真実
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「……思ったより刺激があったよ」
言いながら、パンサーは苦しそうに腹部に手をあてている。というのも、先日の『パンサーの為にランスが料理を作る』約束を彼女が実行したのだ。
「不味いなら不味いって、はっきり言ってよ」
無表情でランスはパンサーに言った。
「そ、そんな事………………ごめん、不味かったです!」
聞いて、ランスは大きな溜息を吐く。
「これで、僕が料理当番のローテーションに無い理由が分かっただろう?」
「ランスの料理は一種の兵器だからな。そういう意味としては悪くねぇよ」
ウルフが何度も頷きながら、彼女の料理の評価をする。料理としてではなく、兵器としてだが。
実はパンサーがやって来る数年前、このサルガッソーコロニーに居る大半のメンバーにランスの料理を食べてさせた事があった。
しかし、後に全員が腹痛等の体調不良を訴えた。故に彼等は、彼女の作った料理を「兵器」と呼んでいる。
勿論、ウルフやレオンもその被害者である。
「失礼だなぁ! ちゃんとした食材使ってるっての!」
「全員が全員、体調不良になってしまう料理など毒という兵器でしか無いだろう?」
食卓から少し離れたソファに座るレオンがとどめを刺すように言って来た。
「ぬっ! うぐぐ……」
これ以上、返す言葉が思い付かなかった。相手がレオンなら尚更だ。
何故なら彼はランスと正反対──つまり、サルガッソーコロニーに住む全員が「一番美味い」と口を揃える程の料理上手だからだ。
そんな彼にも被害を及ぼした上に、一生懸命作った料理を「毒」呼ばわりされてしまっている時点で、ランスの料理は料理としては見られていないのだろう。
「ごめん。全部食べてあげたかったんだけど、あんなに不味いとは思っていなくて」
「キミも結構ヒドい事言う時あるよね」
ランスはキレたい気持ちを抑え、呟いた。
◇◆◇
笑ったり、怒ったり。
悔しがったり、恥ずかしがったり。
感情豊かな日々が、いつの間にか普通になっていた。
自分自身もすごく楽しいって感じていた。
それ故に、忘れてはいけない事を忘れていた。
それにさえ気が付かない、
愚かな僕。