- シェフ -
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苦しいけど、苦しいと言えなくて。
誰もわかってくれなくて。
それならばいっそ体が病んでしまえば良いのにと、願ったのはいつだったか。
『うぅぅ、まだ調子悪い;』
その願いが叶ってしまったのか、ここに来る前から私はどうも具合が悪かった。
今となっては、毎日部屋にこもりっきりの日々をおくっている。
この生活で、健康は素晴らしいものだったのだと思い知ることになった。
毎日こんな生活だなんて、暇だし辛いしで気分は最悪だ。
生きるのを、やめてしまいたいと思ったほどに。
「スズネ・・・入るぞ。」
本当なら鍵がついているはずの扉を開けたのは地獄のシェフ。
このホテルに来た当初から動くのも辛かった私に料理を届けられるように、この部屋のドアにはシェフ専用の外から開けられる鍵がついている。
シェフは中に入ると、私に料理の皿を差し出した。
『あ、ありがとう。』
だけどそんなことをされても、あんまり嬉しくない。
頭はぐらぐらするし、時々眩暈もする。起き上がるのも辛いし喋るのも苦しいのだから、もちろん、食欲もないのだ。
それなのに料理を持ってこられているわけで、これが本当にきつい。
食べないと病気が治らない、というような話は聞いたことあるけど。
「調子はどうだ?」
『まだ、微妙。』
「そうか。」
食べた後の皿を片付けるために、シェフは私が食べるのをずっと見ながら待っている。
見られていると緊張して余計に食べにくいなんてことも、言えるはずがなかった。
『ご馳走様でした。』
「片付ける・・・。」
グラリ
あ、まただ。
料理をやっと食べ終えて倒れかけた私をシェフが支える。
頭が気持ち悪いけど、少し無理をしてお礼を言った。
『いつも・・・あり、がと。』
「・・・。」
そのままゆっくりと、私はベットに寝かされた。
ただ、こんな生活でもシェフがこうして私に優しく接してくれるのは嬉しかった。
でもやっぱり、このままは嫌なのだ。
早く健康に戻れればいいのにと、あの頃のように願いながら眠りについていく。
『(だけどもしも、私が耐え切れなくなったのなら。)』
その時は?
ーーー
シェフは、彼女が完全に眠ったのを確認して呟いた。
ー お前は、ずっとそうしていればいい。
〆