◆THE STRAY CHILD
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『僕の名前を知ってるかい、審判小僧と言うんだよー。』
掃除をしながらスズネはすっかり耳に馴染んだその歌を静かに口ずさむ。
今日は掃除を終えたらカクタスガンマンとカクタスガールに会いに行くことにしていた。
一階を見回り、二階に向かっている途中のことだった。
突然、声がした。
ネコゾンビ「いつまでここで働いているつもりニャ?」
聞きなれない声のした方に振り返る。
そこは、グレゴリーから入ったり近づいたりしないように注意されていた部屋の扉だった。
もちろん、真面目な彼女は言われたことをしっかり守っていたのでネコゾンビのことなど知らなかったのである。
ゆえに、関わってはいけない存在だと思って立ち去ろうとしたのだが足が動かない。
直感的に、逃げてはいけない気がした。
『あなたは、誰?』
そして知ってしまった。
ネコゾンビのことを。この世界のことを。どうしてここに迷い込んだのかを。
スズネは信じられなかった。
なにせ、ここの人達は今まで自分に親しくしてくれていたのだから。
何より、グレゴリーは行き場の無い自分をここに留まらせてくれている。
しかし、ここに来てから何日たったか。いまだに連絡もないし、帰れるあてもない。
それなのに疑問や不安をかかえたことなどなかった。
いつか、帰る日が来ることを疑わず。
ネコゾンビ「思い出して欲しいニャ。君には、帰りたいと強く思う気持ちがあったはずだニャ。」
スズネ『それは、ずっと前から考えてます。忘れてません。』
けれど、ここから離れて皆と別れるというのも寂しく思えた。
これまで、一緒にいた人達と別れたことを寂しいと思ったことはないのに。
ふと、軽い気持ちのつもりで【帰らなくてもいいんじゃないか】と思った時のことを思い出して戸惑う。
この胸に渦巻く感情は何なのか。
『私は、帰りたくないの?ううん、帰りたいの。私は帰りたいの。』
スズネは口から出てくる言葉を否定する。
口にしてしまったら、本当になってしまいそうだったから。
きっと、そうなったら後悔するだろうから。
頭でそう理解していることを、必死に心に訴えかける。
ネコゾンビ「君は頭で考えるのと心で思うのを別にするのが癖になってるみたいだニャ。・・・器用なもんだニャ。」
『だって、そうすれば心が楽じゃないですか。』
一息置いて、ネコゾンビはたたみかけるように言葉を発した。
ネコゾンビ「でも君は、嘘があまりつけない子だニャ。自分の心にさえも。」
『っ!』
ネコゾンビの言うとおりだった。
スズネは口に出したことだけでなく、心で思ったことでさえ本当になることを恐れていた。
下手なことを言ったりすれば、あとで後悔すると知ってしまってからのことである。
ネコゾンビ「君は理想を夢見過ぎてるニャ。幻想に囚われて、矛盾や不条理といった現実が見えなくなってるニャ。」
だから君は、迷子になったんだニャ。
その一言が、スズネに重くのしかかった。
体にも力が入らなくなり、体制が崩れていくなかネコゾンビのいる部屋の扉へと手を伸ばす。
も、届かず床に倒れる。
―そう、知ってた。知ってたんだよ
とっくに疲れ果てていた。
少し、忘れてただけなんだ。
カクタスガンマン「スズネ!?どうした!しっかりしろ!!」
スズネは最後に、慌てて駆け寄るカクタスガンマンを見た。
頭に駆け巡るのは、以前見た夢と、映像と。そして、これからどうすればいいのかという疑問。
見えてるはずの現実と、幻と知っているはずの夢の間に、彼女の意識は彷徨った。
― 人生、やめたくなるけど生きたいよ。
掃除をしながらスズネはすっかり耳に馴染んだその歌を静かに口ずさむ。
今日は掃除を終えたらカクタスガンマンとカクタスガールに会いに行くことにしていた。
一階を見回り、二階に向かっている途中のことだった。
突然、声がした。
ネコゾンビ「いつまでここで働いているつもりニャ?」
聞きなれない声のした方に振り返る。
そこは、グレゴリーから入ったり近づいたりしないように注意されていた部屋の扉だった。
もちろん、真面目な彼女は言われたことをしっかり守っていたのでネコゾンビのことなど知らなかったのである。
ゆえに、関わってはいけない存在だと思って立ち去ろうとしたのだが足が動かない。
直感的に、逃げてはいけない気がした。
『あなたは、誰?』
そして知ってしまった。
ネコゾンビのことを。この世界のことを。どうしてここに迷い込んだのかを。
スズネは信じられなかった。
なにせ、ここの人達は今まで自分に親しくしてくれていたのだから。
何より、グレゴリーは行き場の無い自分をここに留まらせてくれている。
しかし、ここに来てから何日たったか。いまだに連絡もないし、帰れるあてもない。
それなのに疑問や不安をかかえたことなどなかった。
いつか、帰る日が来ることを疑わず。
ネコゾンビ「思い出して欲しいニャ。君には、帰りたいと強く思う気持ちがあったはずだニャ。」
スズネ『それは、ずっと前から考えてます。忘れてません。』
けれど、ここから離れて皆と別れるというのも寂しく思えた。
これまで、一緒にいた人達と別れたことを寂しいと思ったことはないのに。
ふと、軽い気持ちのつもりで【帰らなくてもいいんじゃないか】と思った時のことを思い出して戸惑う。
この胸に渦巻く感情は何なのか。
『私は、帰りたくないの?ううん、帰りたいの。私は帰りたいの。』
スズネは口から出てくる言葉を否定する。
口にしてしまったら、本当になってしまいそうだったから。
きっと、そうなったら後悔するだろうから。
頭でそう理解していることを、必死に心に訴えかける。
ネコゾンビ「君は頭で考えるのと心で思うのを別にするのが癖になってるみたいだニャ。・・・器用なもんだニャ。」
『だって、そうすれば心が楽じゃないですか。』
一息置いて、ネコゾンビはたたみかけるように言葉を発した。
ネコゾンビ「でも君は、嘘があまりつけない子だニャ。自分の心にさえも。」
『っ!』
ネコゾンビの言うとおりだった。
スズネは口に出したことだけでなく、心で思ったことでさえ本当になることを恐れていた。
下手なことを言ったりすれば、あとで後悔すると知ってしまってからのことである。
ネコゾンビ「君は理想を夢見過ぎてるニャ。幻想に囚われて、矛盾や不条理といった現実が見えなくなってるニャ。」
だから君は、迷子になったんだニャ。
その一言が、スズネに重くのしかかった。
体にも力が入らなくなり、体制が崩れていくなかネコゾンビのいる部屋の扉へと手を伸ばす。
も、届かず床に倒れる。
―そう、知ってた。知ってたんだよ
とっくに疲れ果てていた。
少し、忘れてただけなんだ。
カクタスガンマン「スズネ!?どうした!しっかりしろ!!」
スズネは最後に、慌てて駆け寄るカクタスガンマンを見た。
頭に駆け巡るのは、以前見た夢と、映像と。そして、これからどうすればいいのかという疑問。
見えてるはずの現実と、幻と知っているはずの夢の間に、彼女の意識は彷徨った。
― 人生、やめたくなるけど生きたいよ。