GHS
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ねぇ、ネコゾンビ。』
「何かニャ?」
『私、どうしても現実に帰らなきゃいけないのかな?』
「・・・それは、君しだいだニャ。」
突然の事に驚いた。
何を言っているんだニャ。君はあんなに帰りたいと言っていたのに。あれほど現実に未練があったのに。
今までの客もそうだったけど君は他の客とは違う。君は、彼らとは違うのに。
「でも僕は、君はここにいてはいけないと思うニャ。」
『どうして?』
「君は、ここにいるには良い子すぎるニャ。」
スズネ、君は自分勝手でなければワガママでもない。他人の幸せを妬んだりもしない。
君は優しいし誰かのために働くことを苦としなければ、その見返りを求めようともしない。
家族のためにも帰りたいと、そう願っていたじゃないか。
「君は、現実に帰りたくなくなったのかニャ?」
『私ね、思い出したの。現実でのこと。』
スズネはそこまで言うと涙をためてながら話し出した。
『皆、皆・・・自分のことばっかり!!!』
泣きながら、彼女は話を続ける。
どうして誰かを苛めて楽しめるの?
どうして他人を不幸にできるの?
何度も、何度も、疑問をぶつけてくる。
『どうして、どうしてなの?何で皆、それが普通って言うのよっ!』
スズネは本当に良い子すぎる。
だから彼女にとって現実は、あまりに暗過ぎて耐えられなかった。
現実に絶望し、現実に疲れ、現実を見捨てた。
「だけど、ここにいても君は不幸になるだけニャ。」
所詮、ここにいる連中も優しくなんてないのだから。
「それに、君みたいな子が現実に必要なんだニャ。」
『私が、必要?』
「そうだニャ。」
君みたいな子がいなくなってしまったら、現実は本当にここと変わり無い世界になってしまうニャ。
だから、君はここにいてはいけないのニャ。
ここは君のような子が迷い込む所じゃないニャ。
「だからスズネ、君は現実に帰るべきだニャ。」
『ここでは?』
「え?」
『この世界では、私は必要じゃないの?』
「・・・。」
『ねぇ、ネコゾンビ。』
必要ないと言ってしまえば、君は現実に帰れるかもしれない。
だけど、僕はそこでどうしても言葉に詰まってしまう。
たしかに君のような人は、ここでも必要な存在なのかもしれない。
ここに訪れる人はきっと、君のような存在を求めているに違いない。
それでも、君はここにいてはいけない。
君は現実に帰らなくてはいけない。
ここにいたって、君が傷つくだけ。
なのに
なんて皮肉な質問だろう。
ここにいて欲しいとも言えないのに。
必要じゃない。 なんて
君は言わせる気ニャ?
『私って、本当に誰かに必要とされる存在?』
「何を言ってるニャ。・・・当然だニャ」
少なくとも僕は
そばにいて欲しいと、願ってしまうのだから。
〆