夢と現実
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真っ黒な世界。
何もない其処に、ランスは佇んでいた。
湿っぽい匂いと遠くでとぎれとぎれに滴る水音。
まるで洞窟の中に居るような感覚だ。
「……」
僕は何故、ここにいる。
ここにやって来るまでの経緯を全く覚えていない。
ふと視界いっぱいに光が満ち、ランスは反射的に目をつむった。ゆっくりと目を開くと、其処は草原のような場所に変わっていた。
どうやらこれは、夢の中の出来事らしい。
心地良い爽やかな風が、草原をなぞるように吹き抜ける。
ランスはその草原の中に、隠れるようにしゃがみ込む少女を発見する。
「……誰」
ランスが言うと、彼女はピクンと反応して振り向く。
唖然とした。
「……僕……?」
振り向いた少女は、ランスと瓜二つの容姿をしていた。
彼女はニッと笑ってみせて、
「やぁ、純粋な僕」
そうランスを呼んでは立ち上がった。
「……で、君は誰?」
「ん~と、具体的に言えば"純粋じゃない君"かなぁ」
彼女もランス・フロートなのか。夢の中は自由だ。だから有り得ない事ではないだろう。
しかし彼女は自分とは違い、飄々とした態度で接してくる上に意味の分からない事ばかり言っている。
「"純粋じゃない"ってどういうこと? 君は僕と何が違う?」
「容姿も性格も実際は全く同じさ。だって君は僕で、僕は君なんだから。でもね、決定的に違う所が二つあるんだ」
「!」
一つの違いにはすぐさま気が付いていた。ランスと彼女では、黒眼帯の位置が逆なのである。
「一つはお分かりみたいで安心したよ。そう、この黒眼帯が真逆の位置にある事が一つ。そしてもう一つは──」
行って彼女は、黒眼帯を外す。
「充血してるの?」
「分かってるくせに、面白い戯言を言うね」