・凍り豆腐
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俺はその日、不思議な出会いをした。
凍えるような寒さが続いていた冬の日のこと。
とある用事で高い山の山頂までやってきた俺は、木の上でどこかを眺めている彼女を見つけた。
こんな寒い日に女の子が一人で、木の上に登るだなんて。
危なそうだな、と思った瞬間。
『あっ。』
「危ないっ!」
気づいたときにはもう体は動き出していて。
木から落ちてきた彼女を俺はしっかりと受け止めていた。
「大丈夫ですか?」
『え?あ、ありがとうございます。』
その時、俺は初めて彼女の顔をはっきりと見た。
いたって普通の女の子のようだった。
まだ残っていたのだろう枯れた木の葉を頭にくっつけてしまっている。
だからなのか、草木のような懐かしい匂いがした気がした。
『本当に、ありがとうございました。』
抱きとめていた彼女をゆっくりと下ろすと、彼女は改めて礼を述べた。
最初は目をぱちくりとしていた彼女だったが、助けられたのだとわかってホッとしたのだろう。
とても穏やかな笑みを浮かべていた。
「あの、ところで一体何をしていたんですか?」
『いい感じの木を探していたんです。それで登って確かめてたら、そこから見た景色に気を取られてしまって。』
「木なんて、こんなところまで来なくてもあるじゃないですか。」
『駄目なんです!このあたりにある木じゃないと。』
「どうしてまた。」
そこまで聞くと、言いにくいことだったのか彼女は目をそらして口をつぐんでしまう。
「すいません。別に、言いたくなければ。」
『いえ、違うんです。ただ、その。くだらないって思われるようなことなので。』
「くだらない?」
気まずそうにしながらも彼女が切り出した言葉に、俺は衝撃を受けた。
『凍り豆腐を、作ろうと思って。』
凍えるような寒さが続いていた冬の日のこと。
とある用事で高い山の山頂までやってきた俺は、木の上でどこかを眺めている彼女を見つけた。
こんな寒い日に女の子が一人で、木の上に登るだなんて。
危なそうだな、と思った瞬間。
『あっ。』
「危ないっ!」
気づいたときにはもう体は動き出していて。
木から落ちてきた彼女を俺はしっかりと受け止めていた。
「大丈夫ですか?」
『え?あ、ありがとうございます。』
その時、俺は初めて彼女の顔をはっきりと見た。
いたって普通の女の子のようだった。
まだ残っていたのだろう枯れた木の葉を頭にくっつけてしまっている。
だからなのか、草木のような懐かしい匂いがした気がした。
『本当に、ありがとうございました。』
抱きとめていた彼女をゆっくりと下ろすと、彼女は改めて礼を述べた。
最初は目をぱちくりとしていた彼女だったが、助けられたのだとわかってホッとしたのだろう。
とても穏やかな笑みを浮かべていた。
「あの、ところで一体何をしていたんですか?」
『いい感じの木を探していたんです。それで登って確かめてたら、そこから見た景色に気を取られてしまって。』
「木なんて、こんなところまで来なくてもあるじゃないですか。」
『駄目なんです!このあたりにある木じゃないと。』
「どうしてまた。」
そこまで聞くと、言いにくいことだったのか彼女は目をそらして口をつぐんでしまう。
「すいません。別に、言いたくなければ。」
『いえ、違うんです。ただ、その。くだらないって思われるようなことなので。』
「くだらない?」
気まずそうにしながらも彼女が切り出した言葉に、俺は衝撃を受けた。
『凍り豆腐を、作ろうと思って。』
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