落乱
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『組頭っ!今の見てくださいました!?』
「見てたよ、もうすっかり手裏剣も上達したじゃないか。」
『組頭がそう言ってくれると嬉しいです。』
「私も、スズネがどんどん成長していくのが嬉しくてたまらないよ。」
私がそう言えばスズネは誰よりも一番の笑顔を私に向けてくれる。
その笑顔がなんとも言えないぐらいに愛しい。
スズネといるだけで、こんなにも癒されるのだから、つい仕事をほっぽらかしてしまいそうになる。
そのたび部下が嘆くが、私は気にしない。
「本当にスズネはかわいいなぁ。」
「組頭。いい加減、スズネと会うのはもう少し控えてください。我々がしっかり面倒を見ていますから。」
「私にスズネを構うなと言うのか、それは無理だ。こんなにかわいいスズネを放って置くなんて事できる訳がないだろう。」
『雑渡様、そう言ってくださるのは嬉しいですけど、仕事もしっかりしないと駄目ですよ。』
「スズネがそう言うなら仕方が無いな。」
名残惜しいが、しばらく抱きしめていたスズネを手放す。
ずっと私の手元に置いておけたらどれだけいいか。
早く成長して、私とのそばについていて欲しい。
「組頭、やけにスズネに構っていませんか?」
「私とスズネは結婚の約束をした仲だ。これぐらい当然じゃないか。」
「はい!?」
「なぁ、スズネ。」
『はい、そのとおりです。』
尊奈門はあきらかに苦い顔をしてきた。
子供に何を吹き込んでいる、とでも思っているんだろう。失礼な奴だ。
私と同様に、スズネも私のことを愛してくれているというのに。
「今度来る時は、またあの菓子を持ってくるよ。」
『わぁ!嬉しいです。』
「またあの高級菓子を買うつもりですか!?」
「スズネのお気に入りだからな。」
「お言葉ですが、組頭はスズネを少々甘やかしすぎです。」
「何を言っているんだ尊奈門。」
甘やかしすぎているから何だというんだ。
私がそういう点において考えが及んでいないと?配慮を欠いていると?
だから構い過ぎるなとでも言っているのか。
好きなら相手のことも考えて厳しくしろと?
そんなんだからお前は未熟なんだ。
「好きだからこそ、だよ。」
愛を示すのは当然だろう?
『私も大好きです雑渡様!』
「うん、私も愛しているよ。スズネ。」
〆
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世の中にはあえて冷たい愛情表現も多いですが、どれだけ相手を思っていても示せていないのならば、それは愛せていないということだと思うのです。
愛でる、という言葉に【愛】があるように。