・凍り豆腐
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「凍り豆腐って、高野豆腐のことですよね?」
『はい。』
「たしかに、ここなら豆腐を十分に凍らせることができるとは思いますけど。わざわざどうして。」
山を上り下りしたり、木に登ったりするほど体力のある子には思えない。
そこまでして、どうして凍り豆腐をここで作りたいと思うのか。
疑問に思う俺に向かって、彼女は目を輝かせて言った。
『そ、その。このあたりで、すごく寒い日に作った凍り豆腐がとても美味しいと聞いて・・・。』
とっても美味しい、凍り豆腐?
その言葉に惹かれて、俺はくいつくように聞いていた。
『これは祖母から聞いたおとぎ話、のような話なんですけど。』
彼女の話をよくよく聞いてみれば、たしかにおとぎ話のような話だった。
だから話すのを躊躇していたのかと、腑に落ちた。
『その話を聞いた頃から、祖母の言っていた凍り豆腐を作るのが私の夢なんです。』
「そうなんですかっ。」
『今年は特に冷え込んでいるじゃないですか!だから、もしかしたら今年こそ話に聞いていた夜がくるんじゃないかと思って。』
「あぁ。確かに、そうかもしれませんねぇ!」
『あっ・・・あの。おかしいとは、思わないんですか?』
「そんなことありません!むしろ、感動しました!!」
なんてすばらしい人なんだ!
美味しい凍り豆腐を作ることに、そこまで情熱を注いでいたなんて!
俺は、感激のあまりに彼女の手を握っていた。冷たいと感じたその手が温まるように、ひっしりと握りしめる。
「特別な凍り豆腐。ぜひとも、俺にも作るのを手伝わせてください!」
『え!?そ、そんな。ご迷惑をおかけする訳には!』
「迷惑だなんて、ちっとも思ってません!むしろ、積極的に参加したいです。お願いします!!」
戸惑う彼女に、俺は土下座をして頼み込んだ。
土下座はやめてほしいと懇願されて顔をあげたが、彼女はまだ迷っているようだった。
「俺、豆腐作ってるんです。豆腐を作ることへの情熱は他の豆腐屋にだって負けるつもりはありません!だから、俺もその凍り豆腐を作ってみたいんです!」
『そうだったんですか。でも、本当にいいんですか?成功するかもわからないのに。』
「いいんです!任せてください。」
俺の豆腐への想いが伝わったのだろう。
彼女は一息ついてから『じゃあ、お願いします。』と承諾してくれた。
「よっしゃあー!!」
喜びのあまりに、天に向けてガッツポーズを決める。
彼女もそんな俺を見て、楽しそうに笑っていた。
「一緒にとびきり美味しい凍り豆腐、作りましょうね!」
『はい。』
「俺、久々知兵助っていいます。あなたのお名前は?」
『え?えっと。スズネって、いいます。』
「ではスズネさん、特別な夜にまた、ここでお会いしましょう!」
そう約束をして、俺は彼女と別れた。
鉢屋「で?それから毎日豆腐作ってる訳だ。」
飽きれたような顔をして鉢屋がそうつぶやいた。
「なんだよ。文句あるのか?」
鉢屋「いーや。兵助の豆腐作りなんていつものことだし。でも、本当に信じてるのか?」
「信じるかどうかっていうより、スズネさんの話を聞いたらもう作りたいって気持ちが抑えきれなくて。」
あの日から毎日夜空を見上げてる俺を不審に思ったらしい。
同級生の皆にその訳を尋ねられた。
隠すことでもないので素直に話したのはいいが、予想通りの反応だ。
尾浜「そんな話、聞いたことないけど。」
不破「それより、兵助以外にそこまで豆腐作りに熱心な子がいるとは思わなかったよ。」
鉢屋「だよなぁ。」
それぞれが好き勝手にあーだこーだと話してくる。
どう思われてもかまうもんか。そう思いながらもう一度外を見る。
夜空一面に、輝く星が見えた。
「・・・もしかして。」
皆「「え?」」
「俺、行かなくちゃ!」
俺は、いつでも持っていけるようにと抱えていた豆腐を持って駆け出した。
竹谷「おい、待てよ!外出届けはどうするんだ!?」
尾浜「それなら、もう何かと理由つけて事前にもらってるみたい。」
鉢屋「ええ!?・・・さすが優等生。」
不破「それより、大丈夫なのかなぁ。夜中に女の子連れ出すなんて。」
あっ、と。全員の息が止まった。
『はい。』
「たしかに、ここなら豆腐を十分に凍らせることができるとは思いますけど。わざわざどうして。」
山を上り下りしたり、木に登ったりするほど体力のある子には思えない。
そこまでして、どうして凍り豆腐をここで作りたいと思うのか。
疑問に思う俺に向かって、彼女は目を輝かせて言った。
『そ、その。このあたりで、すごく寒い日に作った凍り豆腐がとても美味しいと聞いて・・・。』
とっても美味しい、凍り豆腐?
