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嫌なことがあった時、私は音楽を聴く。
音楽の世界に浸っていれば、余計な事を考えなくなるから。
『もうちょっと、上げよう。』
うるさいぐらいに音量を上げてみれば、不思議と落ち着いた。
イヤホンをはずしても聞こえるほどだから下手したら耳が遠くなるけど、そんなことは気にしない。
周りと自分の世界から雑音が聞こえなくなるのなら、それでいいの。
ぐちゃぐちゃになった頭をぶっ壊してくれるから!
頭に響く大音量が耳から脳につたってグラグラ揺らす感覚。
あぁ、これがたまらない。
「スズネいるー?」
微かに、ジェームスの声がした。
いや、きっと気のせいだ。うん、気のせい。
よく来るからそんな幻聴がしただけだ。
「いるんでしょー!開けてってばぁ。」
ジェームスはドアを叩いたりノブを回してみたりと、騒ぎだした。
イヤホンをしていても聞こえてくるんじゃ、じっくり音楽に浸ってられない。今は音楽を聴いてないと落ち着かなくてイライラするのに。
わかってて毎度やってるんだから嫌らしい。
せっかく良いとこだったのに。
早々に諦めて私はイヤホンを外してドアを開けた。
『どうぞ。』
「おじゃましまーす!」
悪びれる様子のないジェームスにため息をつく。
簡単に部屋にあがらせるようになってしまった自分にも呆れる。
「今日は何聞いてたの?聞かせて聞かせて!」
『はいはい。勝手に一人で聞いててよ。』
「えー!?スズネも一緒に聞こうよ、ほら!」
ジェームスはそう言いながら無理矢理私の片耳にイヤホンをつめてくる。
『うわわわわ!!わかったわかった一緒に聞くからやめて!もう、それならイヤホンで聞かなきゃいいじゃない。』
「やーだ。ボクはイヤホンで聞きたいの!」
『はいはい。コード引っ張ったりしないでよね。』
「はーい。」
嬉しそうによってきてベットの隣に座ったのでイヤホンを耳につけてやる。
悪さをしないのはいいけど、無駄にくっついてくるのはどうにかならないものか。
ちゃんと音量を下げてやってから曲を流してやる。
前に一度うっかりそのまま流し始めてしまった時はかなりの大音量だったのもあって気絶させてしまったものだ。
あの時はまさか気絶するとは思わなくて申し訳なさのあまりしばらく面倒を見るようになってしまった。
ジェームスにかまうようになってしまったのは、それからだろう。
頭がグラグラするだとか、よくこんなの聞けるねだとか文句言ってたのに。
こりないというか何というか。
「そうそう、カクタスガンマンのおじちゃんの部屋に仕掛け置いといたんだ!今頃ビックリしてると思うよぉ。」
『それは御愁傷様ね。』
とは言ったけど、先程カクタスのせいで酷い目にあったところだ。むしろせいせいする。
こっちがされたら迷惑だけど。
「今度は誰にどんなイタズラしよっかなー。あ、他の曲聞かせてよスズネ。」
『音楽聞くだけなら他でもできるでしょ?私の時間を邪魔しないでよ。』
「わかってないなぁ、わざわざ邪魔しに来てあげてるんじゃない。」
ニヤリ、といやらしく笑うジェームス。
一体ここに来て何が楽しいのやら。私はジェームスの行動の意味がさっぱり理解できていなかった。
「ほんっと鈍感だよね、スズネって。」
『ん?何か言った?』
「ううん、なーんにも。」
〆
ーー
カクタスにイタズラしたのは主人公のため