◆THE STRAY CHILD
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ホテルに戻ったスズネはグレゴリーに無事に雇ってもらえることになった。
一夜だけでのつもりだったのだが森は迷いやすいだの暗くて危ないだのと言われ、最終的には親が迎えに来るだろうからそれまで働くという話に落ち着いた。
ジェームズ「スズネ!お仕事終わったの?じゃあ一緒にシェフの料理食べに行こうよ!」
スズネは喜んでジェームズと一緒に食卓へと向かう。
シェフの作る料理は普通の人は食べられないものばかりなのだが、お子様ランチはどうやら問題なく食せるものらしくスズネとジェームズはそれをいつも美味しく食べていた。
ゆえに、シェフは子どもが好きらしいという噂があったりする。
『お子様ランチって良いよね。いろんな美味しい食べ物があるし。』
ジェームズ「そうだよねー、飽きないし。僕も他のみんなが食べるようなやつじゃなくて、ずっとお子様ランチでいいよ。」
食卓についてから、スズネとジェームズは席に座って会話をしながらシェフの料理を待っていた。
しばらくして、シェフがおなじみのお子様ランチを持ってやってきた。
ジェームズ「わーいやっときた!シェフ、今日はやけに遅かったね。どうしたの?」
シェフ「モクモク見かけた。たばこは料理の敵~、だから始末してきた・・・。」
『たばこ?なんで、あんな体に悪そうなのを好んで吸う人がいるんだろ。』
ジェームズ「大人ってわっかんないよね。僕おじいちゃんの本読んだけど何が面白いのか全然わかんなかったよ。」
『そういうのって、大人になったらわかるものなのかな?』
スズネは始末という言葉を【たばこの始末】と解釈した。
そしてシェフが見ている間に二人はお子様ランチを美味しく食べたのだった。
食事を終えてから、シェフが皿を片付けている間にまた会話が始まる。
『大人になったらこのお子様ランチが食べれなくなるなんて、残念だな。』
ジェームズ「それって、大人になりたくないってこと?」
『え?そんなことないよ。』
ジェームズ「だけどそれなら、大人になったら何したい?」
『大人になったら・・・。』
スズネは大人になったらできることを思いつく限り考えてみたが、どれもこれも実行したくないものばかりだった。
大人になりたくない訳じゃない。
けれど少なくとも今の彼女としては、子供の頃から植えつけられた習慣や考えは一生変わらないように思えた。
じゃあ、どうやって【大人】というものになるのだろうか?
『やりたいこと、特にないや。たぶん大人になっても変わらないと思う。』
その言葉を聞いてシェフはにやりと笑ってスズネの頭を撫でる。
シェフは何気に、いつも料理を礼儀正しく美味しそうに綺麗に食べるスズネのことを気に入っていた。
なのでこうしてスズネの頭を撫でることも少なくない。
シェフ「それでいい。たばこは料理の敵~。大人になっても必要ない~。」
『そうですよね、このままでもいいんですよね。』
食事も話も終わったのだからとジェームズは先に外へと飛び出した。
後を追いかけようとしたスズネだが、シェフに声をかけられる。
『何が御用ですか?シェフ。』
シェフ「お前が望むなら、大人になっても特別にあの料理を出してもいい。」
『えっ!本当ですか!?』
シェフ「あぁ。」
『わぁ、すごく嬉しいです!ありがとうございます!』
まさか大人になってもお子様ランチが食べられるなんて!と感動するスズネ。
礼を述べながら上機嫌で部屋を出て行ったのだった。
それを見送りながら、シェフは呟く。
シェフ「大人になっても・・・な。」
それは、たばこを吸うようにならなかったらという意味だったのか。
それとも、大人になるまでここにいることができたらという意味だったのか。
真相は闇につつまれたまま、シェフもご機嫌な様子でキッチンへと戻っていったのだった。