おそ松
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「はぁ。」
俺は放心していた。
何故こんな目に遭ってしまったのだろう。
俺が何をしたというのだろう。
「痛い。心が痛い。体も痛い。」
目をつぶりながら過去を振り返る。
怪我の理由を話しても医者は信じてくれなかった。
お見舞いに来た両親からはお金がかかるんだから早く退院するようにと叱られた。
俺は、孤独だった。
せめて鏡が見られれば、包帯を巻かれ傷ついた俺の新たなかっこいい一面を眺めていられるんだが。
あぁ、ミラー。なぜここに無いんだ。
ここまで怪我を負ってると、ニートだった頃より何もすることがないというのに。
「詩でも、作ろうか。」
そう思い立って目を開ける。
と、そこには見知らぬレディがこちらを見つめていた。
『あ、あの。大丈夫ですか?』
「ホワッツ!?!?」
お、落ち着け俺。クールダウンだ。
アイムオーケー?オーケーオーケェー。
「ふっ。臆することは無い、ナイチンゲール。君が舞い降りてくれたおかげで俺は奇跡の復活を遂げようとしている。むしろ今は君のハートが盗まれることを心配することだ。」
『はい?・・・つまり、大丈夫ってことですかね。それなら良かった。』
目の前の彼女はサンシャインな笑顔を俺に向けてくれた。
その笑顔が瞬く間に俺の傷ついた心を癒していく。
『路上で倒れてるのを見たときは、びっくりしましたよ。』
「ん?ということは、もしかして君が俺を助けてくれたのか?」
『救急車を呼んだだけですよ。誰だって、怪我をして倒れてる人がいたらそうするでしょう?』
俺の兄弟は誰一人助けてくれなかったが。
『私、お隣に住んでるスズネです。松野さんの家は六つ子さんで有名なので、わりと知ってたんですよ?』
「そうか。俺のことを知ってくれていて嬉しいぜ。ハニー。」
『そうそう。それでこれ、お見舞いに持ってきたんです。よければどうぞ。』
「こ、これは!」
彼女が差し出してくたのは、綺麗に切り分けられた、甘くていい匂いのするあの梨だった。
「っ梨じゃないかっ!」
『梨、お好きですか?』
「好きです!大好きです!」
『よかったぁ!遠慮せずに、召し上がってください。』
「まじか!!いただきまぁーす!」
一人だけ食べ損ねて、ずっと食べたかったと切望していたあの梨を目の前に。
俺は泣きそうになりながらその梨を次々に口にほうばった。
「ん~~~っ♪」
うまい。うますぎる。
一口一口、食べるたびに胃も心も満たされていく。
こんなにも美味しく感じるのは、幸せに思えるのは、ただ梨が美味しいだけじゃない!
スズネが、彼女が俺のために用意してくれた梨だからだ!間違いない。
「んまい。まじですっごくうまい。」
『そんなに喜んで食べてもらえるなんて。なんだか私も嬉しいです。』
「こんなにおいしい梨食べたことない。」
『それは褒めすぎですよ。』
「いや、これは俺の本心だ!心から感謝する!ありがとうナイチンゲール!」
『ナイチンゲールだなんて、恥ずかしいですよ。せめて名前で呼んでください。』
「わ、わかった。ありがとう、スズネさん。」
礼を言って、久しぶりに心からの笑顔ができた気がした。
彼女は再び魅力的なはにかみ笑顔を見せる。
『心配してたんですよ?でも本当によかった。生きてくれて。』
その言葉に、俺は再び心打たれた。
俺が生きていることを、彼女は喜んでくれている。
それだけで、本当に嬉しかった。
「あぁ、心を盗まれたのは俺の方だったようだ。」
『ふふ、面白い方ですね。』
無我夢中で食べていたから忘れていたが、そういえばおそ松たちが食べていたのもお隣さんから貰った梨だったはず。
おそらく、そのお隣さんとは彼女の家のことだろう。
それを今、彼女の前で独り占めできた俺は案外幸せ者なのかもしれない。
『もうおなかいっぱいですか?』
見つめていたら、梨を食べる手が止まっていたので、彼女が心配して声をかけてきてくれた。
「いや、まだその甘い果実を味わいたい。」
『そうですか。でも食べ過ぎもあんまりよくないですよ。体には気を付けてくださいね。』
「オーケイ。」
『じゃあ、はい。最後の一口。』
「え。」
彼女がつまようじで梨を差し出す。
こ、これって。まさか。あの、あーんってやつじゃないか!?
