落乱
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伊作「またそんなに怪我してきたの?」
ウンザリした顔で、伊作は文次郎の怪我の具合を診た。
一方の文次郎は、この程度の怪我で大騒ぎしないでほしいとボヤきながら嫌々その診察を受けている始末である。
伊作「ねぇ、少しは休みなよ。近頃ろくに寝てもいないでしょ。」
潮江「くどいぞ伊作。この程度で倒れるような俺ではない。」
はぁ、とため息をついて。伊作は潮江を睨み付けた。
いつものこととはいえ、今回ばかりは見過ごせない理由がある。
伊作「もういい加減にしなよ!文次郎がそんなんだから、スズネの体もボロボロなんだよっ。」
潮江「スズネが?」
スズネというのは、潮江が最近親しくしている忍術学園くノ一生徒の一人である。
根は真面目で勉強熱心。
そんなところが気に入って、よく話すようになっていた。
伊作「ここのところ、毎日彼女と訓練してるんだよね?」
潮江「た、たしかにスズネと一緒に鍛錬することが増えたが。」
今では機会さえあれば互いに鍛え合っている。
一人でやるより、断然はかどるのだ。
伊作「文次郎の鍛錬に付き合うようになってから、怪我するようになってるじゃない。気づかなかった?」
気づかなかった、というよりは。
気にしたことがなかった。
何より重視していたのは鍛錬の成果で、どんどん動きのキレがよくなっていることに熱中していたのだ。
深夜になってもギンギンに特訓し続け。
限界まで己を鍛え上げる日々。
土まみれになったところで、それほど努力したのだという達成感に満たされてしまっていた。
日頃から多少の怪我や疲労は当然のものと思っていたし。
彼女に対しても、そんな心配したことはなかったのだ。
伊作「文次郎も、スズネも、頑張りすぎなんだよ、」
文次郎「・・・」
伊作「平気だと思ってても、体の方が先に耐えられなくなることもあるんだ。無理して、いざ任務中に倒れてからじゃ遅いんだよ?」
文次郎は眉をひそめて、ただ黙ってうつむいていた。
ーーー
『そう。伊作くんがそんなことを。』
「新野先生にも言われちまった。」
外の風にあたりながら、文次郎とスズネの二人は会話を交わす。
「お前の方は、調子はどうなんだ。」
『たしかに体調を崩したことはあったけど、休む訳にもいかなかったから。』
「そう、か。」
スズネの手首の擦り傷を見て、思わず手に取る。
「バカタレ、無理に付き合うこともなかっただろうに。」
『だって、追いつかないと置いてっちゃうじゃない。』
「何を言ってる。お前は十分すごいやつじゃないか。」
頑張り屋な彼女に惹かれた。
共に励みたいと思った。
幻滅されたくないと、願ってしまった。
誰にも甘えないのが当然だと考えてしまった。
その結果が、これだ。
彼女にも、そんな責任感を背負わせてしまっていたなんて。
「お前が休まないというのなら、無理矢理にでも休ませるからな。」
『そっか。なら、見張っててくれるかな。』
「何?」
『それなら二人とも、休めるでしょ。』
「まて、俺も休むのか!?」
『当然じゃない。』
「いや、しかしだな。」
鍛錬バカ、と呼ばれる潮江である。
やめろと言われてやめられるほど、彼にとってそれは容易なことではないのだが。
『考え方を変えればいいと思うよ。』
「変えるって、どうやってだ?」
『休む努力をするんだよ。』
体調を万全にする。
健康的に生きる。
それもまた、必要なことなのだから。
『これも鍛錬。私も一緒に手伝ってあげる。』
「はは、また二人でか。それも悪くない。」
そうして話がまとまったものの。
さて膝枕しようと言い出したことでまた一悶着起きる、そんな午後。
〆
ウンザリした顔で、伊作は文次郎の怪我の具合を診た。
一方の文次郎は、この程度の怪我で大騒ぎしないでほしいとボヤきながら嫌々その診察を受けている始末である。
伊作「ねぇ、少しは休みなよ。近頃ろくに寝てもいないでしょ。」
潮江「くどいぞ伊作。この程度で倒れるような俺ではない。」
はぁ、とため息をついて。伊作は潮江を睨み付けた。
いつものこととはいえ、今回ばかりは見過ごせない理由がある。
伊作「もういい加減にしなよ!文次郎がそんなんだから、スズネの体もボロボロなんだよっ。」
潮江「スズネが?」
スズネというのは、潮江が最近親しくしている忍術学園くノ一生徒の一人である。
根は真面目で勉強熱心。
そんなところが気に入って、よく話すようになっていた。
伊作「ここのところ、毎日彼女と訓練してるんだよね?」
潮江「た、たしかにスズネと一緒に鍛錬することが増えたが。」
今では機会さえあれば互いに鍛え合っている。
一人でやるより、断然はかどるのだ。
伊作「文次郎の鍛錬に付き合うようになってから、怪我するようになってるじゃない。気づかなかった?」
気づかなかった、というよりは。
気にしたことがなかった。
何より重視していたのは鍛錬の成果で、どんどん動きのキレがよくなっていることに熱中していたのだ。
深夜になってもギンギンに特訓し続け。
限界まで己を鍛え上げる日々。
土まみれになったところで、それほど努力したのだという達成感に満たされてしまっていた。
日頃から多少の怪我や疲労は当然のものと思っていたし。
彼女に対しても、そんな心配したことはなかったのだ。
伊作「文次郎も、スズネも、頑張りすぎなんだよ、」
文次郎「・・・」
伊作「平気だと思ってても、体の方が先に耐えられなくなることもあるんだ。無理して、いざ任務中に倒れてからじゃ遅いんだよ?」
文次郎は眉をひそめて、ただ黙ってうつむいていた。
ーーー
『そう。伊作くんがそんなことを。』
「新野先生にも言われちまった。」
外の風にあたりながら、文次郎とスズネの二人は会話を交わす。
「お前の方は、調子はどうなんだ。」
『たしかに体調を崩したことはあったけど、休む訳にもいかなかったから。』
「そう、か。」
スズネの手首の擦り傷を見て、思わず手に取る。
「バカタレ、無理に付き合うこともなかっただろうに。」
『だって、追いつかないと置いてっちゃうじゃない。』
「何を言ってる。お前は十分すごいやつじゃないか。」
頑張り屋な彼女に惹かれた。
共に励みたいと思った。
幻滅されたくないと、願ってしまった。
誰にも甘えないのが当然だと考えてしまった。
その結果が、これだ。
彼女にも、そんな責任感を背負わせてしまっていたなんて。
「お前が休まないというのなら、無理矢理にでも休ませるからな。」
『そっか。なら、見張っててくれるかな。』
「何?」
『それなら二人とも、休めるでしょ。』
「まて、俺も休むのか!?」
『当然じゃない。』
「いや、しかしだな。」
鍛錬バカ、と呼ばれる潮江である。
やめろと言われてやめられるほど、彼にとってそれは容易なことではないのだが。
『考え方を変えればいいと思うよ。』
「変えるって、どうやってだ?」
『休む努力をするんだよ。』
体調を万全にする。
健康的に生きる。
それもまた、必要なことなのだから。
『これも鍛錬。私も一緒に手伝ってあげる。』
「はは、また二人でか。それも悪くない。」
そうして話がまとまったものの。
さて膝枕しようと言い出したことでまた一悶着起きる、そんな午後。
〆