落乱
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「あぁ...この温もりが愛おしい。」
スズネに体を預けて、おもいっきり酔いしれる。
だらしがない、と叱られるかもしれないが仕方がないじゃないか。
こちらはお預けを食らっていたのだから。
...時は遡って数日前のこと。
やけに良い香りがするな、と出向いた先にスズネがいた。
とある事情で、お洒落のために香をたいていたらしい。
着ている衣装も美しくて、人目をひくにはピッタリのお嬢様に仕上がっていた。
「綺麗だね。蝶のように誘われてしまったよ。」
なんて余裕でいられたのは最初だけ。
山本からの忠告で夢から覚めた。
「香りが移らないように、あまり近づかないでくださいね。」
うん、まぁそうなんだけど。
忍んでる時に香りで場所がバレちゃうなんてことは駄目なんだけど。
改めて言われると、もどかしくなった。
意識しちゃうというか。
こんなに可愛くお洒落したスズネに触れない、近づけない。なんてことが起こるだなんて。
そんなことってある!?こんなにかわいいのに!!
そんなショックを心のうちに秘め、我慢し続けてやっと今日。
スズネとの触れあいが再開できたのだ。
ほんと、褒めて。撫でてもいいよ。
『もっと長い間、会わなかったこともあるじゃないですか。』
「見えているのに触れないというのが苦痛なんだよ。」
めかしこんでいるのがまた愛らしかったし。
香りも何気に、私好みだったからキツかった。
彼女の香りがするたびに、何度心が揺さぶられたことか。
忍者としての無臭を心がけていたスズネとの関係では、ありえなかったことだった。
「残り香でさえ堪能できなかったんだ。これぐらいは許してくれないか。」
これほどまでに強めのお香は、近づいたらただでは済まない。
彼女に触れた不届きものは、まんまと仕掛けにかかったことだろう。
「まったく、憎らしい香りだ。」
この香りのせいで触れあえなかった。
スズネに満たされている今でさえ、彼女本来の香りを見つけるのを阻害されている。
あとでしっかり洗い落とさなくては。
『憎らしいという割には楽しんでませんか?』
「一応、好きだからねぇ。」
香りも、君のことも。
ーー
「…こんな年して、大人げない私に幻滅するかい?」
膝に頭をのせて、彼女を見上げたまま呟いた。
スズネといると、子供のように甘えてしまいたくなる。
こんなところ、誰かに見せられるだろうか。
『組頭ともあろうお御方が、三病にでも取りつかれたんですか?』
そんな私の頭に、スズネはそっと手をそえた。
『私の愛を侮らないでくださいよ。』
彼女の香りに包まれるなかで。
『嫌いになんてなりませんから、恐れることはないんです。』
そのまま優しく撫でられる。
『考えすぎなんですよ。』
そうか。
もっと単純なことだったのか。
「じゃあ、少しは素直になろうかな。」
君が笑ってくれるなら、それでいい。
〆