落乱
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山に薬草を探しに来た保健委員会だったが、伊作とスズネと乱太郎は悪巧みしているドクタケと鉢合わせしてしまう。
どうにか一年生の乱太郎に忍術学園へドクタケの企みを伝えてもらえるように頼み、逃がすことには成功したのだが・・・。
「スズネちゃん、大丈夫?」
『だ、大丈夫。』
ドクタケをひきつけて逃げている途中、一緒に手伝いに来てくれたスズネが伊作をかばって怪我を負ってしまっていた。
それも、打ちどころが悪かったようでどうにも動きが鈍い。
「(保健委員の僕が、彼女に怪我を負わせてしまうだなんて。)」
だが、後悔している暇はない。
伊作はなんとかスズネを連れて乱太郎と別れた場所から離れたところまでたどり着いた。
怪我をして満足に動けない彼女のために、伊作はドクタケ忍軍に一人で立ち向かう。
「僕が相手だ!彼女に、手出しはさせない!!」
『伊作くん!一人じゃ無理だよ、私も戦うから。』
「心配しないで、スズネちゃんは下がってて。・・・さぁ、来い!」
彼女を早く手当しなければ。
怪我をさせてしまった責任を取らなければ。
いくつもの想いが彼の中を駆け巡っていたが、彼には一番強い決意があった。
「(彼女は、僕が絶対守るんだ!)」
奮闘するも苦戦をしいられていた伊作だったが、そこへついに救援が現れる。
「大丈夫か?伊作、スズネ。」
「留三郎っ!」
『留三郎くん!』
思っていたよりも早く来てくれた救援に、歓喜する二人。
食満留三郎は二人に笑顔を向けたものの、彼らの怪我を見逃さなかった。
怒りのオーラをまといながら、ドクタケ忍者に向き直る。
「お前ら・・・こいつに近づくとどうなるか、わかってんのかぁあ!?」
怒りを剥き出しにして、彼はドクタケにとびかかった。
ーー
さて、しばらくしてからのこと。
三人はなんとかドクタケ忍者を全員たたきのめすことに成功した。
最期は大きな木につぶされそうになったが、食満のおかげで伊作もスズネも助かった。
『留三郎くん、すごい。ありがとう』
「すまない、留三郎。僕らのために駆けつけてくれて。」
さて、その後これまでのいきさつについて話していたのだが、どうやら既に学園はドクタケの悪巧みを阻止するために動いていたらしい。
自分の努力が無意味だったと知って、伊作は号泣する。
「不運だぁ~!」
「そんなに嘆くなよ、伊作。」
『そうだよ。薬草は見つかったし、乱太郎くんも無事に逃がすことができたんだから。』
「で、でも、僕のせいで君は怪我を。僕が連れて来なければ、こんなことには。」
『でも、一生懸命守ってくれたじゃない。だから気にしないで、また誘ってね。』
助けてくれて本当にありがとう、と手を取ってほほ笑む彼女に、伊作は再び涙をあふれさせながら感動していた。
「(こんな僕と、一緒にいてくれるなんて!)」
いつの間にか伊作が彼女に見惚れているとは知らずに、食満は二人を微笑ましく見ていたが、はっと我に返った。
「そうだスズネ!お前、怪我は大丈夫なのか!?どこかやられたんだろ?」
『あ、いや。これは不注意というか。』
どうやらドクタケにやられたものだと思っていたらしい。
伊作を守ろうとして負った怪我だとは言いにくくてスズネは口ごもる。
「すまない!俺が、俺がもっと早く駆けつけていれば!」
食満は勢いよく抱きしめた。
スズネは突然の抱擁に驚いたが、なにせ負傷している体だったので痛みが走った。
「良かった。無事で、本当に良かった!」
『いっ痛たた!!』
「うわ!わ、悪い!大丈夫か!?」
『う、うん。』
「お前、無理するなよ。今すごく痛がってたじゃないか。」
スズネの声を聞いて、食満は思わず抱きしめてしまったことに気づいて慌てて離れた。
が、そのおかげもあって彼女がだいぶ無理をしていることがわかった。
そんな彼女を見て伊作も急いで薬草を準備することにする。
「とにかく、急いで忍術学園に戻って先生に診てもらおう。ね?」
『わ、わかりました。』
「じゃあ、俺が運んでく。」
『え、ちょっと留三郎くん!?』
まさかお姫様抱っこされるとは思っていなかったので、スズネは慌てる。
が、食満はしっかりと抱えてしまっており、負傷した体では抜け出せなかった。
「大人しくしてろ。俺のことは気にするな。お前一人運ぶのなんて、楽勝だ。」
笑顔でそう言われてしまい、スズネは照れくさかったが仕方なく承諾した。
一部始終を見ていた伊作は、少しうらやましく感じながらも、怪我をしたスズネのことを心配していた。
ちなみに、帰宅途中での出来事。
『それにしても、さっきは本当にかっこよかったよ。二人とも。特に、留三郎君の言葉が印象的だったなぁ。』
「ん?なんのことだ。」
『すごく怒りながら言ってくれたじゃない。「こいつに近づいたら」ーって。」』
あ。と二人は先ほどのことを思い返す。
たしかに言っていた。こいつに近づいたらどうなるかわかっているのか、と。
「そ、それはだな。その。」
お姫様だっこされているスズネよりも顔を赤くしてどもる食満に、スズネは言葉を続ける。
『本当に、二人って仲がいいんだね。』
「「へ?」」
『あんなに怒ってくれる友達がいるのってうらやましいな。』
