落乱
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七松小平太は私の恋人。
細かいことは気にしないところも、豪快なところも彼の魅力。
とは、思っているのだけれど。
『ふぅ。』
残念に思いながらも、諦めたように溜息をついていた。
『せっかく綺麗にしてもらったのになぁ。』
今日は特別にタカ丸さんにセットしてもらった髪で出かけるところだった。
それなのに七松小平太というやつは「いつもと変わらず可愛らしいな」と頭をクシャクシャに撫でまわしていったのだ。
外出前だというのに、髪が乱れてしまったではないか。
褒めてくれるのは嬉しいけれど、少しは髪のことを気にしてほしかったな、と思ってしまう。
まぁ、そういう人だとは知ってたけど。
細かいことは気にするな。が口癖の彼のことである。
髪をちょっと切ったとしても、香を変えても、いつもと違うオシャレをしても。
きっと、まったく気にもとめないことだろう。
期待することが間違っている。
とはいえ。
他の皆は、タカ丸さんに結ってもらったんだってすぐにわかって話しかけてきたというのに。
気にしてもらえなかったのは、ねぇ?
『わかってても、やっぱり寂しいかも。』
考えても仕方がない。細かいことだ気にするなと、気を切り替えて外へ出た。
美味しそうな甘味があったので、お土産に買って学園に戻る。
その時間を見計らっていたのだろうか。
帰って早速その恋人に出迎えられた。
「スズネー!!待ってたぞー!!」
『わわっ、ビックリした。急に抱きつかないでって言ってるでしょ。』
「すまんすまんっ。」
反省してるんだか、してないんだか。
けれど私を見て嬉しそうにする笑顔が憎めない。
なんにせよ、お土産を渡しにいく手間が省けた。
『はい、これお土産。』
「買ってきてくれたのか!?ありがとうなスズネ!大好きだぞ!!」
そう言って、再びギュッと抱きしめた。
だからやめてと言ってるでしょうに。
「そうだ、お前に謝らないといけないんだった。」
『何を?』
「出かける前、お前の髪をグシャグシャにしてしまっただろ?結ってもらってたのに。」
『え、気づいてたんだ。』
「当たり前だ。」
『だって、いつも言ってるじゃない。細かいことは気にするなって。今までどんなオシャレしても何も言ったこと無かったし。だから気にしてないのかと。』
「スズネに関することが、細かいことな訳ないだろう。」
恋人なんだぞ、と顔に手を当ててきた。
「他の奴に結われたのかと思うと、ムカムカしてな。それでつい、髪を。」
『あれ、わざとだったんだ。気づいて無いからやったのかと思ってたのに。』
「たしかに、普段はあまり気にしてはいないぞ。だってお前は何をしたってかわいいし。」
『え、え?』
「どんな姿でも、私の愛しい恋人であることは変わらないからな!」
そんな風に思っていたなんて。
ほんとにもう、私の恋人という奴は。
もっと早く言ってくれれば良かったのに。
『なんだ、ちゃんと見てくれてたんだ。』
「もちろんだ!その髪だってよく見てるぞ。左側、少し短めに切ってあるだろ。」
『そんなことまでわかっちゃうんだ!』
「おう!」
『実は忍たまの練習してた手裏剣が飛んできちゃって、それを見かねてタカ』「待て。」
ゾワリ、と。
空気の変わる音がした。
「その髪、忍たまが切ったのか?」
『え?う、うん。だからタカ丸さんが切り揃えてくれて。』
「誰だ。」
あれ?いつもの七松くんじゃない。
『気にしないでいいよ?怪我してないし、当たって無いし。』
「でも髪が」
『ちょっぴりだからっ。私気にしてないから。』
「私が気にする。」
うん、ごめん。
私とんだ思い違いをしてた。改めてそう思う。
誰とも言ってないのに、彼は苦無を持って駆け出していた。
あっちゃ~とは思いながらも、諦めたように再び溜息をつく。
今度は、良い意味でのため息だ。
私は、慌てて追いかける。
その恋人の背中に向かって、私は思わず笑顔で叫んでいた。
『もう、大げさなんだからっ!』
それは、この先言うことなど無いだろうと思っていた言葉だったのに。
〆
細かいことは気にしないところも、豪快なところも彼の魅力。
とは、思っているのだけれど。
『ふぅ。』
残念に思いながらも、諦めたように溜息をついていた。
『せっかく綺麗にしてもらったのになぁ。』
今日は特別にタカ丸さんにセットしてもらった髪で出かけるところだった。
それなのに七松小平太というやつは「いつもと変わらず可愛らしいな」と頭をクシャクシャに撫でまわしていったのだ。
外出前だというのに、髪が乱れてしまったではないか。
褒めてくれるのは嬉しいけれど、少しは髪のことを気にしてほしかったな、と思ってしまう。
まぁ、そういう人だとは知ってたけど。
細かいことは気にするな。が口癖の彼のことである。
髪をちょっと切ったとしても、香を変えても、いつもと違うオシャレをしても。
きっと、まったく気にもとめないことだろう。
期待することが間違っている。
とはいえ。
他の皆は、タカ丸さんに結ってもらったんだってすぐにわかって話しかけてきたというのに。
気にしてもらえなかったのは、ねぇ?
