落乱
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授業が終わってからのこと。
食満はソワソワしながら忍術学園の方を眺めていた。
潮江「あいつ、何してやがんだ。」
偶然それを目にした潮江は、いぶかしげに食満を見る。
何かと正門の方を気にしているようだが、誰か来るのを待っているのだろうか。
「あっ。」
待ちかねていた相手が来たようで、パァっと笑顔を咲かせる。
駆け出した向こうには、正門でサインを描いている女性が立っていた。
『食満くん!久しぶり。』
「お、お久しぶりですっ!スズネさん!!」
食満は目をキラキラと輝かせながら、姿勢を正した。
あんな表情をするとは珍しい、と潮江は驚愕する。
一体彼女は何者なのか。
『どれどれ?体はなまってないみたいだね。前より筋肉もついてきたみたい。』
「ほ、本当ですか?!俺、強くなりましたかね?」
『さぁ。実際に手合わせしてみないと。』
「そ、それなら早速相手してください!あと、任務についてもまたいろいろと話を聞いていいですか!?」
『わかってるって。詳しくは言えないけど。』
話の内容が気になって、潮江はその場に飛び出した。
先ほどの会話内容からして、くノ一だろうということは予想できたが、食満の様子がどうも気にかかったのだ。
「何だその女性は」と問い詰めてはみたものの「お前は関係ないだろ」とつっぱねられてしまう。
だが彼女は落ち着いた態度で、礼儀正しく対応してきた。
『私の名前はスズネです。食満くんとは昔馴染み、みたいなものかしら。』
なんでも、プロの忍者として働いているらしい。
憧れのような目を向けていた食満の態度からして、おそらくかなりの手練れなのだろうと潮江は期待する。
早速勝負を挑もうとしたのだが、そうはさせるかと食満が話に割り込んだ。
正確には、二人の間に割り込んだのが潮江なのだが。
いつもの喧嘩が始まりそうなところで、スズネが両者の肩に手を置いた。
『二人とも落ち着いて。』
「けど、こいつが。」
『ほら食満くん、一緒に手合わせするんでしょ。時間がもったないし、早く行こう。』
喧嘩と手合わせ。
天秤で計る必要もなく、食満は手合わせする方を即決した。
そうして二人は潮江を置いて風のような速さで消えてしまう。
「あの野郎。」
残された潮江は、あの強者と戦いたいという熱望と、彼女と知り合いであるという食満に嫉妬心から不満ばかりが残るのであった。
そうして潮江を撒いたのはいいのだが、スズネに姫抱きをされてしまった食満は固まっていた。
『ごめんね、急に。』
「いえ、別に。」
恥ずかしくも思うが、ありがたくもあった。
あの場を素早く立ち去るためだったとはいえ、潮江には見えないように気づかれないようにと瞬時にやってくれたのだ。
彼女の気配りとテクニックはすごい。
人目のないところに降りて、一安心する。
結果的には邪魔者もいなくなったし、万々歳だ。
「その、会えて嬉しいです!でも、わざわざ学園に来なくても。俺から会いに行ったのに。」
『なぁに?私が来るのは邪魔だったかな。』
「そんなことは。ただ、ここには他の奴らがいるし。」
正直、誰にも会わせたくないと思っていた。
特に潮江には。
「他の奴に、取られたくなかったんですよ・・・。だって、あなたは俺の憧れの忍者だから。」
困ったように、スズネは軽く笑う。
『う~ん。そう言われてもねぇ。』
「やはり、これは俺のワガママですよね。」
『そうじゃなくってさ、食満くん。』
壁に手をつかれて、顔を寄せられる。
キラキラした目も愛らしかった。
懐いてくれるのも心地よかった。
けれどそれは、恋愛感情とはまた違う。
『憧れてくれるのも嬉しいけど、たまには恋仲らしい表情も見せて欲しいな。』
そんな言葉に、食満の顔は一気に赤く染まった。
「そ、それはさすがに。ここだと、ちょっと。」
赤くなった顔で、先ほどまで向けていた目を必死に背ける。
それを満足そうに眺めるスズネに、更に顔を熱くするのだった。
〆
ーーー
