言っても無駄だ。この話はここまでだな。
「…この前お前が見たいっつってた映画。サブスクで配信されてた。」
「うそ!見よう!今すぐ!」
「…待ってろ。」
スマホからテレビにキャストで飛ばして再生してやる。便利な世の中になったもんだ。
それにしても、こいつはこういったジャンルが苦手なくせに何故かいつも見たがる。それは、公開時に社会現象にまでなった、人喰い巨人に追い詰められた人類が絶望しながらも生きるために戦い続けるという物語で。巨人が人を喰らうシーンがなかなかリアルで衝撃的な作品だ。主人公の少年の無謀さとがむしゃらさと…空気が読めない辺りが。つい最近チームに入ったクソガキにどことなく似ている部分があると感じたことは記憶に新しい。
さっきまでテレビに背を向けてローテーブルを挟んで向かい合わせに座っていたナマエは、見やすいようにとよじよじと四つん這いでこちらに移動してきた。隣に来るかと思えば、そのまま俺と後ろのソファの間に三角座りで収まる。怖いシーンが来たときに俺の背中で見えないようにする為らしい。
…だから苦手なくせに何で見たがるんだ。
断末魔や助けを請う叫び声がテレビから聞こえる度に、ビクッと反応したり息を飲む様子が伺える。これは…本人は楽しいのか?
俺のTシャツの背中は恐らく皺だらけなんだろう。固く握りしめられている。
─そんなナマエをしばらく放っておいたが、不意にナマエが後ろから腕を回して背中に抱きついてきた。別に今は怖ぇシーンではない。
「どうした。」
「………」
「今は誰も喰われてねぇぞ。」
「…うん。」
そう言いながらもさらに腕に力を入れる。背中に感じる温もりも強くなった。こいつ程度の力じゃ痛くもなんともねぇが、ビールが腹にたまっている今は少々苦しい。
それよりも、これは本格的に様子がおかしい。
「お前やっぱり何かあったんだろ。」
頭も背中にくっつけているようで、背中越しに首を振っているのが伝わる。
「会社で嫌なことでもあったか。」
「………」
また首を振る。
仕事で何かあったか?今日はクソガキと資料室に籠っていただけの筈だ。
「…馬にいじめられたか?」
「……ふっ」
「おい…心配してやってんのに笑ってんじゃねぇよ。」
「だって……ふふふっ」
背中でクスクスと笑いを溢している。
「ハァ。こっち向きやがれ。」
腕をほどき振り返って顔を見ようとしたが、今度はそのまま正面から抱きついてきた。こいつの匂いをこんなに近くで感じるのも随分ご無沙汰だ。
「……ナマエ。」
「ちょっとだけ。映画が怖かっただけだから。」
何がなんでも言わないつもりのようだ。
仕方ねぇ。
「それは一大事だ。一刻も早く巨人の事なんかは忘れちまうべきだな。」
右手で脇腹から腰、スカートの裾までをなぞりその手を中に滑り込ませる。左手は顎を持ち上げ顔を覗き込む。その瞳はゆらゆらと揺れていた。
「ちょ…なにす…」
「なんだ。せっかくのお誘いにお応えしようとしてるんだが。」
右手の動きは止めてやらない。
「ち…ちが………んぅ。」
うるせぇ口は塞ぐに限る。
「んんっ………まッ………リヴァ……まっ…………てっ……」
キスの合間に何とか抵抗を見せるナマエ。必死で俺の両肩を押し返そうとする。
そんな抵抗は無意味だ。こちらの準備は整ってしまった。
そのままその細い手首を掴み、背中を支えながらゆっくりとナマエを毛足の長いラグに沈める。
──諦めろ。
そう目で訴えながら。
「…お風呂…」
「どんだけ酒飲んだと思ってる。今入ったら確実に死ねる。」
「…メイク…」
「後で落としに行きゃあいい。」
やり取りの合間にもブラウスのボタンを順に外していく。
「巨人…」
「怖ぇつったのはどこのどいつだ。」
─もう黙っとけ。
そう言って首筋に顔を埋めて舌を這わせた。ナマエの香りが直接鼻に届く。下着の上からやわやわと胸の感触を楽しんでいると、段々とナマエの声にも甘さが混じり始める。
「やっ……リヴァ……イっ。
ここ…で………んっ。…するの…?」
上気した頬と少し潤んだ目で言うナマエの言葉を聞いた俺は、満足げにナマエを抱き上げ寝室へと足を向けたのだった。
その頃リビングの消し忘れたテレビからは、映画も佳境を迎えたのであろう、主人公の悲痛な絶叫がこれでもかと響いていた。
─翌朝俺は、結局メイクを落とすことができず寝落ちしてしまったナマエの、悲痛な絶叫で目を覚ますことになる。