落乱
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『浜くんがまた押入れで籠城しちゃってるって?』
「はい、そうなんです。スズネさん、どうにかしてくれませんか?」
浜くんが何度か籠城ごっこしているのは知っている。
だが、今回は本格的に閉じこもって出てこなくなってしまったらしい。
それで彼の幼馴染でもある私がいるときいて頼みにきたんだそうだ。
困っているかわいい後輩に頼まれては断れない。
『わかった。あとは私に任せておいて。』
私は一人で彼のいる部屋へと向かった。
そして、トントンとノックして中にいるかの確認をしておく。
『浜く~ん。いますかぁ?』
実は以前にも似たようなことがって、何度も呼びかけたのに実はもう外にでていたというオチをくらったことがあるのだ。
もう二度とあんな目にはあいたくない。
…これで返事なかったら帰るからね。
「え、スズネ!?」
反応があった。本人の声で間違いない。
よし、これで第一歩。
『もう出てきなよ。もう100年ぐらいは籠城できたじゃないの?』
「いやまだだ!俺はまだ耐えてみせる。」
相変わらず籠城のことになると頑固だなぁとため息をついた。
昔はそれで良かっただろうけど、君は今学生なんだよ?
『そうやってまた籠城してる間に、どんどん忍術の知識が時代遅れになっちゃうよ?それ埋めるために学園に来たんじゃなかったっけ。』
「うぐ・・・。」
『後輩くんが心配してたよ?私も心配してるんだから。』
籠城を堪能している浜くん自身は良いかもしれない。
実際、籠城ごっこの時間が延びて嬉しそうに語る彼は眩しいほどの笑顔だ。
だけどこちらとしてはいい迷惑である。
姿が見えなくなるから心配だし、会えなくて寂しいし。
いっつも一人で満足しちゃって。こっちのことなんか気にしてないなんて。
私もそろそろ怒っていいよね。
『籠城って何のためにやるものか、わかってる?敵がいるからやるんだよね?それって押入れから出そうとしてる人全員?私も?後輩くんも?』
「別に誰かを敵にしている訳では。」
『それに籠城するんだから、大事なものはちゃんと一緒に中にあるんだよね?』
「今回は、食料もばっちり確保済みだ。」
本気で長期戦やるつもりだったようだ。
…仕方ない。もう少し踏み込んでしまおう。
『大事なものって、それだけ?』
「他というと。」
『私は?』
「うぇ!?」
『私は大事なものじゃないんだ。』
想っていたよりも浜くんの慌てた声が聞こえてきた。
うん。言っといてなんだけど自分でも恥ずかしいこと言ってると思う。
拗ねていた、のかもしれないな。
『浜くんにとって、私はいらない存在だったんだね。』
「違うって!俺はただ。」
『だって浜くん、いつも一人で籠城しちゃうじゃない。外で私がどうなっても、いいんだよね?』
「そんなことない!」
ちょっと強めに言った言葉が効いたらしい。
押入れのふすまがガバッと開いた。
「スズネは俺にとって大事な存在なんだ!!」
浜くんが顔を出して必死そうにそう叫んだのを見て、思わず笑みがこぼれてしまった。
私はその笑顔のままもう一度、悪戯心で問いかけた。
『籠城よりも?』
「ろ、籠城よりもっ!!」
ちょっと言葉が詰まったのは、問いに驚いたからだと思ってあげることにした。
事実は、確認していないけれど。
さて、それから数日後のこと。
「なんでこうなってるの。」
浜くんに呼び出された私は今、彼に押し倒されている。
…押入れの中で。
『お、お前が、籠城は大事なものを確保してやれって言ってたから。』
彼に下心はなかったのだろう。
暗くてよく見えないが、今になって顔を真っ赤にしているのがわかる。
つまりあれか。籠城ごっこをするために私も一緒に押入れに入ればいいと思ったってことか。
そしたら狭くて、結果的にこんな体制になっていたのだと思う。
暗くて狭いのはまだいいけど。とんでもなく近い!
だけど、私を大事なものとして中に入れてくれたのがすごく嬉しかった。
「その、ごめん。これは想定外で。」
いたたまれない気持ちになったのだろう。
なんとか体制を変えようとしても上手くいかないので一旦外にでようとした。
『待った。』
ここまできたなら楽しもうじゃないか。
私は彼の手をつかんで引き寄せた。
『籠城、もう限界なの?』
現状を理解できずに混乱しているようだ。
ただ口をぱくぱくとあける彼を、もてあそぶかのように私はニヤリと笑ってそう言った。
今度は、いつまで耐えられるかな?
