夢と現実
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本当は"それ"が充血ではない事くらい分かっていた。
彼女の瞳はランスとは違った、深紅色だった。
「君は、本当に僕なのか?」
「……僕はまだ多岐に渡る未来の中の君さ。高確率で君が渡る未来のね」
「高確率の未来?」
「"狂気"、と言えば理解出来るよね」
理解したのか、口を紡ぐランス。未来のランスはそのまま続ける。
「もうすぐ君は僕になる。僕が完全なる狂気に染まったランス・フロートなら、君はまだ三分の一程度の狂気レベルだ。まだまだ意識は保ててそうだからね」
真実かどうか疑わしかったが、未来のランスのその自信に満ちた口ぶりを聞く限り、嘘に聞こえなかった。
「いや、でも僕は染まらないから。君みたいに目、充血したくないし」
「無理だよ。またエリックに関わり始めたからには」
「クロード博士……?」
無意識に口がそう呟いた。ランス自身、エリック・クロードという男の存在は知っているものの、彼とどういう関係性があったのかまでは、現在の記憶に残っていなかった。
「ウルフ・オドネルを今の主人にするならば、彼が君の最初の主人になるね」
「それは君の主人でもある」
「まぁね~。でも彼の技術を借りて、いっそ狂気に染まっちゃったら楽だよ。過去も現在も、未来をも忘れられる」
未来のランスはずいとランスの顔の前まで寄って来て、
「今でも生きるのが辛いって、思ってるんでしょ?」
言って、とても妖しい笑顔を浮かべてみせた。