・夢見る相手
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幼い頃、どこかで聞いた話。
お姫様は、いつか運命の王子様に出会える時が来るんだとか。
「まだそんなこと言ってるの?」
同室であり友人として、スズネにそう告げた。
いつものことではあるが、と呆れる。
『だって、子供の頃からの夢だし。』
そう。スズネは昔、とある書物で読んだ頃から王子様に憧れてしまっている。
『夢見るぐらいは許してくれてもいいじゃない。自分が姫じゃないっていうのわかってるんだしさ。』
「はいはい。」
今はこんなだけど、普段のスズネは違う。もっと落ち着いている、むしろクールなくらいだ。
本性を隠している訳じゃない。いわゆる【仕事とプライベートは別】というタイプで。
だからスズネのこんな一面を知っているのは同室の私ぐらいだろう。
でも、前は時々だったのに近頃はほぼ毎日この調子。
「ねぇ、最近何かあった?」
『ええっ!?な、何かって?』
うん、何かあったなこれは。
「わっかりやすいな~、隠さなくたっていいじゃん。私とあんたの仲だし。」
『そ、そうだよね。えっと。実は、ついに王子様に巡り合っちゃって。』
「は!?」
スズネの話はこうだ。
ある日、学園内を歩いていたら何かが頭に当たって気絶した。
目が覚めたら保健室に運び込まれていたのだけれど、運んでくれた人が誰なのかわからない。
でも保健室でしばらく休んでいたら、寝ている間に小さな花と一緒に謝罪の手紙が置かれていた。
『顔はわからないけど、紳士的で素敵な人だと思わない?』
「なるほど。そういえば保健室に行ってからだったねぇ、あんたが余計うるさくなったの。」
『酷い。そこまで言わなくたって。』
「冗談冗談!」
っていうか、王子様っていうのは【白馬の王子様】って意味じゃなかったのか。素敵な男性って意味だったのか。
『でね!看病してくれたのが伊作先輩なんだけど、今度その王子様と会わせてくれるんだって!!』
「え、そうなんだ。」
『どうしよう、ちゃんと話できるかな?』
「大丈夫だよ。スズネ、普段はきちっとできてるじゃん。頑張れ。」
『う、うん。私頑張る。』
応援はしてるけど、顔も性格もまともに知らない相手に恋するとは。
どうかスズネが恋した人が、本当に素敵な人でありますように。
あと、あわよくば結ばれることを願う。