〆
--------
籠城ごっこ とか公式すごいなと思いました。
「はい、そうなんです。スズネさん、どうにかしてくれませんか?」
浜くんが何度か籠城ごっこしているのは知っている。
だが、今回は本格的に閉じこもって出てこなくなってしまったらしい。
それで彼の幼馴染でもある私がいるときいて頼みにきたんだそうだ。
困っているかわいい後輩に頼まれては断れない。
『わかった。あとは私に任せておいて。』
私は一人で彼のいる部屋へと向かった。
そして、トントンとノックして中にいるかの確認をしておく。
『浜く~ん。いますかぁ?』
実は以前にも似たようなことがって、何度も呼びかけたのに実はもう外にでていたというオチをくらったことがあるのだ。
もう二度とあんな目にはあいたくない。
…これで返事なかったら帰るからね。
「え、スズネ!?」
反応があった。本人の声で間違いない。
よし、これで第一歩。
『もう出てきなよ。もう100年ぐらいは籠城できたじゃないの?』
「いやまだだ!俺はまだ耐えてみせる。」
相変わらず籠城のことになると頑固だなぁとため息をついた。
昔はそれで良かっただろうけど、君は今学生なんだよ?
『そうやってまた籠城してる間に、どんどん忍術の知識が時代遅れになっちゃうよ?それ埋めるために学園に来たんじゃなかったっけ。』
「うぐ・・・。」
『後輩くんが心配してたよ?私も心配してるんだから。』
籠城を堪能している浜くん自身は良いかもしれない。
実際、籠城ごっこの時間が延びて嬉しそうに語る彼は眩しいほどの笑顔だ。
だけどこちらとしてはいい迷惑である。
姿が見えなくなるから心配だし、会えなくて寂しいし。
いっつも一人で満足しちゃって。こっちのことなんか気にしてないなんて。
私もそろそろ怒っていいよね。
『籠城って何のためにやるものか、わかってる?敵がいるからやるんだよね?それって押入れから出そうとしてる人全員?私も?後輩くんも?』
「別に誰かを敵にしている訳では。」
『それに籠城するんだから、大事なものはちゃんと一緒に中にあるんだよね?』
「今回は、食料もばっちり確保済みだ。」
本気で長期戦やるつもりだったようだ。
…仕方ない。もう少し踏み込んでしまおう。
『大事なものって、それだけ?』
「他というと。」
『私は?』
「うぇ!?」
『私は大事なものじゃないんだ。』
想っていたよりも浜くんの慌てた声が聞こえてきた。
うん。言っといてなんだけど自分でも恥ずかしいこと言ってると思う。
拗ねていた、のかもしれないな。
『浜くんにとって、私はいらない存在だったんだね。』
「違うって!俺はただ。」
『だって浜くん、いつも一人で籠城しちゃうじゃない。外で私がどうなっても、いいんだよね?』
「そんなことない!」
ちょっと強めに言った言葉が効いたらしい。
押入れのふすまがガバッと開いた。
「スズネは俺にとって大事な存在なんだ!!」
浜くんが顔を出して必死そうにそう叫んだのを見て、思わず笑みがこぼれてしまった。
私はその笑顔のままもう一度、悪戯心で問いかけた。
『籠城よりも?』
「ろ、籠城よりもっ!!」
ちょっと言葉が詰まったのは、問いに驚いたからだと思ってあげることにした。
事実は、確認していないけれど。
さて、それから数日後のこと。
「なんでこうなってるの。」
浜くんに呼び出された私は今、彼に押し倒されている。
…押入れの中で。
『お、お前が、籠城は大事なものを確保してやれって言ってたから。』
彼に下心はなかったのだろう。
暗くてよく見えないが、今になって顔を真っ赤にしているのがわかる。
つまりあれか。籠城ごっこをするために私も一緒に押入れに入ればいいと思ったってことか。
そしたら狭くて、結果的にこんな体制になっていたのだと思う。
暗くて狭いのはまだいいけど。とんでもなく近い!
だけど、私を大事なものとして中に入れてくれたのがすごく嬉しかった。
「その、ごめん。これは想定外で。」
いたたまれない気持ちになったのだろう。
なんとか体制を変えようとしても上手くいかないので一旦外にでようとした。
『待った。』
ここまできたなら楽しもうじゃないか。
私は彼の手をつかんで引き寄せた。
『籠城、もう限界なの?』
現状を理解できずに混乱しているようだ。
ただ口をぱくぱくとあける彼を、もてあそぶかのように私はニヤリと笑ってそう言った。
今度は、いつまで耐えられるかな?
〆
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籠城ごっこ とか公式すごいなと思いました。