『わかってても、やっぱり寂しいかも。』
考えても仕方がない。細かいことだ気にするなと、気を切り替えて外へ出た。
美味しそうな甘味があったので、お土産に買って学園に戻る。
その時間を見計らっていたのだろうか。
帰って早速その恋人に出迎えられた。
「スズネー!!待ってたぞー!!」
『わわっ、ビックリした。急に抱きつかないでって言ってるでしょ。』
「すまんすまんっ。」
反省してるんだか、してないんだか。
けれど私を見て嬉しそうにする笑顔が憎めない。
なんにせよ、お土産を渡しにいく手間が省けた。
『はい、これお土産。』
「買ってきてくれたのか!?ありがとうなスズネ!大好きだぞ!!」
そう言って、再びギュッと抱きしめた。
だからやめてと言ってるでしょうに。
「そうだ、お前に謝らないといけないんだった。」
『何を?』
「出かける前、お前の髪をグシャグシャにしてしまっただろ?結ってもらってたのに。」
『え、気づいてたんだ。』
「当たり前だ。」
『だって、いつも言ってるじゃない。細かいことは気にするなって。今までどんなオシャレしても何も言ったこと無かったし。だから気にしてないのかと。』
「スズネに関することが、細かいことな訳ないだろう。」
恋人なんだぞ、と顔に手を当ててきた。
「他の奴に結われたのかと思うと、ムカムカしてな。それでつい、髪を。」
『あれ、わざとだったんだ。気づいて無いからやったのかと思ってたのに。』
「たしかに、普段はあまり気にしてはいないぞ。だってお前は何をしたってかわいいし。」
『え、え?』
「どんな姿でも、私の愛しい恋人であることは変わらないからな!」
そんな風に思っていたなんて。
ほんとにもう、私の恋人という奴は。
もっと早く言ってくれれば良かったのに。
『なんだ、ちゃんと見てくれてたんだ。』
「もちろんだ!その髪だってよく見てるぞ。左側、少し短めに切ってあるだろ。」
『そんなことまでわかっちゃうんだ!』
「おう!」
『実は忍たまの練習してた手裏剣が飛んできちゃって、それを見かねてタカ』「待て。」
ゾワリ、と。
空気の変わる音がした。
「その髪、忍たまが切ったのか?」
『え?う、うん。だからタカ丸さんが切り揃えてくれて。』
「誰だ。」
あれ?いつもの七松くんじゃない。
『気にしないでいいよ?怪我してないし、当たって無いし。』
「でも髪が」
『ちょっぴりだからっ。私気にしてないから。』
「私が気にする。」
うん、ごめん。
私とんだ思い違いをしてた。改めてそう思う。
誰とも言ってないのに、彼は苦無を持って駆け出していた。
あっちゃ~とは思いながらも、諦めたように再び溜息をつく。
今度は、良い意味でのため息だ。
私は、慌てて追いかける。
その恋人の背中に向かって、私は思わず笑顔で叫んでいた。
『もう、大げさなんだからっ!』
それは、この先言うことなど無いだろうと思っていた言葉だったのに。
〆