プロ忍への憧れの目と、恋人への愛情の目。
一度に二度美味しい関係です。
食満はソワソワしながら忍術学園の方を眺めていた。
潮江「あいつ、何してやがんだ。」
偶然それを目にした潮江は、いぶかしげに食満を見る。
何かと正門の方を気にしているようだが、誰か来るのを待っているのだろうか。
「あっ。」
待ちかねていた相手が来たようで、パァっと笑顔を咲かせる。
駆け出した向こうには、正門でサインを描いている女性が立っていた。
『食満くん!久しぶり。』
「お、お久しぶりですっ!スズネさん!!」
食満は目をキラキラと輝かせながら、姿勢を正した。
あんな表情をするとは珍しい、と潮江は驚愕する。
一体彼女は何者なのか。
『どれどれ?体はなまってないみたいだね。前より筋肉もついてきたみたい。』
「ほ、本当ですか?!俺、強くなりましたかね?」
『さぁ。実際に手合わせしてみないと。』
「そ、それなら早速相手してください!あと、任務についてもまたいろいろと話を聞いていいですか!?」
『わかってるって。詳しくは言えないけど。』
話の内容が気になって、潮江はその場に飛び出した。
先ほどの会話内容からして、くノ一だろうということは予想できたが、食満の様子がどうも気にかかったのだ。
「何だその女性は」と問い詰めてはみたものの「お前は関係ないだろ」とつっぱねられてしまう。
だが彼女は落ち着いた態度で、礼儀正しく対応してきた。
『私の名前はスズネです。食満くんとは昔馴染み、みたいなものかしら。』
なんでも、プロの忍者として働いているらしい。
憧れのような目を向けていた食満の態度からして、おそらくかなりの手練れなのだろうと潮江は期待する。
早速勝負を挑もうとしたのだが、そうはさせるかと食満が話に割り込んだ。
正確には、二人の間に割り込んだのが潮江なのだが。
いつもの喧嘩が始まりそうなところで、スズネが両者の肩に手を置いた。
『二人とも落ち着いて。』
「けど、こいつが。」
『ほら食満くん、一緒に手合わせするんでしょ。時間がもったないし、早く行こう。』
喧嘩と手合わせ。
天秤で計る必要もなく、食満は手合わせする方を即決した。
そうして二人は潮江を置いて風のような速さで消えてしまう。
「あの野郎。」
残された潮江は、あの強者と戦いたいという熱望と、彼女と知り合いであるという食満に嫉妬心から不満ばかりが残るのであった。
そうして潮江を撒いたのはいいのだが、スズネに姫抱きをされてしまった食満は固まっていた。
『ごめんね、急に。』
「いえ、別に。」
恥ずかしくも思うが、ありがたくもあった。
あの場を素早く立ち去るためだったとはいえ、潮江には見えないように気づかれないようにと瞬時にやってくれたのだ。
彼女の気配りとテクニックはすごい。
人目のないところに降りて、一安心する。
結果的には邪魔者もいなくなったし、万々歳だ。
「その、会えて嬉しいです!でも、わざわざ学園に来なくても。俺から会いに行ったのに。」
『なぁに?私が来るのは邪魔だったかな。』
「そんなことは。ただ、ここには他の奴らがいるし。」
正直、誰にも会わせたくないと思っていた。
特に潮江には。
「他の奴に、取られたくなかったんですよ・・・。だって、あなたは俺の憧れの忍者だから。」
困ったように、スズネは軽く笑う。
『う~ん。そう言われてもねぇ。』
「やはり、これは俺のワガママですよね。」
『そうじゃなくってさ、食満くん。』
壁に手をつかれて、顔を寄せられる。
キラキラした目も愛らしかった。
懐いてくれるのも心地よかった。
けれどそれは、恋愛感情とはまた違う。
『憧れてくれるのも嬉しいけど、たまには恋仲らしい表情も見せて欲しいな。』
そんな言葉に、食満の顔は一気に赤く染まった。
「そ、それはさすがに。ここだと、ちょっと。」
赤くなった顔で、先ほどまで向けていた目を必死に背ける。
それを満足そうに眺めるスズネに、更に顔を熱くするのだった。
〆
ーーー
プロ忍への憧れの目と、恋人への愛情の目。
一度に二度美味しい関係です。