「(鈍感、なんだな。)」
ため息をついたところで、ようやく忍術学園前にたどり着いたのだった。
〆
どうにか一年生の乱太郎に忍術学園へドクタケの企みを伝えてもらえるように頼み、逃がすことには成功したのだが・・・。
「スズネちゃん、大丈夫?」
『だ、大丈夫。』
ドクタケをひきつけて逃げている途中、一緒に手伝いに来てくれたスズネが伊作をかばって怪我を負ってしまっていた。
それも、打ちどころが悪かったようでどうにも動きが鈍い。
「(保健委員の僕が、彼女に怪我を負わせてしまうだなんて。)」
だが、後悔している暇はない。
伊作はなんとかスズネを連れて乱太郎と別れた場所から離れたところまでたどり着いた。
怪我をして満足に動けない彼女のために、伊作はドクタケ忍軍に一人で立ち向かう。
「僕が相手だ!彼女に、手出しはさせない!!」
『伊作くん!一人じゃ無理だよ、私も戦うから。』
「心配しないで、スズネちゃんは下がってて。・・・さぁ、来い!」
彼女を早く手当しなければ。
怪我をさせてしまった責任を取らなければ。
いくつもの想いが彼の中を駆け巡っていたが、彼には一番強い決意があった。
「(彼女は、僕が絶対守るんだ!)」
奮闘するも苦戦をしいられていた伊作だったが、そこへついに救援が現れる。
「大丈夫か?伊作、スズネ。」
「留三郎っ!」
『留三郎くん!』
思っていたよりも早く来てくれた救援に、歓喜する二人。
食満留三郎は二人に笑顔を向けたものの、彼らの怪我を見逃さなかった。
怒りのオーラをまといながら、ドクタケ忍者に向き直る。
「お前ら・・・こいつに近づくとどうなるか、わかってんのかぁあ!?」
怒りを剥き出しにして、彼はドクタケにとびかかった。
ーー
さて、しばらくしてからのこと。
三人はなんとかドクタケ忍者を全員たたきのめすことに成功した。
最期は大きな木につぶされそうになったが、食満のおかげで伊作もスズネも助かった。
『留三郎くん、すごい。ありがとう』
「すまない、留三郎。僕らのために駆けつけてくれて。」
さて、その後これまでのいきさつについて話していたのだが、どうやら既に学園はドクタケの悪巧みを阻止するために動いていたらしい。
自分の努力が無意味だったと知って、伊作は号泣する。
「不運だぁ~!」
「そんなに嘆くなよ、伊作。」
『そうだよ。薬草は見つかったし、乱太郎くんも無事に逃がすことができたんだから。』
「で、でも、僕のせいで君は怪我を。僕が連れて来なければ、こんなことには。」
『でも、一生懸命守ってくれたじゃない。だから気にしないで、また誘ってね。』
助けてくれて本当にありがとう、と手を取ってほほ笑む彼女に、伊作は再び涙をあふれさせながら感動していた。
「(こんな僕と、一緒にいてくれるなんて!)」
いつの間にか伊作が彼女に見惚れているとは知らずに、食満は二人を微笑ましく見ていたが、はっと我に返った。
「そうだスズネ!お前、怪我は大丈夫なのか!?どこかやられたんだろ?」
『あ、いや。これは不注意というか。』
どうやらドクタケにやられたものだと思っていたらしい。
伊作を守ろうとして負った怪我だとは言いにくくてスズネは口ごもる。
「すまない!俺が、俺がもっと早く駆けつけていれば!」
食満は勢いよく抱きしめた。
スズネは突然の抱擁に驚いたが、なにせ負傷している体だったので痛みが走った。
「良かった。無事で、本当に良かった!」
『いっ痛たた!!』
「うわ!わ、悪い!大丈夫か!?」
『う、うん。』
「お前、無理するなよ。今すごく痛がってたじゃないか。」
スズネの声を聞いて、食満は思わず抱きしめてしまったことに気づいて慌てて離れた。
が、そのおかげもあって彼女がだいぶ無理をしていることがわかった。
そんな彼女を見て伊作も急いで薬草を準備することにする。
「とにかく、急いで忍術学園に戻って先生に診てもらおう。ね?」
『わ、わかりました。』
「じゃあ、俺が運んでく。」
『え、ちょっと留三郎くん!?』
まさかお姫様抱っこされるとは思っていなかったので、スズネは慌てる。
が、食満はしっかりと抱えてしまっており、負傷した体では抜け出せなかった。
「大人しくしてろ。俺のことは気にするな。お前一人運ぶのなんて、楽勝だ。」
笑顔でそう言われてしまい、スズネは照れくさかったが仕方なく承諾した。
一部始終を見ていた伊作は、少しうらやましく感じながらも、怪我をしたスズネのことを心配していた。
ちなみに、帰宅途中での出来事。
『それにしても、さっきは本当にかっこよかったよ。二人とも。特に、留三郎君の言葉が印象的だったなぁ。』
「ん?なんのことだ。」
『すごく怒りながら言ってくれたじゃない。「こいつに近づいたら」ーって。」』
あ。と二人は先ほどのことを思い返す。
たしかに言っていた。こいつに近づいたらどうなるかわかっているのか、と。
「そ、それはだな。その。」
お姫様だっこされているスズネよりも顔を赤くしてどもる食満に、スズネは言葉を続ける。
『本当に、二人って仲がいいんだね。』
「「へ?」」
『あんなに怒ってくれる友達がいるのってうらやましいな。』
「(鈍感、なんだな。)」
ため息をついたところで、ようやく忍術学園前にたどり着いたのだった。
〆