Episode.1
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Episode.1 プロローグ
---*---*---
イヤホンからはお気に入りの曲が流れていた。
目の前には大きなディスプレイのメインコンピュータ。
そして50人くらいが入りそうな広い部屋にたった一人。
ランスは、このメインコンピュータルームの中央の椅子で音楽を聴くのが日課であった。
本日13曲目。一枚のアルバム分がようやく終わりそうな頃、突然耳に音楽が届かなくなった。
……電池切れ?
一瞬だけきょとんとしたが、すぐさま何が起きたのかは把握出来た。
イヤホンを取られたのだ。
「ったく。毎日此処でシャカシャカシャカシャカ、飽きねぇのか?」
ランスはまだメインコンピュータに映し出されたコロニー内の映像から目を離していない。が、その聞き慣れた声はわざわざ顔を見なくとも誰なのか判別出来た。
「リーダー……僕の至福のひとときを邪魔しないでよ」
──雇われ遊撃隊【スターウルフ】のリーダー、ウルフ・オドネル。
ランスのイヤホンを取った彼はそんな肩書きを持っている。
この恒星ライラット系宇宙でこの名を聞いた者は恐らく戦慄する事だろう。
何しろ彼は、悪党の中の悪党とも呼ばれる犯罪者なのだ。
それなのに彼の周りには彼を慕い信頼する仲間が集まり、今ではコロニーがいっぱいになる程の部下や仲間がいる。
ランスもそんな彼を信頼している一人なのだが、彼は彼で自由奔放に行動する彼女に手を焼いていた。
「てめぇ……今日はスターウルフに新入りが来るからコモンルームに居ろっつっただろ?」
「新入りなんて興味ない」
ランスは一度ウルフを見てはまたメインコンピュータのディスプレイに向き直る。
余程、興味が湧かない話なのだろう。
「御託は良いから行くぞ」
しかしウルフはランスの首根っこを無理矢理に掴んではメインコンピュータルームから出ようと椅子から引き剥がした。
「いや、いいって。興味ないって!」
必死の抵抗を見せるが、白栗鼠のランスと狼のウルフとでは圧倒的な力の差がある。端から見れば、今の状況はランスがただジタバタしているだけのようにしか見えない。
「強制連行だ。刃向かおうが何しようが連れてくぜ」
「リーダーのバカあぁぁぁ~っ!!!!」
ランスの叫びは虚しくコロニーに響き渡り、彼女はぐいぐいと引き摺られていくのであった。
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