その言葉に惹かれて、俺はくいつくように聞いていた。
『これは祖母から聞いたおとぎ話、のような話なんですけど。』
彼女の話をよくよく聞いてみれば、たしかにおとぎ話のような話だった。
だから話すのを躊躇していたのかと、腑に落ちた。
『その話を聞いた頃から、祖母の言っていた凍り豆腐を作るのが私の夢なんです。』
「そうなんですかっ。」
『今年は特に冷え込んでいるじゃないですか!だから、もしかしたら今年こそ話に聞いていた夜がくるんじゃないかと思って。』
「あぁ。確かに、そうかもしれませんねぇ!」
『あっ・・・あの。おかしいとは、思わないんですか?』
「そんなことありません!むしろ、感動しました!!」
なんてすばらしい人なんだ!
美味しい凍り豆腐を作ることに、そこまで情熱を注いでいたなんて!
俺は、感激のあまりに彼女の手を握っていた。冷たいと感じたその手が温まるように、ひっしりと握りしめる。
「特別な凍り豆腐。ぜひとも、俺にも作るのを手伝わせてください!」
『え!?そ、そんな。ご迷惑をおかけする訳には!』
「迷惑だなんて、ちっとも思ってません!むしろ、積極的に参加したいです。お願いします!!」
戸惑う彼女に、俺は土下座をして頼み込んだ。
土下座はやめてほしいと懇願されて顔をあげたが、彼女はまだ迷っているようだった。
「俺、豆腐作ってるんです。豆腐を作ることへの情熱は他の豆腐屋にだって負けるつもりはありません!だから、俺もその凍り豆腐を作ってみたいんです!」
『そうだったんですか。でも、本当にいいんですか?成功するかもわからないのに。』
「いいんです!任せてください。」
俺の豆腐への想いが伝わったのだろう。
彼女は一息ついてから『じゃあ、お願いします。』と承諾してくれた。
「よっしゃあー!!」
喜びのあまりに、天に向けてガッツポーズを決める。
彼女もそんな俺を見て、楽しそうに笑っていた。
「一緒にとびきり美味しい凍り豆腐、作りましょうね!」
『はい。』
「俺、久々知兵助っていいます。あなたのお名前は?」
『え?えっと。スズネって、いいます。』
「ではスズネさん、特別な夜にまた、ここでお会いしましょう!」
そう約束をして、俺は彼女と別れた。
鉢屋「で?それから毎日豆腐作ってる訳だ。」
飽きれたような顔をして鉢屋がそうつぶやいた。
「なんだよ。文句あるのか?」
鉢屋「いーや。兵助の豆腐作りなんていつものことだし。でも、本当に信じてるのか?」
「信じるかどうかっていうより、スズネさんの話を聞いたらもう作りたいって気持ちが抑えきれなくて。」
あの日から毎日夜空を見上げてる俺を不審に思ったらしい。
同級生の皆にその訳を尋ねられた。
隠すことでもないので素直に話したのはいいが、予想通りの反応だ。
尾浜「そんな話、聞いたことないけど。」
不破「それより、兵助以外にそこまで豆腐作りに熱心な子がいるとは思わなかったよ。」
鉢屋「だよなぁ。」
それぞれが好き勝手にあーだこーだと話してくる。
どう思われてもかまうもんか。そう思いながらもう一度外を見る。
夜空一面に、輝く星が見えた。
「・・・もしかして。」
皆「「え?」」
「俺、行かなくちゃ!」
俺は、いつでも持っていけるようにと抱えていた豆腐を持って駆け出した。
竹谷「おい、待てよ!外出届けはどうするんだ!?」
尾浜「それなら、もう何かと理由つけて事前にもらってるみたい。」
鉢屋「ええ!?・・・さすが優等生。」
不破「それより、大丈夫なのかなぁ。夜中に女の子連れ出すなんて。」
あっ、と。全員の息が止まった。