「そ、それはまだ早いんじゃないか!?」
『?そうですか?』
結局、あーんはしてもらえなかった。
「ジーザス!!」
後に、機長なあーんを断ってしまったことを、俺は死ぬほど後悔したのだった。
〆
俺は放心していた。
何故こんな目に遭ってしまったのだろう。
俺が何をしたというのだろう。
「痛い。心が痛い。体も痛い。」
目をつぶりながら過去を振り返る。
怪我の理由を話しても医者は信じてくれなかった。
お見舞いに来た両親からはお金がかかるんだから早く退院するようにと叱られた。
俺は、孤独だった。
せめて鏡が見られれば、包帯を巻かれ傷ついた俺の新たなかっこいい一面を眺めていられるんだが。
あぁ、ミラー。なぜここに無いんだ。
ここまで怪我を負ってると、ニートだった頃より何もすることがないというのに。
「詩でも、作ろうか。」
そう思い立って目を開ける。
と、そこには見知らぬレディがこちらを見つめていた。
『あ、あの。大丈夫ですか?』
「ホワッツ!?!?」
お、落ち着け俺。クールダウンだ。
アイムオーケー?オーケーオーケェー。
「ふっ。臆することは無い、ナイチンゲール。君が舞い降りてくれたおかげで俺は奇跡の復活を遂げようとしている。むしろ今は君のハートが盗まれることを心配することだ。」
『はい?・・・つまり、大丈夫ってことですかね。それなら良かった。』
目の前の彼女はサンシャインな笑顔を俺に向けてくれた。
その笑顔が瞬く間に俺の傷ついた心を癒していく。
『路上で倒れてるのを見たときは、びっくりしましたよ。』
「ん?ということは、もしかして君が俺を助けてくれたのか?」
『救急車を呼んだだけですよ。誰だって、怪我をして倒れてる人がいたらそうするでしょう?』
俺の兄弟は誰一人助けてくれなかったが。
『私、お隣に住んでるスズネです。松野さんの家は六つ子さんで有名なので、わりと知ってたんですよ?』
「そうか。俺のことを知ってくれていて嬉しいぜ。ハニー。」
『そうそう。それでこれ、お見舞いに持ってきたんです。よければどうぞ。』
「こ、これは!」
彼女が差し出してくたのは、綺麗に切り分けられた、甘くていい匂いのするあの梨だった。
「っ梨じゃないかっ!」
『梨、お好きですか?』
「好きです!大好きです!」
『よかったぁ!遠慮せずに、召し上がってください。』
「まじか!!いただきまぁーす!」
一人だけ食べ損ねて、ずっと食べたかったと切望していたあの梨を目の前に。
俺は泣きそうになりながらその梨を次々に口にほうばった。
「ん~~~っ♪」
うまい。うますぎる。
一口一口、食べるたびに胃も心も満たされていく。
こんなにも美味しく感じるのは、幸せに思えるのは、ただ梨が美味しいだけじゃない!
スズネが、彼女が俺のために用意してくれた梨だからだ!間違いない。
「んまい。まじですっごくうまい。」
『そんなに喜んで食べてもらえるなんて。なんだか私も嬉しいです。』
「こんなにおいしい梨食べたことない。」
『それは褒めすぎですよ。』
「いや、これは俺の本心だ!心から感謝する!ありがとうナイチンゲール!」
『ナイチンゲールだなんて、恥ずかしいですよ。せめて名前で呼んでください。』
「わ、わかった。ありがとう、スズネさん。」
礼を言って、久しぶりに心からの笑顔ができた気がした。
彼女は再び魅力的なはにかみ笑顔を見せる。
『心配してたんですよ?でも本当によかった。生きてくれて。』
その言葉に、俺は再び心打たれた。
俺が生きていることを、彼女は喜んでくれている。
それだけで、本当に嬉しかった。
「あぁ、心を盗まれたのは俺の方だったようだ。」
『ふふ、面白い方ですね。』
無我夢中で食べていたから忘れていたが、そういえばおそ松たちが食べていたのもお隣さんから貰った梨だったはず。
おそらく、そのお隣さんとは彼女の家のことだろう。
それを今、彼女の前で独り占めできた俺は案外幸せ者なのかもしれない。
『もうおなかいっぱいですか?』
見つめていたら、梨を食べる手が止まっていたので、彼女が心配して声をかけてきてくれた。
「いや、まだその甘い果実を味わいたい。」
『そうですか。でも食べ過ぎもあんまりよくないですよ。体には気を付けてくださいね。』
「オーケイ。」
『じゃあ、はい。最後の一口。』
「え。」
彼女がつまようじで梨を差し出す。
こ、これって。まさか。あの、あーんってやつじゃないか!?
「そ、それはまだ早いんじゃないか!?」
『?そうですか?』
結局、あーんはしてもらえなかった。
「ジーザス!!」
後に、機長なあーんを断ってしまったことを、俺は死ぬほど後悔したのだった。
〆